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不動産投資の税務調査の実態とは?チェックされるポイントや注意点などを解説

税務調査
不動産投資の税務調査の実態とは?チェックされるポイントや注意点などを解説

2008年の1億2,808万人をピークに減少をはじめた我が国の人口は、少子高齢化によりさらにその速度を進めており、地方では過疎化や地価の下落が進んでいます。

その一方、東京都を中心とする都市部では地価が安定的に上がり続けており、それを追い風に不動産投資が積極的に行われています。

少ない資本で始められるワンルームマンション投資からアパートやマンションを一棟単位で買い取る大規模なものまでさまざまですが、多くの人が不動産投資を活発に行っていることは間違いありません。

不動産投資によって得られた所得は確定申告をしなければならないことは誰でもご存知だと思いますが、その中から何パーセントかは毎年税務調査が行われていることはあまり広く知られていません。

「一般の事業と違って不動産投資だから税務調査なんて行われないでしょ?」と思われる方が多いかもしれませんが、実は意外とそうでもありません。

そこで本記事では、不動産投資における税務調査の実態と不動産投資ならではの問題点、そしてその対策についてじっくりと解説していきます。

1.不動産投資と税務調査

イギリスの経済学者であり「経済学の父」と呼ばれているアダム・スミスはその著書の中で税に関する4大原則を述べており、その一つである「最小徴税費(租税を徴収するためのコストはできるだけ小さい方が望ましい)」という考え方は、現在の税務行政にも取り入れられています。

ですから、極小規模の不動産投資が税務調査の対象となることは現実的にはほとんどありませんが、それ以外は実際に税務調査の対象となっています。

個人の投資に税務調査は来る?

では、ビジネスパーソンが副業として行うワンルームマンション投資のような事業に対し、税務調査は行われているのでしょうか?

税務署は調査結果を外部に公表しているわけでないため詳細なデータは分かりませんが、ニュースやネットなどを検索すると、実際に多くの方が税務調査を受けているのが分かります。

確かにワンルームマンション1室の投資程度で得られる利益は限られていますが、その分経費でないものを経費として算入してしまえば簡単に利益を消すことができます。

また、不動産所得は総合課税ですから、不動産所得が赤字であれば税金の還付さえ受けられる可能性があります。

このように、たとえ小規模であったとしても、不動産投資は脱税の温床となりやすいため、定期的に税務調査が行われているのです。

税務調査が行われるのはいつ?

税務調査が行われる時期について明確に公表されているわけではありませんが、一般的には確定申告が終わった4月~5月頃や、税務署の人事異動が終わる7月~11月頃に行われることが多いと言われています。

ただし、それ以外の時期に行われることも珍しくなく、税理士に申告書の作成などを依頼していない場合は調査が行われる時期がさらに広がると言われています。

税務調査が行われたら必ず税金が取られる?

必ず取られるということはありませんが、税務署は最小徴税費を十分に考慮した上で調査対象を選んでいます。したがって、過去に提出した申告書の内容から何らかの問題が検出されたと考えておいた方が良いでしょう。

もちろん調査によって申告書の内容に間違いがあった場合は、本税と共に延滞税などのペナルティが加算されることになります。

2.税務調査では何がチェックされる?

それでは、実際に税務調査が行われた場合どの点がチェックされるのかを解説します。ここでは不動産投資に的を絞り、そのポイントについて整理していきます。

それは本当に不動産投資の経費ですか?

一般的に不動産所得は、事業所得のように日々積極的に事業活動が行われているわけではありません。実際には、他の事業(会社経営者のサイドビジネスやビジネスパーソンの副業など)の片手間で行われているものが大半です。

したがって、経費もそれほど必要ではありません。物件の減価償却費や管理費・修繕費などを除けば、経費らしい経費がそれほど出ることはないでしょう。

ですから、もし申告書にこれら以外の経費が多額に計上してあれば、「これは本当に不動産投資の経費なのか」が徹底的にチェックされます。

耐用年数はそれで大丈夫ですか?

先程述べたように、不動産投資の経費で最も大きなもののひとつが減価償却費です。特に、中古物件であれば耐用年数を1/5に短縮できるため、上手に使えば節税対策としても十分に効果的です。

しかし、不動産の耐用年数は自動車のように簡単ではありません。構造や使用する鋼材の厚みなどによって大幅に変わるため、申告時にミスをすることも珍しくありません。

耐用年数を間違えて本来より短くしてしまうと減価償却費が増えるため、本来納めるべき税金が少なくなってしまいます。これらは設計図などを見ればすぐに確認できるため、税務調査時には必ずチェックされるポイントの一つです。

その利息経費に出来ますか?

不動産投資のために融資を受けた場合、その借入金に対する支払利息は原則として経費にすることが出来ます。

しかし、不動産所得が赤字であれば、土地を取得するために受けた融資で発生した利息は経費から除外しなければなりません(租税特別措置法41条の4)。

またこれ以外にも、親族からの借り入れに対して利息を支払う場合、世帯が別であれば経費にする事ができますが、同居している(正しくは「生計を一にしている」)場合などは経費にすることが認められていません。

青色申告で大丈夫ですか?

青色申告をすれば青色申告控除として65万円の控除が受けられるだけでなく、同居している家族に給料を支払えたり赤字を3年間繰り越せたりさまざまなメリットを受けることが出来ます。

「じゃあ、不動産所得を青色申告で申告しよう!」と思われるかもしれませんが、残念ながら不動産所得の場合、誰もが青色申告で申告できるという訳ではありません。

不動産所得を青色申告で申告できるかどうかには形式的な判断基準が設けられており、貸家であれば5棟、アパートなどの貸付であれば10室、駐車場であれば50台以上と定められています。

もし、これ以下にもかかわらず青色申告をしていれば税務調査で否認され、高額な税金とペナルティを納めることになりかねません。

3.税務調査に対応するためには

最後に、不動産投資に対する税務調査に対応する方法について解説します。

書類や領収証などを整理しておく

不動産物件取得時の契約書や経費などの領収証、また家賃の入金状況などが分かる資料は必ず整理し、いつ税務調査が行われても良いようにしておきましょう。

領収証を失くしてしまったら

もし領収証を失くしてしまったとしても、レシートなどが残っていれば大丈夫な場合もあります。諦めず、クレジットカードの支払い明細やレシートなどを探し、領収証の代わりに証明できそうなものを集めてみましょう。

少しでも心配なら専門家に依頼するのがお勧め

上述のように、不動産投資に関する確定申告は、簡単なようで難しい論点がたくさんあります。

投資そのものが単純であったり、申告や税務調査に慣れていたりするのであれば問題ありませんが、少しでも心配なら税理士などの専門家に依頼しておくことをお勧めします。

難しいことは全部税理士に任せられるので、投資だけに集中することができます。

ただし、依頼するのであれば、税務調査に強い税理士をお勧めします。「税理士に依頼して良かった!」と思える一番の場面は、何と言っても税務調査の時です。

税務調査は税法に則って行われますが、とはいえ最後は調査官との交渉力がものを言います。この交渉力次第で結果が大きく変わる事もあるだけに、依頼するのであれば税務調査に強い税理士を探すのが良いでしょう。

4.終わりに

不動産投資は比較的小規模から始められ、利回りも比較的安定しているため、投資の初心者から専門家まで多くの人が不動産投資ビジネスに参入しています。

確定申告も事業所得などと比べると難しくないため、税務調査に対して関心が薄い投資家も多いようですが、本記事で紹介したように問題となるポイントもたくさんあり、決して簡単というわけではありません。

投資規模によっては税務調査で受けるダメージが大きくなる可能性もあるため、少しでも心配な方は事前に専門家に相談しておいた方が良いでしょう。


ジー・エフ税理士法人には不動産投資関係の税務調査対応にて経験豊富な国税出身税理士(国税OB税理士)が多数在籍しています。

不動産投資に関する税務調査や相続関係、その他税務処理について不安やお困り事がある場合はぜひ一度お気軽にお問い合わせください。

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監修者

国税OBパートナー税理士

林 浩二

国税局において、大規模法人の調査審理や組織再編税制・再建支援に係る事前照会担当など専門知識を要する審理事務に長年従事するほか、上場企業など大規模法人の調査事務にも従事。 組織再編税制、調査審理、課税要件判断、争点整理を得意とする。 ExcelのVBA機能を用いてデータ入力の自動化システムを構築するなど、業務効率化のサポート等にも強みをもつ。

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