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これで解決!相続税申告でチェックすべき注意点はこの8つ

相続税
これで解決!相続税申告でチェックすべき注意点はこの8つ

相続は誰にでも必ず起こりますが、たいていの場合は人生で2回だけです。

そのうち、実際に相続税の申告書を作成することになるのはせいぜい全体の2割程度ですから、誰にとっても相続税の申告は不慣れで難しい作業です。

そこで本記事では、相続税の申告にあたり、注意すべきポイントの中から特に重要なものを8つご紹介します。

順にチェックしていけば、自信をもって申告書を提出することができるでしょう。

注意点① 基礎控除の計算は合っているか

相続税には基礎控除が認められています。この計算が合っているかどうかで申告義務の有無が決まるため、間違いがないかを確認しておきましょう。

相続税の基礎控除とは

相続税の基礎控除とは、相続財産の合計額から計算に基づいた一定の金額を控除(=引く)してもらえる制度のことをいいます。

したがって、相続財産の合計額より基礎控除の方が多くなれば、相続税が非課税となり、申告の必要もなくなります。

なお、基礎控除の計算方法は以下のように行います。


■相続税の基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人の数

たとえば、法定相続人が配偶者と長男・長女の合計3人であれば、基礎控除は3,000万円+600万円×3人=4,800万円となります。

法定相続人の数の注意点

法定相続人として財産を相続しない場合は、家庭裁判所で申述を行い相続放棄します。

先程の例で、配偶者が仮に相続放棄を行った場合は法定相続人が長男と長女のみの2名となりますが、基礎控除の計算をする時には相続放棄をした人も法定相続人の数に加えて計算をします。

したがって、配偶者が相続放棄を行ったとしても、基礎控除の金額は先程と同じ4,800万円になります。

注意点② 納税額は0円でも申告する必要がある場合がある

注意点①でお話ししたように、相続財産の合計が基礎控除より少なければ、相続税が非課税となるため申告も納税も必要ありません。

ただし、それ以外にも、相続税が0円になるケースがあります。

特例を使えば相続税が0円になるケース

相続税には、さまざまな特例や税額控除などが用意されています。したがって、これらを上手に組み合わせると、相続財産の合計が基礎控除を超えていても納税額が0円になる場合があります。

たとえば、「配偶者の税額軽減」という制度を用いると、1億6千万円もしくは配偶者の法定相続分のどちらか多い方までは相続税がかかりません。

特例は申告しなければ使えない

たとえば、相続税の基礎控除は4,800万円でも相続財産の総額が1億円であれば、配偶者の税額軽減を使えば相続税額が0円にすることができます。

しかし、申告期限内に相続税の申告を済ませなければ、こういった特例や税額控除などは使えません。ですから、必ず期限内に申告しなければいけません。

注意点③ 土地の評価額が高い場合は自分で申告書を作成しない

相続財産の中に土地が含まれている場合は、路線価方式と倍率方式のどちらかを用いて評価を行います。

倍率方式とは

倍率方式とは、路線価方式で定められていない地域(おもに郊外など)において、土地の固定資産税評価額に一定の割合を掛けて評価額を算出する方法のことをいいます。

たとえば、固定資産税評価額が1億円で倍率が1.1であれば、以下のように土地の評価額を算出します。


■倍率方式による評価額=固定資産税評価額1億円×倍率1.1=1億1千万円

路線価方式とは

路線価方式とは、国税庁によって路線価が定められている地域(おもに市街地)の評価方法のことをいいます。

路線価方式による計算は、路線価に土地の広さを掛けて計算しますが、その後で補正を行います。なぜなら路線価方式でとりあえず求める評価額は、土地が綺麗な正方形であると仮定してのものだからです。

ものすごく細長い鰻の寝床のような土地と、綺麗な正方形とでは、面積は同じでも土地の利用価値はまったくことなります。

さらに、その土地が2つの道路に面しているか1つの道路に面しているかによっても、同じ面積で利用価値はことなります。したがって、多くの場合土地の補正が行われます。

この補正は大変難しく、特に土地が広大であったり土地の価格が高かったりする場合は、補正を正しくするかしないかで土地の価格が大幅に違い、最終的には納税額にも多大な影響を及ぼすことになります。

相続財産に広大な土地や高額な土地などが含まれている場合は、申告書を自分で作成するのは止めて、専門家である税理士に相談した方が良いでしょう。

注意点④ 債務はしっかり引いておく

相続財産は、現金預金や土地などのプラスの財産だけでなく、葬儀費用や医療費の未払金などのマイナスの財産も含まれます。

マイナスの財産はプラスの財産から引くことができるため、領収証などをしっかりと集め、少しでも相続税が少なくなるようにしておきましょう。

なお、債務のうち代表的なものは以下のとおりです。

■葬儀費用

■医療費の未払い

■住民税などの未払い

■クレジットカードなどの未払い金

■保証債務など

葬儀費用として認められるもの・認められないもの

上記のうち、葬儀費用に関しては、債務として認められるものと認められないものがあります。葬儀費用として認められるものは以下のとおりです。

■仮葬式

■本葬式

■戒名料

■葬儀に参列した弔問客の車代

■葬儀手伝いの方へのお礼

■その他葬式の前後に発生した費用で通常必要と認められる費用

なお、上記の中には通常領収証が取れないものも含まれています。そのようなものに関しては、メモなどを残しておくことが大切です。

反対に、葬儀費用として認められないものは以下のとおりです。

■香典返し

■墓石の購入費用

■初七日や四十九日の法事に要した費用など

注意点⑤ みなし相続財産には要注意

相続税は、民法上は相続財産とはならないものに対しても課税することがあります。このような相続財産を「みなし相続財産」といいます。みなし相続財産には生命保険や死亡退職金などがありますが、特に注意しなければならないのは以下のものです。

■名義預金

名義預金とは

名義預金とは、預金の名義人と実質的な所有者がことなる預貯金のことを言います。

たとえば、預金の名義は配偶者であっても、実際に引き出して使っているのは被相続人であるような預金は名義預金となります。

これ以外にも、相続税を逃れるために他人名義で作った預金などはすべて名義預金となります。

名義預金は相続税の税務調査で必ずチェックされるポイントの一つです。名義預金は必ず相続財産として計上するように注意しておきましょう。

また、どれが名義預金か判断がつかない場合は、税理士などの専門家に相談してチェックしてもらうことをお勧めします。

注意点⑥ 3年以内の贈与や相続税精算課税制度

被相続人が亡くなった日から3年以内に行なわれた贈与は、相続税の対象となります。

また、生前に相続税精算課税制度を活用して生前贈与を行った場合も同様に、その分はすべて相続税の対象となります。

したがって、3年以内の贈与や相続時精算課税制度を活用した生前贈与があった場合は、これらを相続財産にプラスすることを忘れないようにチェックしておきましょう。

注意点⑦ 際どい場合はとりあえず申告しておく

上述のように、相続財産の合計額よりも基礎控除の方が多い場合は相続税が非課税となるため、申告も納税も必要ありません。

しかし、相続財産の中には現金や預金のように評価が簡単なものもあれば、土地や非上場株式のように評価が極めて難しいものもあります。

基礎控除の額が相続財産の合計額をかろうじて上回るようなケースであれば、とりあえず申告しておいた方が万が一の場合でもペナルティを最小限に抑えることができるでしょう。

注意点⑧ 迷ったら躊躇なく税理士に任せる

冒頭でお話ししたように、相続税の申告は誰にとっても不慣れで難しいものです。しかし一方で、相続税の申告で取り扱う相続財産は多くのケースでかなり高額となります。これは運悪く間違えてしまうと、高額なペナルティが課されてしまう可能性もあります。

税理士に依頼していれば節税をすることができたのに自分でやったためにそれに気づかず、高額な相続税を支払うことになってしまう場合があります。

相続税の申告は、取り扱う金額が大きいだけに、少しでも迷ったら躊躇なく専門家である税理士に任せた方が良いでしょう。

終わりに

相続税の申告は誰にとっても決して簡単ではありませんが、本記事でご紹介した注意点に気を付けながらチェックしていけば、失敗して痛手を被るリスクはかなり減らすことができるのではないでしょうか。

ただし、相続税の申告書は取り扱う金額が大きいため、失敗してしまった場合のダメージが大きいのも事実です。

少しでも心配に思われる場合は、躊躇なく税理士などの専門家に相談するようにして下さい。


ここまで記事をお読みいただきありがとうございました。

複雑な相続税申告でお困りのことがあれば全国対応可能、相続税申告で経験豊富な当税理士法人までお気軽にご相談下さい。

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監修者

統括代表パートナー税理士

勝又 義雅

山田&パートナーズ時代には相続・事業承継をメインとした資産税業務に従事し、上場企業のMBOアドバイザーなど難易度の高い資産税実務を経験。 現在は法人税務を中心として幅広い業務を行っており、税務スキームの検討及び構築・組織再編・グループ法人に関わる税務・富裕層に関連する税務業務やM&A関連業務などを得意分野に持つ。

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