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被相続人が連帯保証人になっていたら?連帯保証債務の相続について

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被相続人が連帯保証人になっていたら?連帯保証債務の相続について

亡くなった被相続人が第三者の債務を連帯保証していた場合、連帯保証債務が相続の対象になる場合があります。

連帯保証債務は、保証の対象となる債務の内容によっては、思いがけず高額になってしまうというケースもしばしば見受けられます。

この記事では、連帯保証債務が相続の対象となるかどうかについて解説します。

連帯保証債務が相続される場合とは?

連帯保証債務が相続されるかどうかは、債務の内容によって変わります。

法律上のルールとしては、相続の対象は「被相続人の財産に属した一切の権利義務」(民法896条)とされています。

連帯保証債務も、被相続人の債務であることに変わりはないため、原則として「被相続人の財産に属した一切の権利義務」に該当します。

よって、連帯保証債務は原則として相続の対象となるのですが、一部の特殊な保証の形を取っている場合には、例外的に相続の対象外とされています。

まずは、相続の対象となる連帯保証債務にはどのようなものがあるかについて見ていきましょう。

特定保証の場合

「特定保証」に係る連帯保証債務は、相続の対象になります。

特定保証とは、保証の対象である債務(主たる債務)がすべて特定されている保証をいいます。
たとえば、

「AのBに対する100万円の貸金返還債務をCが保証する」

という内容であれば、主たる債務は「100万円の貸金返還債務」という形ですべて特定されていますので、「特定保証」に当たります。

特定保証に係る連帯保証債務は純然たる金銭債務ですので、相続の原則に従い相続の対象になります。

極度額の定めがある根保証の場合

極度額の定めがある「根保証」の場合、保証債務全体が相続の対象となります。

根保証とは、特定保証と対になる用語で、保証の対象である債務(主たる債務)の全部または一部が特定されていない保証をいいます。
たとえば、

「AのBに対する100万円の貸金返還債務および金銭消費貸借契約に基づくその他一切の債務をCが保証する」

という内容であれば、「100万円の貸金返還債務」は特定されているものの、「金銭消費貸借契約に基づくその他一切の債務」がどのくらいの金額になるのかは流動的で不特定といえます。

このような保証は、「根保証」に該当します。

個人が根保証をする場合、現行民法に従うと「極度額」を定めることが必須とされています(民法465条の2第2項)。

極度額とは、保証債務の上限金額のことです。

たとえば「極度額を500万円とする」という定めがあれば、連帯保証人は500万円の限度で連帯保証債務を負います。

極度額が定められている根保証債務については、やはり純然たる金銭債務であって、相続を認めても相続人にとって必ずしも酷ではないと考えられています。

よって原則どおり、相続の対象となります。

相続の対象とならない連帯保証債務とは?

一方、以下の連帯保証債務については、相続を認めることが適当ではないものとして、相続の対象外とされています。

極度額の定めがない根保証債務(既に発生している部分を除く)

個人根保証債務の中には、極度額の定めがないものがあります。

現行民法は2020年4月1日から施行されていますが、それ以前に締結・更新された契約に基づく根保証には、極度額の定めが不要であった旧民法のルールが適用されているからです。

極度額の定めがない根保証債務を相続の対象としてしまうと、相続人は無限大の債務を負ってしまう可能性があり、相続人にとって過酷な結果となります。

そのため、極度額の定めがない根保証債務については、「相続発生時点で既に発生している債務を除いて」相続の対象外とされています。

身元保証債務

身元保証債務は、相続の対象外とされています。

身元保証は、家族・親族などの個人的な繋がりに基づいて行われるケースがほとんどのため、一身専属的な債務と考えられているからです(大判昭和2年7月4日)。

ただし、身元保証に基づいて、相続開始の時点で何らかの具体的な金銭債務などが発生している場合には、その限度で相続の対象となります(大判昭和10年11月29日)。

連帯保証債務を相続しないで済む方法は?

連帯保証債務の負担があまりにも重い場合には、①相続放棄または②限定承認のいずれかの方法を取ることにより、連帯保証債務の相続を免れることができます。

なお、相続放棄・限定承認のいずれも原則として「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」に行う必要があります。

相続放棄

相続放棄とは、「被相続人の財産・債務を一切相続しない」という意思表示をいいます。

この場合、連帯保証債務を含めた一切の債務を相続せずに済む反面、財産についても相続できなくなってしまいます。

相続放棄をする場合には、財産と債務の金額を十分に調査し、どちらが上回っているかを事前に精査することが大切です。

限定承認

限定承認とは、「相続財産の金額の限度で債務を相続する」という意思表示をいいます。

限定承認をすると、相続により承継する権利の金額がマイナスになることは計算上なくなります。
そのため、債務の規模が未知数であり、財産と債務のどちらが上回っているのかわからないという場合には、限定承認をすることが有効です。

限定承認をする場合には、法律上込み入った手続きが必要となるので、税理士等専門家に相談するとより安心です。

まとめ

連帯保証債務は、極度額の定めがない根保証や身元保証といった例外を除いて原則として相続の対象となります。

連帯保証債務の金額は、思いがけず巨額に及んでしまうケースもあり得るので、しっかりと債務の内容を調査したうえで、相続放棄や限定承認も含めて対応を検討することをおすすめいたします。

また、予期せぬ過大な負担を背負ってしまうことがないように、被相続人が連帯保証債務を負っていないかを十分に調査するため、早めに税理士などの専門家への相談も必要になります。

 

ジー・エフ税理士法人では、相続に特化した税理士や国税出身OB税理士が在籍しております。

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監修者

統括代表パートナー税理士

勝又 義雅

山田&パートナーズ時代には相続・事業承継をメインとした資産税業務に従事し、上場企業のMBOアドバイザーなど難易度の高い資産税実務を経験。 現在は法人税務を中心として幅広い業務を行っており、税務スキームの検討及び構築・組織再編・グループ法人に関わる税務・富裕層に関連する税務業務やM&A関連業務などを得意分野に持つ。

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