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個人で税務調査の対象になるのはどんな人?対象になりやすい例や対策、コツなどを解説!

税務調査
個人で税務調査の対象になるのはどんな人?対象になりやすい例や対策、コツなどを解説!

 

“自分の事業が税務調査の対象になったらどうしよう”

 

このように個人事業主の方や、副業収入がある個人の方で思う方もいらっしゃると思います。

最近の税務調査の傾向は、実地調査件数は減少しているものの1件当たりの追徴課税額は増加傾向にあります。

 

本記事では、最近の税務調査の概況から見た、対象になりやすい人を税目や特徴別にご紹介します。

調査の実例を挙げ、いざ調査の対象になってしまった時の対策方法や円滑に進めるコツも併せて解説します。

 

個人を対象にした税務調査の種類【傾向と概況】

個人や個人事業主を対象にした税務調査の種類は、大きく分けて下記の3つがあります。

● 所得税等の税務調査
● 相続税の税務調査
● 富裕層に対する税務調査

税務調査には傾向があり、必ず調査される内容もあれば新たな改正部分に対応できているか確認する調査もあります。

いずれの場合も「どのような内容を中心に調査しているか」という傾向を知ることで、正しい申告ができ税務調査の実施される確率を下げられます。

 

参考:令和3事務年度における所得税及び消費税調査等の状況について|国税庁

 

上記の表は、国税庁より発表された所得税と相続税の税務調査の件数をまとめたものです。

この表からわかることは、どの税目も実地件数は減少しているものの、1件当たりの追徴課税は増加しています。

実地調査先を選別するにあたり「追徴課税の発生する可能性が高い」事案について、ピンポイントで実施している可能性が高いことを意味しています。

緊急事態宣言以降、的を絞った税務調査が実施されています。

なお、表にある「簡易な接触」とは、実地調査とは異なり納税者の自宅や事務所へ出向くことなく文書や電話により来所を促し、面談により申告内容を是正する方法のことをいいます。

 

ターゲット別の税務調査

1. 所得税等の税務調査

所得税の税務調査で主にターゲットとなりやすい方の例として、” 個人事業主・フリーランス”” 副業している会社員”の2パターンが挙げられます。

個人事業主やフリーランスだけではなく、働き方改革により副業が解禁されたことで個人でネットを利用した物販が可能になり、「所得が正しく申告されているか」というポイントで厳しくチェックされています。

税務署内には、個人で物販をしている人の取引の流れだけをチェックしている調査官がおり、高額な取引内容には売買している本人の知らないところでチェックされています。

2. 相続税の税務調査

相続税を申告している方たちのうち、3割程度が調査対象となっています。

相続税の調査で特徴的なものは「調査の時期」です。

申告した年に実地調査が実施されるケースもありますが、多くは翌年の秋ごろに実施されます。

時間の経過とともに記憶や資料の紛失もあるため簡単に処分せず、申告した方は申告書だけの保管ではなく添付書類や根拠資料を保管する必要があります。

特に、不動産売買の売却がある場合は売買契約書の保管が必要です。

3. 富裕層に対する税務調査

メインとなるのは株式の譲渡所得に関する調査です。

多くの国内株式については特定口座を使用していますが、古くから所有している口座の場合、源泉徴収されていないことがあります。

ネット取引の増加もけん引し、税務署から申告漏れを指摘されるケースが増加しています。

 

税務調査当日に向けての準備

税務調査の実施が決まった場合、事前に準備する書類があります。

調査の手法とあわせて整理すると、必要書類をはじめ調査官が質問してくる内容も見えてきます。

税務調査での必要書類や手法を簡単にまとめると、下記のとおりです。

調査の手法
内 容
必要書類
  照 合 会計帳簿を作成するに当たっての過程を確認 ・会社案内
・組織図
・自社が販売している商品の
カタログ
・業務フロー
・議事録や稟議書
  実 査 「現金実査」といわれる現金出納帳と手許現金の残高照合をはじめ、固定資産の確認を行う ・現金出納帳
・取引先元帳
・預金口座の残高証明書
・預金通帳
  確 認 取引の事実や数量、金額の確認

架空計上されているものがないかの確認

・納品書
・請求書
・領収書
・契約書
・見積書
・取引先元帳(補助元帳)
・総勘定元帳
・扶養控除申告書
・給与台帳
  補 完 調査対象が取引をしている取引先への反面調査が代表的 (調査対象企業が準備するものはないが、すでに発行されている上記資料をもとに、取引先に控えがあるか確認)

 

税務調査における証拠書類のチェックポイント

請求書や納品書には、チェックポイントがあります。主に下記6点の内容が問われます。

 1. 記載事項に誤りがないかどうか
2. 日付、取引先名に誤りがないかどうか
3. 流用、改ざん、偽造の疑いはないかどうか
4. 記載内容と事実に食い違いはないかどうか
5. 印紙は貼付されているかどうか(特に契約書)
6. 取引の継続性や規則性はあるかどうか

この中でも「6. 取引の継続性や規則性はあるかどうか」については注意が必要です。

たとえば、内装工事や外壁工事など工事の見積書と請求書があったと仮定します。

通常であれば、工事の見積書や請求書には番号が振ってあり、どのような工程で工事を進めていくか確認が可能です。

一連の工事の工程が、この番号の流れと一致しない、あるいは不自然なときには反面調査を実施します。

税務署によって反面調査が実施されるとき、調査対象事業者が悪質性を疑われていると考えられます。

 

調査官からの質問対策

調査官からどのような質問を受けるのかも気になるところです。

多くの場合、調査官は下記(一例)のような、雑談ともとれる質問内容からスタートします。

1. 事業を開始した経緯
2. 事業に従事している血縁者や従業員の構成
3. 提供している商品やサービスの内容と業績
4. 指揮命令系統
5. 個人事業以外に関係会社がある場合は取引関係
6. 会計帳簿の作成方法および保管方法
7. 事業主の家族構成や趣味
8. 主要取引先やメインバンク

このような雑談から、調査官は処理上のミスが起こりやすい部分の見当をつけています。

ミスがあった場合、必ず追徴課税が発生するわけではなく「行政指導」という形で終了することもあります。

質問に答える必要はありますが、辻褄が合わない回答では疑いは晴れません。

取引内容の正確な把握が必要です。

 

個人の税務調査でよく聞く事例

個人の税務調査では、人件費がターゲットになることも珍しくありません。

法人でも「人件費と外注費の違い」は代表的な税務調査での争点です。

個人事業主でも従業員を雇用して給与の支給をしている場合や、身内を従業員として雇い専従者給与を支給しているときには、ターゲットになりやすい傾向があります。

青色申告書を提出しているか否かで、給与として支給した金額を全額経費にできるかどうかが決まります。

青色申告するためには各種申請・届出書の提出が必要であり、芋ずる式に申請書や届出の提出の有無が確認されます。

最近は、青色申告を適用していない場合に限り、開業届の提出がなくても確定申告をしていれば、管轄の税務署にもよりますが、特に指導はされない傾向があります。

個人事業で人件費を確認する場合、下記3つの届出書を提出していることが必要です。

1. 個人事業の開業・廃業等届出書
2. 所得税の青色申告承認申請書
3. 青色専従者給与に関する届出書

特に、個人事業主は「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出することで、法人企業には必須の「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」の代わりを果たします。

また、源泉徴収関係の書類整備も必要です。源泉徴収関係の書類は下記のとおりです。

● 扶養控除申告書
● 賃金台帳
● 所得税徴収高計算書(源泉所得税の納付書)

源泉所得税の調査を実施するとき、調査官は事前に納税状況を把握しています。

個人からの徴収漏れがある場合、事業主に源泉徴収義務があるため納付を求められるのです。

従業員が在籍していれば精算できますが、在籍していなければ精算できないため事業主が負担することになります。

また、退職者が発生していて退職金の支給がある場合は源泉徴収の方法が異なります。

計算方法は国税庁のサイトに記載があり、その計算式で計算します。

(参考:No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)|国税庁)
 

専従者給与は、事前に提出している届出の内容通りに支給しなければならないため、身内に支給する場合でも、銀行口座に振り込むなど証拠が残る方法が必要です。

 

税務調査を円滑に進めるコツ

税務調査を円滑に進めるには、大きく分けて下記のポイントです。

          円滑ポイント             対処方法
    質問への回答方法 ●      客観的資料をもとに説明

●      現状を正しく把握している人に説明してもらう

●      即答できないときはその理由を的確に伝える

  指摘事項への対処方法 ●      単純な誤りには、素直に従う

●      主張しておきたいことは、根拠資料をもとに理論的に伝える

●      納得できないことに対しては、納得できるまで説明を求める

 

 

調査官は、税務調査に対応する会社の担当者がハッキリしていないことや、提出を求めた資料がすみやかに出てこないことを嫌う傾向があります。

中小企業の調査には調査官が2名ほど立ち合うのが通常です。

2名が交代に同じ内容の質問をした場合、回答がコロコロ変わることも嫌います。

嫌うだけであれば問題ありませんが「嫌う=何か不審な点があるのではないか」という疑いを持たれてしまうこともあります。

実地調査に入るときには、事前に対象年度を教えてもらえるため、先に確認し証拠書類を整えてくことがポイントです。

 

まとめ

実地で税務調査を行う件数は減少していますが、確実に追徴課税が発生するようなケースに的を絞っている傾向があり、個人事業主や副業をしている会社員も、税務調査の対象になります。

調査が実施されても毅然とした態度で挑むことが必要になります。

申告書だけでなく、申告の根拠となる書類の保存などいつ税務調査が発生しても、対応できるよう日頃から整理しておくことが大切です。

 

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当事務所に在籍する国税出身税理士による「現地調査側の目線」と「審理側の目線」といった国税出身者だからこその視点と経験であなたの税務調査をサポートいたします。

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監修者

国税OBパートナー税理士・米国公認会計士

會田 敏哉

国税局において、上場企業をはじめとする大規模法人の調査審理や、製造・サービス・国際取引など広範囲にわたる業種の税務調査事務、とりわけITの専門的技術を駆使した税務調査事務に長年従事。 都内税理士法人において、上場企業をはじめグループ法人、小規模企業などの税務会計顧問業務や、メガバンクが提供する税務相談サービス業務に従事。

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