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税務調査と売上規模の関係とは?税務調査が来やすいパターンとその対処法

税務調査
税務調査と売上規模の関係とは?税務調査が来やすいパターンとその対処法

起業して事業が無事軌道に乗り、売り上げが順調に伸びてくると、多くの経営者が気にするのが税務調査です。

「売り上げが〇〇万円を超えると税務調査が行われる」とか「売り上げが少なければ税務署は来ない」のような噂話は、いつの時代も事欠くことがありません。

そこで本日は、売上規模が増えて税務調査が心配になって来た経営者の方を対象に、税務調査と売上規模の関係について解説していきます。

 

1.売上規模は税務調査に関係する?

はじめに、売上規模と税務調査の関係について考えてみましょう。売上規模は税務調査と果たして関係があるのでしょうか?

結論から言えば、売上規模と税務調査はある程度以上関係があると言って間違いありません。

そもそも税務調査の目的は、対象となる企業の申告内容に誤りがないかどうかを確認することであり、間違いがあればそれを正すことにあります。

その場合、売上規模の小さな企業よりも大きな企業の方が、申告内容のミスの影響は大きくなりがちです。

したがって、徴税事務の効率化の観点から、規模の大きい企業の方が小さい企業よりも税務調査の頻度が多くても不思議ではありません。

とは言っても、これは確率論的に売上規模が小さい方が税務調査の対象となりにくいというだけの話で、実際に売上規模が小さいうちは税務調査が行われないという訳ではありません。

税務署内でどの企業に税務調査を行うかを決定する際には、国税総合管理(KSK)システムによるスクリーニングが行われています。

これは、売上規模に関係なく取引の異常値を検出することができるため、異常値が出れば、たとえ売上規模が小さくとも税務調査の対象となることもあるのです。

 

2.税務調査先はどうやって決まる?

では次に、税務調査先がどのように決まるのかについて解説します。税務調査は、一般的に、以下の8つの場合に行われやすいと言われています。

・過去の税務調査で悪質な隠ぺいなどがあった

・売上が伸びているのに利益が減少している

・勘定科目の一部に変動幅の大きなものがある

・税務調査の重点業種である

・長い間(もしくはこれまで一度も)税務調査を受けていない

・消費税の還付を受けた

・売上高が毎年1,000万円もしくは5,000万円をギリギリ切っている状態が続いている

・顧問税理士がいない

過去の税務調査で悪質な隠ぺいなどがあった

過去の税務調査で悪質な隠ぺいなどが見つかり、重加算税が課税された場合は、かなりの確率で3〜5年後に税務調査が再び行われると言えます。

単なる申告ミスでなく内容が悪質なものであれば、税務署からは再犯率が高いと判断されてしまいます。

そのため、こういった場合は必ず税務調査が行われるものと考え、しっかりとした対策を練っておく必要があります。

 

売上げが伸びているのに利益が減少している

売上が伸びれば利益「率」が減少することはありますが、一般に売上が伸びればそれに応じて利益「額」は増えていくのが自然です。

しかし、売上げが伸びているのに利益が伸びない(もしくは減少している)場合は、何か不自然なことが起こっているのではないかと疑われます。

税務署から見れば、このような状況であれば「不正な会計操作によって利益の圧縮が行われている」とみなされる可能性が高いため、いつ税務調査の対象となっても不思議ではありません。

 

勘定科目の一部に変動幅の大きなものがある

家計費の内訳を見た場合、どの家庭でも、家族が増えたり引っ越しをしたりするなどの特別な事情がない限り、前年と比べて支出額の内訳がそれほど大きく変わることはありません。

これは、企業の財務諸表上でも同じことです。

特定の勘定科目が著しく増減したり、原価率が激しく変動したりすれば、税務署からは「何か特別なことが起きているのでは?」と疑われてしまいます。

こういった場合は、税務調査の対象となる確率がぐっと高くなります。

 

税務調査の重点業種である

自社が税務調査で不正が多い業種に属している場合は、何の問題がなくても頻繁に税務調査が行われることがあります。

特に、現金商売を行っている事業者や飲み屋、パチンコホールなどは毎年不正の多い業種の上位を占めているだけに、売上規模に関係なく定期的に税務調査が行われると考えておいた方が良いでしょう。

 

長い間(もしくはこれまで一度も)税務調査を受けていない

売上規模が小さかったり赤字続きだったり、さまざまな理由から長い間(もしくはこれまで一度も)税務調査を受けていない場合があります。

このようなケースでは、税務申告などに特に問題がなくても税務調査が行われることがあります。

 

消費税の還付を受けた

消費税は国の税収を支える大切な屋台骨であるだけに、税務署は消費税の還付にはとりわけ目を光らせています。

そもそも、大型の設備投資や海外取引などの特別な場合を除けば、消費税が還付となることはそれほど頻繁には起こりません。

したがって、消費税が還付となった場合は、税務調査が行われる確率が高まったと考えておいた方が良いでしょう。

特に還付額が多い場合は、その確率が一層高くなると考えておいた方が良いでしょう。

その場合は税務調査に備え、帳簿類や証憑類などをしっかりと整理しておいた方が良いでしょう。

 

売上高が毎年1,000万円もしくは5,000万円をギリギリ切っている状態が続いている

売上高が毎年1,000万円を切っていれば、消費税の課税事業者にならなくて済みます。しかし、毎年の売上高がギリギリ1,000万円を切り続けているとしたらどうでしょうか?

当然、税務署からは「何らかの操作をしている」と疑われても不思議ではありません。

また、売上高が5,000万円を下回っていれば、消費税額の計算上有利となることが多い簡易課税制度を選択することができます。

これも同様に、売上高が毎年ギリギリ5,000万円を下回る程度で推移していたらどうでしょうか?「そんなに都合よく行くなんて何か変だな?」と税務署から思われても不思議ではありません。

 

顧問税理士がいない

税理士は税の専門家ですから、申告書の作成でミスをすることは滅多にありません。しかし、税の専門家ではない人物が申告書を作成する場合はどうでしょうか?

ちょっとしたイージーミスはもちろんのこと、とんでもないレベルの間違いがあったとしても、不思議ではありません。

したがって、顧問税理士に税務申告を依頼していない企業は、依頼している企業と比べると、税務調査を受ける確率がぐっと高まります。

 

3.売上規模と税務調査の「〇×」と「×」

では次に、売上規模と税務調査にまつわる噂話の信ぴょう性について検証してみましょう。

 

検証1.売上規模が小さければ税務調査に来ない

上述のように、規模が大きい企業とくらべれば税務調査が比較的行われにくいのは本当ですが、それは一面に過ぎません。

KSKで異常値が検出された場合や過去の調査などで悪質な隠ぺいなどが見つかった場合は、かなりの確率で税務調査が行われると考えておいた方が良いでしょう。

 

検証2.売上規模が大きいから税務調査は必ず来る

適切な会計処理が行われており、過去の調査で何の問題もなければ、必ずしも頻繁に税務調査が行われるということはありません。

税務署の職員数は限られているため、できるだけ効率よく調査を行う必要があります。したがって、何の問題もない優良企業であれば、一般的に税務調査の頻度は少なくなる傾向にあります。

 

検証3.赤字続きだから税務調査に来ない

消費税の課税事業者は、黒字・赤字に関係なく、消費税の申告と納税を行わなければなりません。

ですから、たとえ赤字であっても、消費税が適正に申告されているのかをチェックするために税務調査が行われる可能性は十分にあります。

 

検証4.売上高が1,000万円を切っていれば税務調査は行われない

上述のように、売上高を誤魔化して1,000万円を下回るように調整し、消費税の課税事業者となることを逃れようとするケースも考えられます。

したがって、1,000万円を不自然な形で下回り続けていれば、税務調査の対象となる確率は上がっていくと言っても過言ではありません。

 

4.売上規模が増えても税務調査を心配しなくて済むためには

税務調査を行うかどうかを決めるのは、税務署や国税局です。ですから、税務調査が行われないようにすることはできません。

ただし、税務調査を心配しなくても済むようにすることならできます。

まず、常に適正な会計処理を行い、税務調査が行われてもできる限り非の打ち所がないようにしておくことです。そうすれば、自然と税務調査の頻度は下がっていきます。

また、きわど過ぎる節税などは行わず、できるだけ健全な形で企業を経営していくことを心がけることも大切です。

最後に大切なのが、税務調査に力を入れている税理士に依頼することです。医師に専門分野があるように、税理士にも専門分野があります。

法人税などの税法が得意な税理士もいれば、税務調査が得意な税理士もいます。

税務調査が行われれば、最終的には税務署との交渉が必要となる場合があります。こういったケースでは、税務調査に強い税理士が絶大な力を発揮してくれます。

 

5.終わりに

売上規模が増えると、税務調査を心配するようになる経営者は少なくありません。

確かに売上規模が増えれば税務調査のリスクも増えていきますが、それ以外にも税務調査のリスクが増える要因はたくさんあります。

したがって、どうしても税務調査が心配な方は、できるだけ早い段階から税務調査に力を入れている税理士に依頼した方が良いでしょう。


当税理士法人には多数の国税OB税理士(国税出身税理士)が在籍しており、税務調査に関する経験や税務調査対応に関するノウハウを数多く蓄積しています。

売上増のため今後の税務調査がご心配な方は、税務調査対応に特化している当税理士法人までお気軽にご連絡下さい。

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監修者

国税OB税理士

平野 克憲

国税局時代は上場企業をはじめとする大規模法人のうち、特に調査が困難とされる特別調査部門における調査事務を担当。 税務調査現場に臨場して証拠・事実の収集を行う現場調査系の調査官としてもキャリアも積み、企業視点での税務調査対策を熟知する強みを持つ。

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