コラム
税務調査の流れとは?調査実施の報告から終了までを2ステップで完全解説!
- 税務調査

事業を営んでいれば法人や個人の区別に関係なく気になるのは”税務調査”。 しかし税務調査は頻繁に発生するものではなく、中には事業を経営している間に一度も経験しない方もいますが、いざ税務調査となった時にどのような流れで進めるのかが気になるのではないでしょうか。 本記事では、税務調査が発生した場合の具体的な流れについて解説します! 後半部分では、税理士と契約している場合としていない場合の違いについても触れています。
税務調査の通達はどうやって来る?
税務署から来る税務調査実施の連絡は電話で行なわれることがほとんどで、下記のどちらかに連絡があります。 ・調査対象となっている企業の経営者 ・税務代理契約を締結している代表税理士 経営者に連絡が入る時は税理士と税務申告のみを契約している場合、代表税理士に連絡が入る時は毎月の顧問契約しており、申告時に「税務代理権限証書」を申告書と一緒に提出している場合が該当します。
税務調査の流れ
ここからは税務調査の流れを順を追って解説していきます。
1.調査期間や範囲、必要書類の確認と準備
税務署からの調査実施の連絡内容には、調査対象期間や調査の範囲、必要書類の確認があります。 多くの場合、調査対象期間は5年(5期分)です。 必要書類の準備に当たっては5年分を用意しますが、実際には直近3年分を確認し、特に問題がなければ5年分を確認することはありません。 5年分確認し、不明点がある場合は、7年分が対象となるため調査が長引くことがあります。 調査の対象となる範囲は、主に下記のように分類できます。
税 目 | |
法人の場合 | 法人税・消費税 |
個人の場合 | 所得税・消費税・相続税 |
法人の場合、消費税の納付が遅れると税務署はすぐに動き出し、調査よりも督促や差し押さえといった行動が先です。 海外取引がある企業でなければ、法人税の調査から入り、流れで消費税も確認します。 このときに、何か消費税に関して疑問が発生したときには、消費税も調査の範囲に入ります。 個人の場合、相続税の申告が発生していれば所得税よりも先に相続税の調査が入る可能性が高くなり、高額な資産の購入が発生している場合、所得税の調査が入る可能性が高くなります。 調査が発生した場合、税務申告書や帳簿、決算書は当然準備が必要ですが、それ以上に帳簿作成の根拠となった領収書や契約書が必要になってきます。 特に、電子帳簿保存法の改正と2023年10月から施行するインボイス制度は、今後の調査でポイントとなる部分と言えます。
2.担当調査官と日程を調整する
必要書類や調査項目の連絡と一緒に、担当調査官の名前と調査日程の調整をします。 通常、2日もしくは3日間の日程調整を行ないます。 調査官の疑問点が解消され、調査を実施しても特に気になる点がなければ、1日で終了することもあります。 調査官は日程の候補を先に告げてきますが、経営者や経理担当者の都合が悪ければ、別の日程を提案しても問題ありません。 また、必要書類の準備に時間がかかる場合には、その旨を伝え日程の再調整をしましょう。
3.担当調査官の来訪
調整した日程で調査官が会社に来訪します。 会社の規模にもよりますが、傾向的に調査官は2名から3名です。 調査の連絡時に、来訪予定の調査官の名前はすべて事前に伝えてもらえます。 調査官や経営者のタイプによりますが、自己紹介のほか調査に入る前に雑談をされる方もいます。 雑談が終了すれば、調査に入ります。
4.申告時に使用した帳簿の確認
現金勘定を使用している場合は現金実査から入ります。 調査官が現金に触れることはないため、経営者や経理担当者が調査官の目の前で現金を数えます。 現金出納帳の残高と現金残高があっていれば問題ありません。 その後は帳簿の保管方法や業務の流れを確認し、帳簿の中身の確認に入ります。 総勘定元帳を中心に確認が始まり、税理士と顧問契約がある場合は電子帳簿の中身を確認できるパソコンが必要です。 調査の間、調査官の人数分だけ使用できないパソコンが発生することに留意し、当日の業務予定を組んでおきましょう。 紙で保管している帳簿や、電子帳簿の必要部分のコピーを調査官に求められることもあります。 従業員に帳簿の中身が知られたくない場合には、コピーが目に触れることのないよう調査を実施する場所を確保しておく必要があります。
5.証憑書類の提示
総勘定元帳を確認している過程で、調査官が不明点の説明を求めることがあります。 その場合、口頭で説明できることも大切ですが、根拠となる書類を提示する方が早い場合もあります。 書類はすぐに提示できるように、準備と内容の把握をしておきましょう。
6.調査報告書の作成
調査官が一連の確認を済ませると、調査報告書を作成します。 調査報告書の内容に基づいて、結果的に修正申告が必要になる場合があります。 そのときは、修正申告書の記載方法や、納税するやめの納付書を別途税務署側が準備するため、指示に従って対応します。 顧問税理士がる場合は、顧問税理士が書類にサインをし、調査終了の通知を受けて終了です。
税務調査発生時における2つのポイント
税務調査が発生した場合、次の2つのポイントがあります。
1.本調査に移行せず終了するケースがある
税理士と顧問契約することで、会社で実施される本調査の前の段階で終了するケースがあります。 税理士が直接税務署へ出向き、調査官と話し合うことで調査したい疑問点が解決する場合です。 税理士は税務のプロであり、経営者や経理担当者が税務のプロである税務署の調査官と話をするよりも、スムーズに調査内容が解決できます。 中には「実際の業務フローどおりに作業が実施されているか確認したい」という調査官もいます。 その場合は、税理士のアドバイスどおりにすることで税務調査を問題なく進められます。
2.資料準備中にミスに気付いても修正はしない
調査に必要な資料を準備している最中にミスに気付くことがあります。 気付いているので修正したいところではありますが、そのままにしておくことが無難です。 税務調査は、疑問がある内容を前提にスタートします。 ミスを修正してしまうことで、疑問を持った時点の申告内容と結果が異なる場合があり、「税務調査があるために、内容を改ざんした」と誤解されることもあるため、そのままにしておきます。 税理士と契約している場合は、事前にミスの内容を伝えておくといいでしょう。 契約していない場合は、調査官に説明ができるように準備をしておくことが大切です。
まとめ
税務調査の連絡はいつ届くかわかりません。 経営者が対応することもできますが、税務調査官は税金のプロであるため、知識の少ない経営者には不利な部分があります。 税理士と契約していれば、税務調査の通知から調査終了まで経営者に代わって対応できます。 「税理士がいれば、修正申告の必要がなかったのに」というケースもあります。 ジー・エフ税理士法人では、税務調査時における国税OB税理士による税務署への事前確認、国税当局の視点を取り入れたサポートなどを行っています。 国税OB税理士をお探しの方、一般的なご相談などお気軽にコチラまでお問い合わせください!
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