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2021.06.29

そもそも税務調査の対応は依頼できるの?連絡が来た後でも契約は間に合う?

税務調査

税理士に税務調査対応を依頼するメリット・デメリットのまとめ

ある日突然、税務申告書に記載されていた電話番号に所轄税務署の調査官から電話があり、 「〇月〇日から〇日間の予定で税務調査を行う」 と告げられたら、一般の納税者はびっくりすることでしょう。
  • 当日までの事前準備
  • 当日の応対をどのようにすべきか
などについて皆目検討がつかないでしょうし、何より、
  • 調査官に対する畏怖
  • 懐具合や財産を検査されることの恐怖
によって、必要以上に身構えるというのが般的な納税者の姿でしょう。 税務調査に納税者が単独で対応するのではなく、税務に関する独占資格を有する税理士に依頼して、税理士による立会の下で行うことが理想的です。 ここで、税理士に税務調査の対応を依頼することのメリットとデメリットを整理します。

メリット

心理的な安心感を得ることができ調査官のペースを軌道修正できる

相手は税務調査一筋数十年のベテランであり、その税法(会社であれば法人税・個人事業者であれば所得税)の出身系統を定年まで背負うのが通常ですので、本業のかたわらで経理や税務申告をしている事業主とは、その税法に関する知識の差に雲泥の差があります。 大人と子どもが対等に渡り合って交渉することが不可能であるように、どうしても調査官のペースで調査が進行してしまい、反論しようにもできない、相手にさえされないということがしばしば起こります。 それに対して、税理士に税務調査の立会を依頼すれば、少なくとも調査官との知識の差を埋めることができるほか、調査官の当初の目論見に納税者を引き込むことが困難となり、納税者にとって比較的納得の得やすい結論を得られやすくなります。

課税要件に沿った主張をしてもらえる

税金は税法という法律に基づいて課税されるため、調査官が税額の増加に伴う修正申告を求める場合には、税法の規定を根拠としなければなりません。 しかし、実際には、「納税者が『ごめんなさい』と言っているから重加算税をかける」といった、税法の規定を度外視した課税執行がないわけではありません。 税理士に税務調査の立会を依頼すれば、
  • どのような税法の規定に基づいて修正申告を求めているのか。
  • その規定で課税される要件に本件の事実関係がどのように当てはまるのか。
といった、法律論で調査官に対応してもらえるのに加えて、
  • 「みんなこれで課税しているから」
といった、納税者側の情報不足に付け込んだ説得を回避することにもつながります。

修正申告に対応してもらえる

仮に、税務調査の結果、当初申告による申告もれが明らかとなり、納税者がそれに納得した場合には、修正申告書を提出し、追加の税額を納付することになります。 しかし、修正申告書は当初申告の申告書と様式が異なり一般の納税者が見慣れているものではありません。 税理士に税務調査の立会を依頼して、修正申告書の作成も併せて依頼すれば、修正申告書の作成業務にも対応してもらえますし、延滞税、加算税、その後の住民税といった税務調査で直接問題となった税金を含めた「グロスで納付すべき税額の目途」を事前に教えてくれるため、納税資金を用意する上でも安心です。

デメリット

税理士報酬がかかる

当初申告において税理士に関与を依頼する場合でも申告書作成報酬などの費用が必要であるように、税務調査の立会・その後の交渉・修正申告書の作成といった業務を税理士に依頼する場合には、それぞれに税理士報酬を必要とし、納税者本人が自力で対応した場合には要しない費用がかかることは致し方ありません。

税理士の経験によって決着が変わる可能性がある

一口に「税理士」といっても個性があり、様々な分野で活動しているため、どの税理士に依頼しても同様の対応がなされ、同様の決着がなされるとは限りません。 税理士に税務調査の立会を依頼する際には、報酬面のみに着目するのではなく、
  • どの分野(税法)が得意なのか。
  • 税務官署の勤務経験があるのか否か。
  • どの程度の経験年数があるのか。
といった視点から候補者を選択するのが望ましいといえます。

依頼時の料金相場

税理士の報酬規定は過去には存在しましたが現在は撤廃されており自由競争の世界になっています。 そうはいっても、調査官による税務調査にまともに対応してもらうためには、相応の税理士報酬は必要となることは避けられません。 その納税者の営む事業(相続税であれば保有する財産)の規模や難易度にも依りますが、通常は、1人の税理士の日当として、3万円から10万円くらいの範囲の中で報酬規定を設定している税理士事務所が多いのではないかと思われます。 また、対応のメインとなる税理士と補助者によって、上記の日当単価に差を設けているところもあります。 税務調査の妥結に難渋することによって、税理士の対応日数が増加すれば、税理士報酬も一般的には増加するのが通常でしょう。

自身で対応する際の準備や必要書類

税務調査の立会を税理士に依頼するのが理想的とはいえ、費用面の制約などによって自力で対応するほかないケースもあるかもしれません。 事前準備としては、
  • 総勘定元帳や経費帳といった帳簿
  • 通帳や現金出納帳などの入出金の履歴
に加え、調査の対象となった年度について、
  • 売上であれば見積書控・納品書控・請求書控・領収書控
  • 仕入・経費であれば見積書・納品書・請求書・領収書
といった、取引の実在性に関する証拠資料を時系列で整理しておく必要があるでしょう。 また、商品販売業であれば棚卸資産(在庫)に関する資料というように、決算をするために必要であった資料についてはひと通り揃えておき、調査官から求められれば遅滞なく提供できる態勢を整えておく必要があるでしょう。 資料の提供に過度に時間を要する場合や、あるべき資料が紛失・散逸している場合には、その決算の信頼性が低下し、
  • 調査範囲(期間)の拡大
  • 仮装隠ぺいの疑い(重加算税)
を招くことになりかねません。

想定外の出費と万一のリスクを考えるなら依頼すべき!

これまでご説明したように、事前にどれだけ準備をしても、一般の納税者が誰の支援も受けることなく自力で調査官対応に当たることは望ましいことではありません。 大方の調査官は誠実かつ良心的だと思われますが、中には、本来であれば少額で済んでいたはずの税額を最大限に膨らまして自らの成績にしようとする者がいないとは限りません。 税理士に税務調査の立会を依頼することは、
  • 納税者のプレッシャーを最低限度に抑制する。
  • 納税者の言いたいことを税法の言葉に翻訳して調査官に伝えてくれる。
のみならず、
  • 納税者と調査官の知識・経験の差をカバーして納税者に不利にならない結論を導く。
という点からも有用であり、これらのメリットは、通常は税理士報酬を上回る効果があるのではないかと思われます。 しかし、上記のメリットを最大限活かすためには、税理士だから誰でも良いという選択ではなく、自らの置かれたリスクに最適任の税理士を主体的に選択する必要があります。 当初申告から税理士の関与を受けていればその税理士に税務調査の依頼をすることが一般的ですが、
  • 当初申告は自力で行った。
  • 当初申告は税理士に依頼したが調査対応にはいささか不安がある。
といった場合には、上記の視点から税理士を選択してはいかがでしょうか。

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