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デューデリジェンスとは?その種類や目的、M&Aで果たす役割について

デューデリジェンス
デューデリジェンスとは?その種類や目的、M&Aで果たす役割について

ファンドによるベンチャー企業への投資やM&Aの現場では、「デューデリジェンス」という言葉が頻繁に飛び交います。

デューデリジェンスは、日常生活ではほとんど耳にすることのない言葉ではありますが、投資・融資や企業買収のようなビジネスの最先端では多くのシーンで用いられています。

そこで本記事では、デューデリジェンスについての基本的な内容を整理した上で、M&Aの現場ではどのような役割を果たしているのかについて解説していきます。

1.デューデリジェンスとは

デューデリジェンス(Due Diligence)とは、すべきこと(=Due)に励む(=Diligence)という意味で、企業などが当然やるべき注意義務や努力などのことを言います。

投資においてはその対象となる企業やビジネスモデルなどの価値やリスクなどを調査することいい、M&Aにおいては買い手企業が売り手企業の財務や法務などの情報を精査し、M&Aの対象企業として相応しいかどうかなどを総合的に判断するための調査手続きのことをいいます。

またデューデリジェンスは、口頭では「デューデリ」、文章では「DD」などと略されることがあります。

2.デューデリジェンスの目的

まず、デューデリジェンスの目的について解説します。

デューデリジェンスは、おもに以下の5つの目的で行われます。

・企業の実態調査

・M&Aのための情報収集

・株主などの利害関係者への説明

・潜在的な問題点の洗い出し

・ベンチャーキャピタルなどによる投資判断

企業の実態調査

デューデリジェンスでは対象となる企業の財務面だけでなく、法務や労務、ITなどあらゆる面から多角的に、弁護士や公認会計士などの専門家によって調査が行われます。

潜在的なリスクや市場における将来性などを正しく把握し、決算書だけでは分からない本当の企業価値を知ることができます。

M&Aのための情報収集

デューデリジェンスによって、さまざまなリスクや実態に即した企業価値を知ることができるため、買い手として、M&Aを実施するかどうかの最終判断や買収価格の最終調整などを行うことができます。

また、M&A後のシナジー効果がどれくらいの規模で発生しそうかをより正確に予測することができるようになります。

株主などの利害関係者への説明

投資やM&Aのような重大な経営判断を行う場合は、株主をはじめ従業員や取引先などの利害関係者に対してできる限り正確に状況を説明しなければなりません。

デューデリジェンスを行うと外側からだけでは判断できない細かいリスクや将来の可能性を精査することができるため、利害関係者への説明にも役立てることができます。

潜在的な問題点の洗い出し

デューデリジェンスは、対象となる企業を財務面や税務面、法務面などから精査していく過程で、内包しているさまざまなリスクを過去から未来にかけて時系列順にリストアップすることができます。

ベンチャーキャピタルなどによる投資判断

デューデリジェンスを行うことにより、より正確な企業価値や潜在的なリスクなどを知ることができます。

これらはベンチャーキャピタルなどが投資を行うための指標として極めて重要な役割を果たします。

3.デューデリジェンスの種類

デューデリジェンスは、その目的に応じて、調査対象となる企業をさまざまな側面から調査していきます。

その中でもM&Aのために行われるデューデリジェンスとしては、おもに以下のものを挙げることができます。

・財務デューデリジェンス

・法務デューデリジェンス

・税務デューデリジェンス

・その他のデューデリジェンス

財務デューデリジェンス

財務デューデリジェンスとは、M&A対象企業の財政状況や過去の業績、キャッシュフローなどの分析を行い、財務上のリスクや問題点などの調査を行うことをいいます。

財務デューデリジェンスは、収益性の分析や運転資本などの分析はもちろんのこと、決算書上には現れていない簿外債務の有無や訴訟などの偶発債務、また保証債務の有無などを徹底的に調査していきます。

法務デューデリジェンス

法務デューデリジェンスとは、対象企業の契約書類(売買契約書、取引基本契約書、ライセンス契約書など)を確認し、自社に不利なものや違法な内容などが含まれていないかを確認する作業のことをいいます。

また、M&Aによって支配権が変わった場合契約内容に変更が生じる条項(Change of Control条項)が含まれていないかなども確認していきます。

これ以外にも、各種法令を遵守しているかどうか、必要な許認可を取得しているのかどうかなども確認していきます。

税務デューデリジェンス

税務デューデリジェンスとは、M&A後の税務リスクの調査を行うことをいいます。

M&A後の税務リスクとは、対象企業の過去の税務処理の内容に誤りなどがあった場合、M&A後の税務調査で課される重加算税などの金銭的なペナルティやそれに伴う社会的不利益などを指します。

その他のデューデリジェンス

上記のデューデリジェンス以外にも、ビジネスモデルや事業性の調査を行う「ビジネスデューデリジェンス」や、給与体系や退職制度などの人事制度を調査する「人事デューデリジェンス」、IT環境やセキュリティ状況などを調査する「ITデューデリジェンス」などがあります。

4.M&Aにおけるデューデリジェンスの果たす役割

最後に、M&Aにおけるデューデリジェンスの果たす役割について解説します。

M&Aの成立や価格決定プロセスに大きな影響を与える

M&Aの成立プロセスにおいて、基本合意までの段階では、買い手はまだ対象企業のことを十分に理解しているわけではありません。

買い手側は、売り手側から提出されたインフォメーションメモランダムの情報などをもとにM&Aを検討しているに過ぎないため、あくまで「現時点で開示されている情報がすべてで、開示されていない部分についてはイメージ通りだった場合の買収条件」を提示しているだけです。

そのため、買い手側はデューデリジェンスを行うことによってはじめてイメージと現実のズレがどれくらいあるのかを確認することができます。その結果、買い手の最終的な買収判断や価格決定が行われます。

デューデリジェンスの期間について

デューデリジェンスの期間は、売り手企業の規模やデューデリジェンスの範囲によってことなりますが、一般的には1~2ヶ月程度かかると言われています。

デューデリジェンスの大まかな流れは以下の通りです。

1.分析対象となる資料の準備

2.デューデリジェンスの資料を集めた部屋での調査

3.売り手企業の経営陣やキーマンとなる従業員への個別インタビュー

4.資料分析と中間レポートの作成

5.追加調査と最終レポートの作成

デューデリジェンスの費用

デューデリジェンスの費用は、デューデリジェンスの期間と同じように対象となる企業の規模やデューデリジェンスの範囲などによって大きく変わります。

一般的には、中小企業であれば100~500万円程度と言われていますが、規模や範囲が大きくなれば1000万円を超える場合もあります。なお、これらの費用はすべてM&Aの買い手側が負担します。

5.終わりに

投資やM&Aの意思決定を行う時に行われるデューデリジェンスは、その成否において極めて重要な役割を果たしています。

弁護士や公認会計士などの専門家に依頼してあらゆる角度からさまざまなリスクを検討するため、投資やM&Aの最終決定だけでなく、シナジー効果の規模や買収金額の決定など、経営判断に必要な重要事項の多くをリストアップすることができます。

デューデリジェンスは手間をかければかけるほど時間や費用が必要になりますが、今後の成否を握る大切な部分なだけに、できるだけ慎重に行うことが大切です。


ジー・エフ税理士法人では公認会計士、税理士、弁護士、社労士チームによる財務・税務・法務・人事デューデリジェンス業務を行っております。

買収価格のよりどころとなる企業価値評価(バリュエーション)もセットで行っており、上場企業をはじめとする各クライアント様からの実績もあります。

M&Aを検討している、デューデリジェンスの見積金額が知りたいなどご要望がございましたら、ぜひお気軽にご連絡ください。

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監修者

国税OBパートナー税理士

林 浩二

国税局において、大規模法人の調査審理や組織再編税制・再建支援に係る事前照会担当など専門知識を要する審理事務に長年従事するほか、上場企業など大規模法人の調査事務にも従事。 組織再編税制、調査審理、課税要件判断、争点整理を得意とする。 ExcelのVBA機能を用いてデータ入力の自動化システムを構築するなど、業務効率化のサポート等にも強みをもつ。

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