コラム

個人事業主の節税対策はこれ!確定申告で役立つ方法8選【裏ワザあり】

2023.11.09
  • 節税対策
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この記事の監修者

勝又 義雅

統括代表パートナー税理士

税理士法人山田&パートナーズ、野村證券株式会社 法人開発部出向、株式会社ネオラインホールディングス 財務経理部

個人事業主の節税対策は早めに取り組むことが必要です。 「確定申告は年明けだから」と油断していると、できるはずだった対策も間に合わない可能性があります。 本記事では、個人事業主ができる節税対策について解説しています。 余裕をもって確定申告ができるよう、今からでもできることをおさえておきましょう!

青色申告の承認を受ける

個人事業主の場合、青色承認申請を受けることで55万円の控除が受けられます。 言い換えると、申請書を提出して承認されれば、実際にお金を支払っていなくても55万円分の経費を計上できるイメージです。 さらに、e-Taxを利用することで控除額が65万円に増額されます。 ただし、青色承認申請を受けるためには申請書の提出に期限があります。一般的には以下の通りです。(相続の場合を除く)

➀ 最初に青色申告を使用とする年の3月15日までに提出 ➁ 1月16日以後新たに事業を開始した場合は、その事業開始等の日から2ヶ月以内

なお、提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限になります。 青色承認申請を受けると、青色事業専従者給与の届出も提出できます。 事業で支払った給与を経費にできるため、あわせて申請しておきましょう。

必要経費は確実に計上する【裏ワザあり】

事業用の経費は、漏れなく計上する必要があります。 ここで気をつけたいのが、以下の4つです。

➀ 短期前払費用の特例を活用する ➁ 家事費と事業経費の按分をする ➂ 少額減価償却資産の特例を活用する ➃ 経費にできる税金を把握する

これらの内容は知っている方もいますが、知らない方にとっては「裏ワザ」ともいえる内容です。 経費を正しく把握することにもつながりますので、1つずつ見ていきましょう。

裏ワザ①短期前払費用の特例の活用

1年以内にサービスの提供が受けられる場合、翌年分を前払いしていても経費になります。 例えば、年払いしているレンタル料や保険料などがあれば経費計上できます。 ただし、2年分以上をまとめて支払っている場合は、1年以内にサービスを受ける部分だけが対象になるため、支払っている期間で按分する必要があります。 併せて、契約書や実際に支払ったことを証明できる領収書が必要です。 また、一度年払いを適用した場合は毎年継続して同じように経費計上しなくてはなりません。

裏ワザ②家事費と事業経費の按分

「家で使用する費用が混ざっているから」と事業で使用している部分があるにもかかわらず、経費計上しないことはもったいないです。 例えば水道光熱費や固定資産税など、家事費と事業用の両方の合計で支払っている場合には、事業割合で按分することで事業に係る部分を経費計上できます。 具体的には以下のような按分方法があります。

固定資産税・・・事業で使用している面積をもとに按分 水道光熱費・・・電気代につき、事業で使用している時間をもとに按分

水道光熱費は可能であればメーターを分けることで、正しい使用料が把握できます。 また、按分した根拠となる資料が必要になりますので、必ず根拠資料は残しておきましょう。

裏ワザ③少額減価償却資産の特例の活用

固定資産は通常1点当たり10万円以上のものであれば資産計上を行い、耐用年数に応じて減価償却費を計上していくことになりますが、青色申告の承認を受けていれば、30万円未満の固定資産について一括で必要経費として計上できるのがこの特例になります。 例えば、25万円のパソコンを購入した場合、全額を経費として計上できます。 ただし、少額減価償却資産の特例を活用して経費計上できる金額の上限は、1年間の合計で300万円までです。

裏ワザ④経費にできる税金の把握

税金の中でも経費になるものがあります。 「所得税は経費にならないから」と全ての税金が経費にならなと判断するのは誤りです。 個人事業主の場合、事業に関連している以下の税金は経費になりますので、発生している場合には必ず経費計上しましょう。

➀ 個人事業税 ➁ 固定資産税 ➂ 自動車税 ➃ 登録免許税 ➄ 印紙税

なお、所得税・住民税・罰金及び加算金は経費にならないため注意が必要です。

保険料控除の活用

保険料控除を適用することで、最大12万円(旧契約の場合は10万円)の控除が受けられます。 このとき対象になる保険は以下の3つです。

➀ 生命保険料 ➁ 介護医療保険料 ➂ 個人年金保険料

また、地震保険に加入している場合は上記3つとは別に控除の対象になり、5万円を上限に支払った金額の全額が控除の対象になります。

小規模企業共済の活用

いわゆる個人事業主の退職金です。 会社員の場合は、企業が就業規則にあわせて退職金を準備しますが、個人事業主は自分で積み立てる必要があります。 小規模企業共済は、月1,000円から最高70,000円まで掛金を自分で選択して支払うことができ、支払った全額が控除可能です。 例として、70,000円の掛金の場合は84万円の控除が受けられます。

70,000円 / 月 × 12ヶ月=84万円

また、向こう1年分を前払いすることもできますので、最高で168万円の控除が受けられます。

70,000円 / 月 × 24ヶ月(本年1年分と向こう1年分)=168万円

ただし、向こう1年分とあわせた24ヶ月の控除を受けた翌年は、向こう1年分を支払った場合の控除(12ヶ月)しか受けられないため、注意しましょう。 また、小規模企業共済は事業を行っている経営者(個人事業主)しか加入できないため、会社員は加入できません。 その点、個人事業主特有の節税方法と言えます。

経営セーフティ共済の活用

いわゆる「倒産防止共済」と言われているもので、本来の目的は手形問引きがある場合など、あおり倒産を受けないために加入するものです。 また、掛金に応じて無担保・無保証人で借入れができるため、事業主にとってはメリットがあります。 掛金は月5,000円から20万円まで選択でき、途中で増減も可能で上限の800万円に到達するまでかけ続けられます。 例えば、月10万円で1年間掛けた場合、個人事業主が経費にできる金額は120万円です。

10万円 / 月 × 12ヶ月=120万円

小規模企業共済と同様に会社員ではできない節税方法であるため、これ目的のために加入する個人事業主の方も多くいます。

iDeCoの活用

老後の資金のために積み立てるiDeCoも節税対策の1つです。 個人事業主に限らず、個人であれば誰でも活用でき、iDeCoとよく比較されるものにNISAもあります。 しかし、個人事業主が事業の確定申告でできる節税対策とは少し性質が異なりますが、投資をしている方にはメリットがあるため、事業としての節税対策とは別に検討してみましょう。

ふるさと納税の活用

ふるさと納税も所得税と住民税の節税に効果があります。 ただし、所得金額や扶養人数など、個々の状況により得られる節税金額は異なります。 有効活用したい場合には、専門家である税理士に相談することで最も効果が高い寄付金額のアドバイスが受けられます。

個人事業主の節税対策は早めの行動を!

個人事業主の節税対策には、現金の支出を伴うものが多くあります。 もちろん、支払っている自身に対して返ってくるもので、無駄になることはありません。 小規模企業共済や経営セーフティ共済のように、申告年度の経費にするためには期限が設けられている場合もあり、掛金を支払えばいつでも大丈夫というものではありません。 正しい節税方法で、最も高い効果を得るためには早めの準備が必要です。   ジー・エフ税理士法人では、国税局、大手税理士法人、監査法人、投資会社出身の多岐に渡る業務ノウハウを蓄積した専門家による節税対策のご提案や、税務顧問による会計記帳から確定申告までトータル的にサポートしております。 節税・顧問税理士の選定・確定申告など、どんなお悩みででも結構です! ご相談ごとがありましたら、国税OB税理士が在籍するジー・エフ税理士法人へコチラからお気軽にお問い合わせください!  

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