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国税OB税理士(国税出身税理士)が税務調査に強いって本当?

税務調査
国税OB税理士(国税出身税理士)が税務調査に強いって本当?

1.国税OB税理士(国税出身税理士)とは

国税OB税理士とは、国税の勤務経験によって税理士資格を得て、国税職員を退官した後に資格登録した税理士をいいます。

調査実務などを10年以上勤務すれば税理士試験のうちの税法科目(法人税法・所得税法・相続税法・消費税法など)が免除され、23年以上勤務すれば、それに会計科目を含めた全科目の免除を得ることができます。

10年の勤務の間に税理士試験の会計科目に合格し、10年を経過して国税職員を辞職して税理士登録する者は稀ですが、23年以上の勤務で全科目の免除を得て、40代後半で辞職して税理士登録する者は一定数存在します。

しかし、税理士資格は取得しても、定年まで勤務して税務署長などのポストを歴任し、退官後に税理士登録する者が一般的です。

過去には、税務署長や国税局の部長をもって退官するような幹部職員には、国税局が税理士登録後の顧問先のあっせんをしていた時代もありましたが、現在は国税局がそのような行為をすることはなくなっています。

そのためか、国税職員が当然に税理士登録するとは限らない時代になっています。

2.国税OBは税務調査に強い?顔が利くって本当?

一般的に「国税OB税理士は税務調査に強い」「顔が利く」と言われますが、これには、2つの側面があります。

1つは「国税OB税理士は国税内部の仕組みや資料収集状況を良く理解しており、現役国税職員による着眼点などの推察能力が高い」ことが期待されています。

確かに、長年国税職員として勤務していれば、税務署にはどのような資料が蓄積されて、どのような基準で調査先を選定しているのかを占うことができるでしょうし、「自分が調査官だったらどのように終結させるか」といった視点を持ち合わせていることで、「ここまで指摘しているが、最終的にここまで妥協すれば調査官は承服して更正処分をしてこないのではないか?」といった頃合いを見計らうこともできるかもしれません。

しかし、納税者が期待するのは、往々にしてもう1つの側面であり、「このOB税理士は、現役の国税職員の元上司・先輩であり、その人間関係を利用して指摘事項の一部又は全部を値切ってくれるのではないか。又は、本税はしょうがないとしても、重加算税の賦課については圧力をかけてくれるのではないか。」ということです。

過去のOB税理士と国税職員との関係がどうであったかはともかくとして、少なくとも現在においては、後者の「値切ってくれる」期待を国税OB税理士にかけるのは期待倒れになる可能性が高いと思われます。

国税OB税理士と現役国税職員の癒着については過去にいくつも事件に発展しており、その都度、国家公務員倫理法などの両者の関係を律するような法整備が行われています。

中には、過去の「国税OB税理士という顔が通用した時代」から抜け出せずに、自分の影響力によって現役国税職員が譲歩することを信じている国税OB税理士がいるかもしれませんが、もはやそれが通用した時代ではなくなってきているようです。

3.経験が乏しい税理士に依頼してしまうと?

税理士資格になるルートは、大別して以下の類型に分類され、実は、❶の税理士試験を経由した者は全体の登録者の半分もいないのが現実です。

❶ 税理士試験合格
❷ 大学院免除
❸ 公認会計士・弁護士免除
❹ 国税職員免除

また、❶の税理士試験に合格した者であるからといって、全科目(5科目)を受験しているとは限らず、うち数科目は❷の大学院免除で経由しているという者も一定数存在します。

確かに、国税OB税理士は、まさに課税する主体である税務署・国税局に長年勤務していたが故に、経験という一日の長があることはいうまでもありません。

一方で、以下のウィークポイントを持っているということも言えるでしょう。

❶ 申告書をチェックする能力はあっても申告書を書ける能力があるとは限らない。

❷ 国税組織は税目の縦割りであり出身系統外の系統については知識・経験が少ない。

❸ 幹部級に出世すると定年まで10年程度現場を離れて最新の税法に疎くなる。

例えば、「国税OB税理士であるというだけで顧問や税務調査の対応を依頼したが、自社は法人であるにもかかわらず、その国税OB税理士の出身系統は資産税系統で、申告業務も税務調査対応も不慣れだった」ということがあり得ます。

そうすると、せっかく国税OB税理士の手腕を期待して契約したにもかかわらず、その経験が活かされないばかりか、処理能力という点で税理士試験合格者の税理士よりも劣り(国税OB税理士は概して高齢です)、期待外れに終わることもないわけではありません。

国税OB税理士は、税務調査の経験においては、税理士試験合格者や大学院などの免除による税理士よりも長けていますが、自社のニーズに合った税法の調査経験に長けていることが前提であり、そうでなければ、逆に厄介な存在になってしまう可能性がありますので、その選任に十分注意が必要です。

4.依頼すべき税理士の選び方は実績と人柄

結局のところ、税務調査において依頼すべき税理士は、自社のニーズにあった税法についての調査経験が豊富な税理士であるか否かに尽きることになります。

また、1人の税理士が国税内部の組織や資料収集状況に精通している必要はなく、1つの税理士事務所(税理士法人)に、

❶日常の税務申告の処理の正確性・迅速性に長けた担当者
❷微妙な税務判断について申告方針のアドバイスをする審理系統の経験豊富な担当者
❸税務調査時の対応に安心感のある担当者

が満遍なく揃っている事務所は、総合力として自社の税務アドバイザーとして有用であるといえます。

具体的には、通常の事業年度は❶の担当者が効率よく行い、

決算時の税額影響の大きな微妙な税務判断については❷の担当者が必要に応じて関与し、

いざ税務調査で疑問が呈されれば❸の担当者が関与して理論的に抗弁するといった具合でしょうか。

そういった総合力で勝負できる税理士事務所は、自ずと個性豊かな職員が在籍していることが多く、自社との相性が良い担当者に当たる可能性も高くなります。

そういった自社との相性が良い担当者に面倒見良く関与されて、トピックスが生じた際には専門の担当者が関与するといった形態が理想的ではないでしょうか。

5.国税OBは安心感が高いがコネで税額を減らしてくれることは無い!

これまで見たように、「とにかく国税OB税理士だから安心」という時代は過ぎ去りました。

現在でも、「あの国税OB税理士先生の事務所の関与を受けていれば税務調査の選定から外れる」といった噂があるかもしれませんが、いわゆる都市伝説のような状況ではないかと思われますし、仮にそのような運用が国税組織で現実に行われているとすれば、由々しき問題として取り上げられているでしょう。

それでも、「国税OB税理士の関与を受けたい」という要望があるようでしたら、「顔が利く」「現役国税職員に圧力を掛けられる」といった旧弊の基準で選択するのではなく、より「審理面」に影響を発揮できる者を選任するのが実利的ではないかと思われます。

最近は、税理士試験合格者が主宰する税理士事務所(税理士法人)において、国税OB税理士を顧問税理士に迎えるというケースが増えており、また、顧問税理士ではなく常勤職員として国税OB税理士を採用するケースもあります。

これは、先に見たような、総合力で顧問先に最適な税務アドバイザリーサービスを提供することに加え、税務調査で指摘される可能性を最小限にする当初申告書を提出するための事前チェック要員として関与を受けるという意味合いもあります。

このような税理士事務所(税理士法人)は、自社にとっては税務サービスの「良いとこ取り」ができることになりますので、そういった視点で人的構成のバランスの良い事務所の関与を検討するのも一考だと思われます。

 

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監修者

国税OBパートナー税理士・米国公認会計士

會田 敏哉

国税局において、上場企業をはじめとする大規模法人の調査審理や、製造・サービス・国際取引など広範囲にわたる業種の税務調査事務、とりわけITの専門的技術を駆使した税務調査事務に長年従事。 都内税理士法人において、上場企業をはじめグループ法人、小規模企業などの税務会計顧問業務や、メガバンクが提供する税務相談サービス業務に従事。

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