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税務署から相続税のお尋ねが届く時期はいつ?お尋ねの記載方法とは?
相続が起こり、葬儀や手続きなどが終わり、ホッと一息つこうかと思う頃に税務署から相続税のお尋ねが届く時があります。
多くの人にとって、税務署から書類が届いたことなど一度もないでしょうから、大抵はものすごくビックリしてしまいます。
そこで本記事では、税務署から届く相続税のお尋ねについて、誰を対象にいつ頃届くのか、またその場合どのように記載すれば良いのかなどを詳細に解説していきます。
本記事を最後までご覧いただけば、お尋ねが届いても驚かず冷静に対処することができるでしょう。
1.相続税についてのお尋ねとは
税務署からのお尋ねとは、すでに提出した所得税などの確定申告書の内容などに関する問い合わせのことをいいます。
たいていは郵便物や電話で行われ、回答は基本的には任意です。任意のため回答しなくても特別なペナルティなどはありませんが、回答しなかったために税務調査へ発展してしまう場合もあります。
これに対し、相続税のお尋ねの場合は、今回の相続の内容や(これから行うかもしれない)確定申告の必要の有無に対する問い合わせのことをいいます。
相続税のお尋ねが届く時期はいつごろ?
税務署や国税局は、全国の納税者の申告に関する全情報を一元的に管理するコンピュータシステム(KSK)とオンラインでつながっており、実はみなさんもビックリするほどのデータを持っています。
このデータと照らし合わせ、相続税の申告が必要でありそうだと思われる人に対して、相続税のお尋ねが送られてきます。
このお尋ねが届くのは、被相続人が亡くなってからだいたい6~8ヶ月後あたりに届くことが多いと言われています。
税務署は、返信されてきたお尋ねの内容をもとに相続に関するより詳しいデータを収集し、申告義務の有無やその内容などを判断しています。
そのため、無申告や過少申告をしてしまうと税務署が持っているデータとの違うのがすぐに分かってしまうため、税務調査へ発展する可能性が高くなります。
2.「相続のお尋ね」の具体的な記載方法について
では、相続のお尋ねの記載方法について解説していきます。
税務署から届いた封筒を開封すると、下図の「相続についてのお尋ね(相続税申告の簡易判定シート)」が同封されています。
<出典>
国税局作成『相続についてのお尋ね(相続税申告の簡易判定シート)サンプル』
http://www.osaka-souzokuhelp.com/cms/wp-content/uploads/3d7015295515536c5dd0a30f81a6c0ab.pdf
このお尋ねには全部で11の記載箇所があります。
その内容について一つずつ確認し、一緒に書いてみましょう。
1.住所、氏名などを書く
一番上の「1」に、必要事項を順に記載していきます。
住所は亡くなる前の最後の住所を記載します。あとは氏名、生年月日と亡くなった日を和暦で記載すればOKです。
2.被相続人のかつての勤め先やその時の役職などを書く
次は、「2」に必要事項を記載します。
亡くなる直前の職業は、年金生活により職業に就いていなければ「無職」と記載し、就いている場合はその会社名を記載します。
次に、生前に勤めていた職業の役職と、その会社名を記載します。役職が取締役であれば「取締役」と記載し、次いで会社名を記載します。
直近にアルバイトなどをしていた場合は、アルバイトではなく最も長く従事していた仕事の役職と会社名を記載します。
3.相続人を書く
「3」の欄に、相続人の氏名とふりがな、続柄などを記載します。
遺言書がある場合は、遺言書に指定された相続人の氏名を記載します。遺言書がない場合は法定相続人が相続人となりますが、法定相続人が誰かを確認するためには亡くなった方の出生から死亡までの戸籍をすべて確認しなければなりません。
最後に相続の合計数をA欄に記載します。
4.不動産の明細を書く
相続財産に土地や家などの不動産がある場合は、「4」の欄に、不動産の種類や面積などを記載します。
「種類」の欄には、土地もしくは家屋のどちらかを記載します。
「イ面積(㎡)」の欄には、土地であれば広さを、家屋であれば床面積の合計を記載します。
「ロ路線価等」には、路線価が定められている土地であれば路線価を、そうでない土地や家屋であれば固定資産税評価額を記載します。
「ハ倍率」には、路線価が定められている土地であれば何も記載せず空欄に、そうでない土地の場合は、
<引用元>国税庁ホームページ
https://www.rosenka.nta.go.jp/
</cite>
より当該土地の相続税評価額を算出するための倍率を確認し、記載します。
家屋に関しては、すべて「1.0」と記載します。
「二評価額の概算」には、上記「イ×ロ」もしくは「イ×ロ×ハ」で算出した金額を万単位で記載します。
最後に不動産の相続税評価額の合計をBに記載します。
5.株式や公社債の明細を書く
相続財産に株式や公社債などの有価証券があった場合は、「5」の欄に、銘柄や数量などを記載します。
「銘柄等」には、株式などの具体的な銘柄や商品名などを記載します。「数量(株、口)」には株式数(もしくは口数)を記載します。「金額」には、上記2つを掛け合わせた金額を万単位で記載します。
最後に株式や公社債などの合計額をCに記載します。
6.現金預金の明細を書く
相続財産に現金や預貯金がある場合は、「6」の欄に、預入先や金額を記載します。
「預入先(支店名を含む)」には、預貯金の預入先の銀行名と支店名を記載します。現金の場合は、この欄に「現金」と記載します。また、「金額」の欄には、その金額を記載します。なお、預貯金の金額は、被相続人の死亡日の残高証明を銀行で取得し、それを参考に記載します。
最後に現金と預貯金の合計額をDに記載します。
7.生命保険や死亡退職金を書く
相続人はもちろんのこと、相続人以外が受け取った生命保険や死亡退職金がある場合は、「7」の欄に、支払先と金額を記載します。
「保険会社又は支払会社等」には、生命保険の保険会社名もしくは死亡退職金の支払会社名を記載します。「金額」には支払われた金額を記載します。
最後に生命保険や死亡退職金の合計額をEに記載します。
8.相続時精算課税による生前贈与を書く
被相続人から相続時精算課税制度を活用した生前贈与を受けた方がいる場合は、「8」の欄に、贈与を受けた人の名前、財産の種類(現金など)、金額を記載します。
最後にその合計額をFに記載します。
9.3年以内の贈与を書く
被相続人が亡くなる前3年以内に贈与を行っている場合は、「9」の欄に、受贈者の氏名、財産の種類(現金など)、金額を記載します。
最後にその合計額をGに記載します。
10.債務を記載する
被相続人に債務がある場合は、「10」の欄に債権者の住所と氏名(名称)を記載します。
固定資産税の未払分がある場合は「〇〇年度分固定資産税」と記載し、葬儀費用に関しては「葬儀費用の概算」などと記載します。
最後にその合計額をHに記載します。
11.相続税の申告が必要かどうか判断する
最後に、相続税の申告が必要かどうかを判断するために、必要事項を「11」に記載します。
まず、上記BからFまでの金額をそれぞれ転記していき、あとは指示に従って計算を行います。
最終的に算出した数字がプラスの場合は相続税の申告が必要になり、マイナスの場合は不要となります。
ただし、このお尋ねで計算した金額はあくまで概算のため、最終的な数字がプラスかマイナスか微妙な場合は、提出前に税理士などの専門家に相談した方が良いでしょう。
2.税務調査が行われる時期
相続税の税務調査は、通常、相続税の申告書を税務署に提出後1~2年後が目安となります。
ただし、国税徴収法により国税の事項の消滅は法定納期限(申告期限)から5年間と定められているため、少なくとも5年間は安心することができません。
また、一般的に、税務調査が行われるのは7月~12月が多いと言われています。したがって、相続税の申告期限から1~2年以内の7月~12月の間に行われる可能性がもっとも高いと言えます。
3.万が一税務調査が行われた場合は?
税務調査が行われる場合、大抵は担当官から事前に電話で日時などの連絡を受けます。したがって、税務調査当日までの間に、相続税の申告書はもちろんのこと、遺産分割協議書や戸籍謄本、葬儀費用の明細や領収証などを綺麗に整理し、漏れや紛失の内容にまとめておきましょう。
心配な場合は税理士に相談する
はじめての税務調査は誰でも不安です。別にやましいことがなくても、ドキドキして眠れないこともあります。
このような場合は、税理士に税務調査について相談をしてみましょう。
きっと、税務調査当日にどうすれば良いか、的確なアドバイスを受けることができるでしょう。
4.終わりに
被相続人に一定以上の財産がある場合は、相続人に対して税務署から相続税のお尋ねが届くことがあります。税務署は、このお尋ねの内容をもとに申告書の提出義務の有無や将来の税務調査などを判断するため、このお尋ねは間違いのないよう慎重に書かなければなりません。
ただし、書き方が分からず心配な方や申告義務の有無がギリギリの方などは、できるだけ早い段階で税理士などの専門家に相談してみましょう。
ジー・エフ税理士法人では、相続税に特化した税理士や国税出身OB税理士が在籍しております。
相続税申告に関するサポートから節税スキームの構築、必要に応じて国税OB税理士による国税当局目線でのダブルサポートを行っております。
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統括代表パートナー税理士
勝又 義雅
山田&パートナーズ時代には相続・事業承継をメインとした資産税業務に従事し、上場企業のMBOアドバイザーなど難易度の高い資産税実務を経験。 現在は法人税務を中心として幅広い業務を行っており、税務スキームの検討及び構築・組織再編・グループ法人に関わる税務・富裕層に関連する税務業務やM&A関連業務などを得意分野に持つ。
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