コラム記事 一覧

2021.06.08

《タックスヒストリア-ある税理士の独り言》税務職員の誕生

税務関連
「教場」というドラマで警察学校の実像が描かれたり、毎年、防衛大学校の卒業式の模様が放映されたりします。過去にはその生活の模様を取り上げてた番組を見た記憶があります。他にもこのような公務員を教育する機関が存在しています。当然、国税組織にも存在します。税務大学校というところがあり、略して「税大」と言います。 この施設は税務職員のスタートとなる場所です。税務職員採用試験合格後に1年間、国税専門官試験合格後に3ヶ月の研修を受けることになる場所です。この研修が今後続くだろう国税人生の基礎となるものですが、この研修期間では基礎的な税法等を学ぶもので、税務調査のイロハは全くと言って学ぶことはありません。 同じような施設として防衛大学校や警察学校を連想し、規律厳しく、その厳しさに途中で脱落していく者、組織の中になじめない者を振るい落として従順な職員を育成する軍隊のようなものと思うかもしれませんが、実は似て非なるものなのです。   税務大学校での研修は1年と長く、全寮制で税法の基礎、民法・刑法などの俗に言う六法などの基礎を学びます。そして、起床時間、消灯時間など管理がされ厳しいルールの基に生活をするのですが、ピリピリしたものはなくかなり緩い1年間なのです。 しかし、国税職員のイメージは怖い厳しいと多くの方は感じていると思います。その怖さ厳しさは税大でなければどこで作り上げていくのでしょうか。   職業を決めるのに、犯罪を取り締まる警察官になりたい、国を守る自衛官になりたいと明確な目的を持って受験するのではないでしょうか。しかし、税務職員になりたいと思いなった者はどのくらいいることでしょう。何をするところかも知らないで入ってくる者もいます。私もその一人で税金に携わることは分かってもそれ以上のことは知らないで入っていきました。   研修期間中に税務調査というものを初めて知るのですが、その時点では、具体的なことは全く知らずに税務署へ赴任することになります。その後、現場にて実地で覚えていくことになるのです。いわゆるOJTというものです。 1年間の研修が終了すると税務署へ赴任することになります。法人課税部門、個人課税部門、管理運営部門、徴収部門のいずれかの部署へ配属されることになります。どの部署でどのような統括官、先輩と一緒になるかによって違ってきますが、最初の数年でその者の税務人生が左右されるものでもありません。   税務の仕事を続けていくうえで大切なことがあります。それは、税務職員の意識ということになります。単に公務員として与えられた仕事、例えば法人担当であれば税務調査をこなし、指示された点をクリアしていけばいいと割り切る者。正義感といっていいかはわかりませんが不正を許さないという気持ちが強すぎて不正至上主義となり無理な調査展開する者。また、推理ゲームのような感覚で、もつれた糸を紐解くように調査展開する者。十人十色ということです。 これらの感覚は税務大学校では養われません。間違いなく、研修が終了し税務署に赴任してからのものです。このような意識を最初から持つかもしれませんし、5年、10年経ってからかもしれません。その税務職員がどのような環境に身をおくのか。環境とは多くは人のことですが、どの統括官、先輩と関わるかということで変わっていくものです。   税務調査がある場合、担当調査官の経歴等を確認することで、どんな調査をするかがイメージできるというでもあります。 執筆者:野原 渉

月別アーカイブ