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税務デューデリジェンスとは?やるべき理由や流れ・費用などを徹底解説

デューデリジェンス
税務デューデリジェンスとは?やるべき理由や流れ・費用などを徹底解説

M&Aで行われるデューデリジェンスには、財務や法務・税務などをはじめ実に多くのものがあります。

実際のM&Aの現場では、これら中から売り手企業の業種や規模・ビジネスモデルなどに合わせて必要なものが選ばれ、実行されています。

これらのデューデリジェンスの中でも、ほぼすべてのM&Aで行われているのが税務デューデリジェンスです。

税務デューデリジェンスはほとんどのM&Aで必ずと言って良いほど実施されており、M&Aの成否や買収価格の算定に大きな影響を及ぼしています。

そこで本記事では、税務デューデリジェンスがどうしてM&Aで行われているのかを解き明かした上で、費用や期間などについてもじっくりと解説していきます。

1.デューデリジェンスとは

デューデリジェンスとは、M&Aの買い手が最終的な買収判断や買収価格などを決定するために、売り手企業を精査する調査のことをいいます。

M&Aの現場では、略して「デューデリ」と言われることもあります。

また、ベンチャーキャピタルなどが投資判断を行うために、対象企業を精査するのもデューデリジェンスといいます。

デューデリジェンスの目的

M&Aのプロセスにおいて、売り手・買い手の双方で基本合意を交わした段階では、買い手企業は売り手企業の実態を正しく把握しているというわけではありません。

買い手側は、売り手側が提出したインフォメーションメモランダムなどの資料から企業像をイメージし、M&Aをするかしないかの判断をしているに過ぎません。

基本合意の段階での買収条件も、これらの概略から算出したものなのです。

そのため、基本合意後に実際の資料などを確認しながら調査を行い、それに基づいてM&Aの成立・不成立や買収価格などの判断を行う必要があります。これらの判断を行うために売り手企業を精査する作業が、デューデリジェンスです。

デューデリジェンスに必要な期間

デューデリジェンスに必要な期間は、売り手企業がどれくらいの規模なのか、また買い手側がどこまで精査していくのかで大幅に変わります。

ただし、目安としては売り手が中規模であれば1~2ヶ月程度と言われています。また、小規模であれば、2~3週間程度で終わることもあります。

2.デューデリジェンスの種類

冒頭でお話ししたように、デューデリジェンスにはさまざまな種類があります。その中でも、中小企業のM&Aでよく行われているのが、以下の5つです。

・財務デューデリジェンス

・法務デューデリジェンス

・税務デューデリジェンス

・ビジネスデューデリジェンス

・人事デューデリジェンス

財務デューデリジェンス

財務デューデリジェンスとは、過去の決算資料や取引資料などをもとに、売り手企業の財務状況や収益性を分析するとともに、簿外債務などのリスク調査を行うことをいいます。

財務デューデリジェンスは、売り手企業が上場企業のような大規模企業であれば大手監査法人が行うケースがほとんどですが、中規模以下であれば大手会計事務所(監査法人、公認会計士事務所、税理士法人)などが行います。

法務デューデリジェンス

法務デューデリジェンスとは、買い手企業が得意先などと交わしている契約書類などを確認し、法的な問題や将来の訴訟リスクなどが内在していないかを確認する作業のことをいいます。

契約書類などのリーガルチェックが主となるため、法務デューデリジェンスはほとんどの場合弁護士が行います。

税務デューデリジェンス

税務デューデリジェンスとは、過去の税務申告書類などから適正な申告が行われているのかを確認し、M&A後の税務調査において否認されるリスクを調査する作業のことをいいます。

税務デューデリジェンスは、多くの場合会計事務所(監査法人、公認会計士事務所、税理士法人)が中心となって行われます。

ビジネスデューデリジェンス

ビジネスデューデリジェンスとは、売り手企業の収益の源泉となるビジネスモデルや技術力、また市場での優位性やリスクなどを調べ、M&A後のシナジー効果がどれくらい生じるのかを分析する作業のことをいいます。

ビジネスデューデリジェンスを行うために特別な資格などは必要ありませんが、コンサルティング会社などが請け負うことが多いようです。

人事デューデリジェンス

人事デューデリジェンスとは、就業規則や給与体系などを調査し、統合後の人件費に与える影響や、労務上のコンプライアンスに抵触していないかなどを調査する作業のことをいいます。

3.税務デューデリジェンスとは

税務デューデリジェンスの概略については、すでに述べた通りです。ここでは、もう少し深掘りして税務デューデリジェンスを行う必要性などについて解説します。

税務デューデリジェンスとは

税務デューデリジェンスとは、売り手企業の税務に関する調査を行い、M&A後の税務リスクを調査する作業のことをいいます。

税務デューデリジェンスでは、将来の税務リスクの調査以外にも、税務面から見たM&Aスキームの検討なども行われます。

M&Aには、株式譲渡や事業譲渡など多くのスキームがあります。どのスキームを選択するかで税負担が大幅に変わるため、M&Aスキームの検討とタックスプランニングは税務デューデリジェンスにとってとても重要な作業になります。

税務デューデリジェンスをやるべき理由

M&Aのコストの中で、最も高いものの一つが租税コストです。特に、将来の税務リスクによってはM&Aのメリットそのものが吹き飛んでしまうこともあります。

たとえば、売り手企業が過去に間違った税務処理で組織再編を行った場合などは、M&A後に莫大な法人税を支払うことになってしまいます。

このようなリスクを将来負うことのないように、取引実態や税務処理などを徹底的に調査することが大切なのです。

4.税務デューデリジェンスの流れ

税務デューデリジェンスは、会計事務所(監査法人、公認会計士事務所、税理士法人)などが中心となって行います。その流れは以下の通りです。

1.誰がやるかを決める・・・どの会計事務所(監査法人、公認会計士事務所、税理士法人)に依頼をするのかを決めます。

2.どこまで調査するかを決める・・・税務デューデリジェンスに割ける予算を考えながら、どこまでの範囲で調査を行うのかを決めます。

3.開示された資料を確認する・・・売り手企業が用意したデータルームで開示された税務申告資料などをもとに徹底的に調査を行います。

4.マネジメントインタビューを行う・・・資料と並行し、経営陣や経理担当者などから不明点などの聞き取り調査を行います。

5.資料を分析する・・・収集した資料をもとに、申告漏れなどの税務リスクやM&Aスキームなどの検討を行います。

6.報告書を作成する…最後に、デューデリジェンスの結果を報告書にまとめます。

5.税務デューデリジェンスの相場

依頼する会計事務所(監査法人、公認会計士事務所、税理士法人)などによって報酬体系が違うため、簡単に言うことはできませんが、1日あたりの相場はだいたい2~5万円程度だと言われています。

仮に2~3週間程度で最終報告書が作成できるとすると、その費用の相場は60~120万円となります。

ただし、これは中規模以下の会社の場合ですから、それ以上の規模であれば税務デューデリジェンスの費用は250万円を超えると考えられます。

デューデリジェンス費用は誰が支払うのか?

あらゆるデューデリジェンスの費用は、M&Aの買い手側が支払います。買い手側にとって、これらの金額は決して軽い負担ではありません。

ですから、売り手側はできるだけ協力的な態度でデューデリジェンスに臨まなければなりません。

どれくらい費用をかけるべきか

デューデリジェンスを徹底的に行うのに越したことはありません。しかし、コストをかけ過ぎてしまったら、M&Aのメリットが減ってしまいます。

そのため、M&Aのシナジー効果とデューデリジェンスの費用とのバランスを考えながら、どこまでやるのかを決めなければなりません。

6.終わりに

M&Aのデューデリジェンスの中でも、税務デューデリジェンスの重要度はかなり高いといって差し支えないでしょう。

将来の税務リスクやM&Aスキーム別のタックスプランニングなどは、M&Aに与えるインパクトがかなり大きくなります。

税務デューデリジェンスは、このような作業に精通している会計事務所(監査法人、公認会計士事務所、税理士法人)に依頼するようにしましょう。


当税理士法人では公認会計士、税理士、弁護士、社労士チームによる総合的な財務・税務・法務・人事デューデリジェンス業務を行っております。

M&Aを検討している、デューデリジェンスの見積金額が知りたいなどご要望がございましたら、ぜひお気軽にお問合せください。

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監修者

国税OB税理士

林 貴之

国税局調査部において、上場企業をはじめとする大規模法人や外国法人の調査審理、質疑対応、不服申立対応及び各国税局の調査審理課等からの調査審理等に係る質疑対応、また、課税部において、個人の富裕層等に関する国際課税や居住者認定等に係る調査審理及び不服申立対応並びに主に移転価格税制やCFC税制等の国際課税関係の原処分に関する取消訴訟の対応など、専門知識を要する審理事務に長年従事するほか、上場企業など大規模法人の調査事務にも従事。

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