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非嫡出子の法定相続分は?遺産分割協議の注意点

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非嫡出子の法定相続分は?遺産分割協議の注意点

亡くなった被相続人の相続人である非嫡出子がいる場合、遺産分割協議は非嫡出子を含めて行う必要があります。

非嫡出子は、嫡出子に比べて親族と疎遠なケースも多いと考えられますが、相続に関する権利(法定相続分)に違いを設けるべきかについては、長い間議論が重ねられていました。

非嫡出子の法定相続分については、数年前の最高裁決定によって大きく取り扱いが変わりましたので、最新の法令内容を踏まえて解説します。

非嫡出子とは?

非嫡出子とは、法律上の婚姻関係にない男女の間で誕生した子のことをいいます。

実務上は、男女が結婚した後で女性が出産し、その子を「私たちの子です」という形で役所に届け出れば、「嫡出子」として取り扱われます。

これに対して、

・未婚の女性が出産した場合
・結婚後200日以内に出産した子を非嫡出子として届け出た場合
 (夫とは別の男性の子を出産した場合など)

については、その子は法律上「非嫡出子」として取り扱われます。

非嫡出子が嫡出子ともっとも大きく異なる点は、父親との法律上の親子関係が当初は存在しないということです。

非嫡出子であっても、母親が実際に出産をした女性であることは明らかなので、母親との法律上の親子関係は当初から認められます。

一方、非嫡出子の父親が誰であるかについては必ずしも明白であるとは限りません。

さらに、父親は非嫡出子と一緒に生活しないなど両者間の生活上の結びつきが弱い場合も多いです。

そのため民法では、父親が非嫡出子を認知してはじめて非嫡出子と父親の間に法律上の親子関係が発生することが定められています(民法784条)。

非嫡出子と嫡出子の法定相続分に差はある?相続に関する他の違いは?

非嫡出子は、嫡出子と比べて親族と疎遠というイメージがあるかもしれませんが、実態は家族によるとしか言いようがありません。

相続に関しても、非嫡出子には嫡出子よりも劣った権利しか与えられない時代が長く存在しましたが、現在ではその状況は変化しています。

非嫡出子の法定相続分は嫡出子と同じ

現在では、非嫡出子にも、嫡出子と同じ法定相続分が認められます。

たとえば相続人が配偶者A・嫡出子B・非嫡出子Cの3人だった場合、それぞれの法定相続分は、

  • A:2分の1
  • B:4分の1
  • C:4分の1

となり、BとCの法定相続分は同じです。

以前は非嫡出子の法定相続分は嫡出子の半分とされていましたが、平成25年9月4日の最高裁大法廷における決定によって、当時の規定が法の下の平等に反して違憲と判断されました。

この決定を受けて、非嫡出子にも嫡出子と同等の法定相続分を認める法改正が行われ、現在のルールに至っています。

なお、最高裁決定においては非嫡出子の法定相続分を嫡出子と区別すべきではないことの根拠として、以下のように述べられています。

・家族という共同体の中における個人の尊重がより明確に認識されてきたことは明らかである
 
・父母が婚姻関係になかったという、子にとっては自ら選択ないし修正する余地のない事柄を理由としてその子に不利益を及ぼすことは許されず、子を個人として尊重し、その権利を保障すべきであるという考えが確立されてきている

父親を相続する場合は認知が必要

ただし、前述のように非嫡出子の出生当初は父親との間に法律上の親子関係が存在しません。
したがって、非嫡出子が父親を相続する場合は、父親からの認知が必要となります。

なお、父親が非嫡出子を認知せずに亡くなった場合には、非嫡出子は父親の相続人を相手に「認知の訴え」を提起することが可能です(民法787条)。

一方、非嫡出子と母親との間には、出生当初から法律上の親子関係が存在しますので、非嫡出子は自動的に母親の相続人になります。

遺産分割協議は相続人全員参加が必須

非嫡出子がいる場合には、嫡出子たちとは交流が乏しいとしても、遺産分割協議は非嫡出子を加えた全員で行う必要があります。

非嫡出子が参加しない遺産分割協議は無効

遺産分割協議は、共同相続人の協議により行うことができるとされています。(民法907条1項)

「共同相続人」とは相続人全員のことを意味していますので、1人でも相続人が欠けた遺産分割協議は無効となってしまいます。

非嫡出子が被相続人や嫡出子と疎遠だからといって、非嫡出子を仲間外れにして遺産分割協議を進めてしまうと、後で非嫡出子の側から無効を主張されてしまう可能性が高いでしょう。

この場合、遺産分割がやり直しとなり二度手間になってしまいます。

さらに、遺産分割がやり直しになる場合、税法上は新たに贈与や譲渡などの取引が行われたものとみなされるため、贈与税や所得税が余分にかかることがあります。

また、不動産の再移動がある場合には不動産取得税や登録免許税が再び課税される点もデメリットです。

このように、非嫡出子を無視した遺産分割協議を行うことは結果的に手間や負担を増やしてしまうので避けましょう。

戸籍を調査して相続人を漏れなく把握すべき

有効に遺産分割協議を行うためには、非嫡出子を含めた相続人全員を漏れなく把握することが大切です。

相続人が誰であるかを確定するためには、被相続人の戸籍を調べる必要があります。

そして、被相続人の戸籍に記載されている子などの情報を丹念に辿ることではじめてすべての相続人を確定することができるのです。

戸籍は慣れていない方にとっては読み方が難しい面があるので、遺産分割に万全を期したいという方は、税理士などの専門家にご相談ください。

まとめ

非嫡出子の法定相続分は、最高裁の違憲決定を経て現在では嫡出子と同じになっています。

ただし、非嫡出子が父親を相続する際には、父親による認知が必要となる点に注意しましょう。

有効に遺産分割を実施するには、非嫡出子を含めた相続人全員の間で遺産分割協議を行う必要があります。

 

ジー・エフ税理士法人では、相続に特化した税理士や国税出身OB税理士が在籍しております。

相続に関するサポートから相続スキームの構築、必要に応じて国税OB税理士による国税当局目線でのダブルサポートを行っております。

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監修者

統括代表パートナー税理士

勝又 義雅

山田&パートナーズ時代には相続・事業承継をメインとした資産税業務に従事し、上場企業のMBOアドバイザーなど難易度の高い資産税実務を経験。 現在は法人税務を中心として幅広い業務を行っており、税務スキームの検討及び構築・組織再編・グループ法人に関わる税務・富裕層に関連する税務業務やM&A関連業務などを得意分野に持つ。

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