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デューデリジェンスの進め方とは?基本的な手順や注意事項などを徹底解説
近年では、若手経営者のスタートアップやベンチャー企業などが、銀行などの金融機関ではなくベンチャーキャピタルを利用して資金調達を行うケースが増えてきました。
その審査の際に、必ずクリアしなければならないのがデューデリジェンスです。
デューデリジェンスは、こういった投資の場面だけでなく、M&Aを進めるプロセスの中でもっとも重要なウェイトを占めています。
M&Aが成功するかどうかは、デューデリジェンスのやり方によって大きく左右されると言っても過言ではありません。
そこで本日は、「デューデリジェンスとは何なのか?」といった基本的な内容から、進め方の手順やデューデリジェンスについての注意事項などについて解説していきます。
1.デューデリジェンスとは
デューデリジェンス(Due Diligence)とは、直訳すると「当然すべきこと(Due)を勤勉にこなす(Diligence)」という意味で、投資家であれば、投資先の企業について精査をすることをデューデリジェンスといいます。
また、M&Aも買い手側企業が行う投資ですから、売り手企業に対してデューデリジェンスが行われます。
デューデリジェンスの目的
デューデリジェンスの目的は、対象を精査し、その価値やリスクをできるだけ正確に捉えることにあります。
M&Aであれば売り手企業を、ベンチャーキャピタルであればスタートアップを精査し、最終的にM&Aや投資の判断やその規模を決めるための判断材料とします。
ですから、デューデリジェンス次第でM&Aが成立したり、不成立に終わったりします。
デューデリジェンスに必要な期間
デューデリジェンスに必要な期間は、対象となるものの規模などによって大きく変わります。
たとえば中小企業のM&Aであれば、通常は1~2ヶ月程度ですが、小規模であれば2週間程度で済む場合もあります。
逆に非上場とはいえ大企業に近い規模であれば、2ヶ月では済まない事もあります。
デューデリジェンスの費用
デューデリジェンスには、後述のようにさまざまな種類があり、多くの場合それぞれを各専門家に依頼します。
ですから、多くの専門家に依頼すれば多額の費用がかかりますし、小規模で済ますのであればそれ程かかるわけではありません。
一般的に、目安としては、中小企業のM&Aの場合でも最低50~300万円程度はかかると言われています。
2.デューデリジェンスの種類
デューデリジェンスは、精査する対象に応じてさまざまな角度から行われます。
したがってその種類も多種多彩ですが、ここでは中小企業のM&Aに的を絞り、以下の5つについて解説します。
・財務デューデリジェンス
・法務デューデリジェンス
・税務デューデリジェンス
・ビジネスデューデリジェンス
・人事デューデリジェンス
財務デューデリジェンス
財務デューデリジェンスは、過去の決算資料や取引資料などをもとに、財務状況や収益性を分析し、簿外債務などのリスクを調査するために行なわれます。
通常は買い手側企業のからの依頼を受け、会計事務所(税理士)や監査法人(公認会計士)などが行います。
法務デューデリジェンス
法務デューデリジェンスでは、得意先との契約書類などのチェックやリース物件や担保などの調査、法令順守すべき事項に関する調査などが行われます。
同時に、M&A後に訴訟リスクの有無なども確認します。
法務デューデリジェンスは、ほとんどの場合買い手側から依頼された弁護士が行います。
税務デューデリジェンス
税務デューデリジェンスでは、過去に行われた売り手側の税務申告の内容をチェックし、将来的に税務調査などで否認されるリスクがないかどうかを確認します。
これも、多くは会計事務所(税理士)や監査法人(公認会計士)などが行います。
ビジネスデューデリジェンス
ビジネスデューデリジェンスでは、売り手側のビジネスモデルや収益構造、市場での優位性やリスクなどを調査し、M&A後のシナジー効果の分析などを行います。
買い手側の社内で行われる場合もありますが、多くはコンサルティング会社などに依頼して行われます。
人事デューデリジェンス
人事デューデリジェンスでは、売り手企業の給与体系や福利厚生などを調査して統合後の人件費にどのような影響が及ぶのかを調べるとともに、就業規則の内容や労働組合との関係から労務問題のリスク調査を行います。
3.デューデリジェンスの進め方
ではここで、実際にデューデリジェンスがどのように進められていくのかを解説します。
デューデリジェンスの目的や対象によって変わることもありますが、中小企業のM&Aであれば、大まかに以下の流れでデューデリジェンスが進められていきます。
1.基本方針の決定
2.事前情報の整理
3.開示資料の確認と追加資料の請求
4.マネジメントインタビュー
5.収集した資料の分析
6.中間・最終報告書の作成
1.基本方針の決定
はじめに、デューデリジェンスの基本方針を決定します。
どの種類のデューデリジェンスをどれくらいの期間をかけ、またどれくらいの予算で行うのかなどをはじめに決めておきます。
2.事前情報の整理
デューデリジェンスの基本方針が定まったら、事前に集められる情報をもとに、基礎情報を整理しておきます。
登記簿謄本や定款、就業規則や税務申告書類、得意先などとの各種契約書類やリース書類などをあらかじめ提出してもらえれば、事前に精査しておくことができます。
こうしておくと、デューデリジェンスにかける時間そのものを節約することができます。
3.開示資料の確認と追加資料の請求
デューデリジェンスを行う専門家チームが、売り手企業が用意したデータルームで開示資料の確認を行います。
不足分があれば担当者に追加資料の請求を行い、不明点については各担当者に問い合わせを行います。
4.マネジメントインタビュー
データルームでの資料チェックと並行して、経営陣や各部署の主要従業員に対する聞き取り(マネジメントインタビュー)が行われます。
ここで、資料だけでは分からない会社の収益構造や問題などを調べ上げて行きます。
5.収集した資料の分析
ここまで集めた資料や調べた内容、マネジメントインタビューなどをもとに、資料の分析を行います。
6.中間・最終報告書の作成
分析された資料をもとに、中間報告書や最終報告書が作成されます。
これにより、M&Aを行うのかどうかや最終的な買収価格をいくらにするのかなどが買い手企業側で話し合われます。
4.デューデリジェンスの注意点
最後に、デューデリジェンスの注意点を、M&Aの売り手と買い手別に整理してみます。
売り手側の注意点
自社に不利な情報でも正しく伝え、デューデリジェンスに可能な限り協力的な態度で臨むようにしなければなりません。
「M&Aをどうしても成立させたい!」「買い手にできるだけ高く買い取って欲しい!」と思う気持ちは分かりますが、デューデリでやって来る専門家は全員その道のプロです。多少隠したところですぐに分かります。
相手に誤解されないように、デューデリジェンスにはできるだけ協力的な態度で臨むべきでしょう。
買い手側の注意点
デューデリジェンスで入手した相手側の情報の管理は厳重にしておかなければなりません。
特に、マネジメントインタビューではキーマンとなる従業員に社内の状況を尋ねることもあります。
M&Aの情報が従業員に事前に漏れてしまったら、M&Aそのものが不成立となってしまうこともあります。
ですから、情報の管理にはくれぐれも気を付けなければなりません。
5.終わりに
ビジネスの現場で正しい投資判断をするためには、デューデリジェンスは欠かせません。
デューデリジェンスによって、「投資すべきかどうか」「投資規模をどれくらいにするか」が決まります。
M&Aの現場もまったく同じで、デューデリジェンス次第でM&Aの成否は大きく変わります。
デューデリジェンスを外部に依頼する場合は、デューデリジェンスの業務に精通している専門家に依頼するように心がけましょう。
ジー・エフ税理士法人では公認会計士、税理士、弁護士、社労士チームによる財務・税務・法務・人事デューデリジェンス業務を行っております。
財務・税務・法務・人事デューデリジェンスのご依頼や御見積をご希望であればぜひお気軽にお問い合わせください。
国税OBパートナー税理士
林 浩二
国税局において、大規模法人の調査審理や組織再編税制・再建支援に係る事前照会担当など専門知識を要する審理事務に長年従事するほか、上場企業など大規模法人の調査事務にも従事。 組織再編税制、調査審理、課税要件判断、争点整理を得意とする。 ExcelのVBA機能を用いてデータ入力の自動化システムを構築するなど、業務効率化のサポート等にも強みをもつ。
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