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【この順番が一番簡単!】相続税申告の必要書類の種類と集め方について

相続税
【この順番が一番簡単!】相続税申告の必要書類の種類と集め方について

相続税の申告書を作成して提出するためには、その前にさまざまな書類を集める必要があります。

申告書に添付して税務署に提出するものから、税務署に提出はしないけれど相続税の申告書を作るために必要なもの、そして遺産を相続するかどうかを判断するために必要なものまで含めると、その数は膨大です。

「相続に必要な書類を集めるために何度も役所や銀行に行って大変だった」という話を聞いたことはありませんか?

必要な書類が見つかるたびにその都度集めていてはあちこちを走り回ることになり、時間ばかり掛かって非効率的です。

本記事では、相続税の申告書を提出するまでに必要な書類、最小限の労力で必要な書類がすべて揃う順番を解説します。

被相続人が死亡してから必要書類を集めるまでの流れ

はじめに、被相続人が亡くなってから相続税申告書を提出するまでに必要な書類を集める流れについて説明します。

資料の収集が必要となるのは、以下の4つの場面です。

 1.相続人を確定する
 2.相続財産を確定する
 3.遺産分割協議書を作成する
 4.相続税申告書を提出する

1.相続人を確定する

相続税の申告書を作成するためには、誰が相続人になるのかを特定しなければなりません。

遺言書がある場合は遺言書の指示に従って相続人が決定されますが、遺言書がない場合は必要な書類を集めて法定相続人を確定しなければなりません。

2.相続財産を確定する

相続人が確定したら、次は相続財産を確定します。
預貯金や生命保険、土地や建物など、それぞれの財産に応じた必要書類を集めて相続財産を確定していきます。

3.遺産分割協議書を作成する

相続財産が確定したら、誰がどれだけの財産を相続するのかを相続人同士で話し合い、その内容を記した遺産分割協議書を作成します。

これには相続人の実印を押印するため、相続人全員の印鑑証明が必要になります。

4.相続税申告書を提出する

遺産分割協議書をもとに相続税の申告書を作成したら、必要な資料を添付して税務署に提出します。

この資料も、提出前までに集めておかなければなりません。

相続税の申告書を作成して提出するためには、ここで紹介した4つの場面でそれぞれに必要な書類を集めていくことになります。

こちらの記事で相続税申告書の書き方について解説していますので、併せてご参照ください。

 

相続税申告に必要な書類の基礎知識

次に、上述の4つの場面に沿ってそれぞれ必要な書類に関する基礎知識をまとめてみます。

なお、必要書類をできるだけ効率よく集めるためには、前項で紹介した4つの順に進めることで最小限の労力で必要書類を集めることができます。

相続人を確定するために必要な書類の基礎知識

誰が法定相続人なのかを特定するためには、被相続人が生まれてから亡くなるまで間の戸籍謄本が必要になります。

この戸籍謄本はすべて連続していないとダメなので、被相続人の本籍地が何度も変わっている場合は特に注意して下さい。

相続財産を確定するために必要な書類の基礎知識

相続財産を確定するために必要な書類は、財産の種類によってそれぞれことなります。

預貯金の場合は各金融機関が発行した残高証明が必要になります。また、土地や建物などの不動産の場合は登記簿謄本などが必要になります。

なお、同一市町村内に存在する不動産であれば、名寄帳を市区町村役場で取得することができます。

具体的な内容については、次項で説明します。

遺産分割協議書を作成するために必要な書類の基礎知識

上述のように、遺産分割協議書を作成するためには相続人全員の印鑑証明が必要になります。

相続税申告書を提出するために必要な書類の基礎知識

相続税の申告書に関する必要書類は以下の2つです。

 ・作成のために必要で税務署に提出するもの
 ・作成には必要だが税務署には提出しないもの

税務署に提出するものとしては、被相続人の戸籍謄本や相続人全員の戸籍謄本などがあります。

一方、税務署には提出しないものとしては、生前贈与や名義預金の有無を調べるための被相続人や相続人の通帳などが挙げられます。

次項では、この相続税の申告に必要な書類について、もう少し掘り下げて説明します。

相続税申告に必要な書類一覧とその説明

ではここで、相続税申告に必要な書類の一覧について紹介します。

ここでも、上述の4つの場面に沿って説明します。

■相続人を確定するために必要な書類の一覧

必要書類取得先備考
被相続人の除籍謄本・改正原戸籍被相続人の住所地の市区町村役場死亡から出生まで連続しているもの

まず、被相続人死亡時の住所地を管轄する市区町村役場で除籍謄本を入手し、それをもとに順番にさかのぼりすべての謄本を集めます。

■相続財産を確定するために必要な書類の一覧

上述のように、相続財産を確定するために必要な書類は財産の種類ごとにことなります。ここでは、代表的なものを紹介します。

■預貯金がある場合の必要書類の一覧

必要書類取得先備考
預貯金の残高証明各金融機関亡くなった日の残高証明を発行してもらうこと
通帳もしくは取引履歴自宅もしくは金融機関生前贈与や名義預金の確認用に5年分用意する

通帳は5年分集めて下さい。

もし見つからなければ、金融機関で取引履歴を発行してもらいます。

■不動産がある場合の必要書類の一覧

必要書類取得先備考
名寄帳市区町村役場不動産の確認のため
登記簿謄本法務局全部事項証明書を取得する
公図・測量図法務局土地の形状の確認のため

インターネットで該当する不動産の所在する住宅地図をダウンロードしておくと便利です。

■生命保険・死亡退職金がある場合の必要書類一覧

必要書類取得先備考
保険金の支払調書保険会社被相続人が保険料を負担していたものに限ります
保険証自宅もしくは保険会社契約内容の確認のため
退職金手当支払計算書被相続人の勤務先

相続財産として計上する生命保険は、保険料を被相続人が負担していたものに限ります。

配偶者などが負担していた場合は、相続財産とはなりません。

■株式などの有価証券がある場合の必要書類一覧

必要書類取得先備考
株主総会通知書自宅もしくは発行元配当を受ける権利を証明するため
配当金支払通知書自宅もしくは発行元株式の内容を確認するため
顧客勘定元帳取引のあった証券会社取引先の証券会社
直近3年間の決算書発行元非上場株式の場合評価に必要

非上場会社の株式が相続財産に含まれている場合は、当該会社の直近3年間の決算書を用いて株式の評価を行います。

■葬儀費用に関する必要書類一覧

必要書類取得先備考
葬儀費用の領収証葬儀会社葬儀費用の確認や証明に必要
葬儀費用の支払メモ自宅心付けなど領収証のないものに必要

葬儀費用には、僧侶などに渡す心付けなども含まれます。

これらは領収証がなくてもマイナスの相続財産として計上することができるため、支払メモなどを作成しておきましょう。

■未払医療費・租税公課・債務などがあった場合の必要な書類一覧

必要書類取得先備考
領収証病院など医療費などの未払金がある場合
納税通知書市区町村役場固定資産税の未納分がある場合
準確定申告の納付書自宅準確定申告を行った場合
借入金残高証明書自宅もしくは金融機関住宅ローンなどの債務がある場合

被相続人が入院していた場合、医療費の未払分はマイナスの相続財産として計上することができます。

それ以外にも、固定資産税の未納分や準確定申告の納税額なども同様です。

■遺産分割協議書を作成するために必要な書類一覧

必要書類取得先備考
印鑑証明市区町村役場相続人全員の印鑑証明

遺産分割協議書には各相続人が実印を押印します。それを証明するために相続人全員の印鑑証明を用意します。

■相続税申告書を提出するために必要な書類一覧

相続税の申告書に添付する書類は、財産の内容やどの特例を使うかなどで異なります。

■誰でも必ず添付が必要な書類一覧

必要書類取得先備考
被相続人の除籍・改正原戸籍市区町村役場出生から死亡時まで連続していること
被相続人の住民票除票市区町村役場死亡時の住所地を証明するため
相続人全員の戸籍謄本市区町村役場相続人であることの証明のため
相続人全員の戸籍の附票市区町村役場相続人の住所の確認のため
遺産分割協議書自宅遺言書がない場合
相続人の印鑑証明自宅遺言書がない場合
遺言書自宅遺言書がある場合
被相続人の略歴自宅簡単なものを作成する
相続人全員のマイナンバー自宅もしくは市区町村役場本人確認書類として

遺言書がある場合は遺言書を添付し、ない場合は遺産分割協議書を作成して添付します。ただし未分割の場合はこの限りではありません。

■配偶者の税額軽減を用いる場合に必要な書類一覧

必要書類取得先備考
戸籍謄本市区町村役場
遺言書市区町村役場遺言書がある場合
遺産分割協議書市区町村役場遺言書がない場合
印鑑証明市区町村役場遺言書がない場合
申告期限3年後以内の分割見込書自宅未分割の財産がある場合

未分割の財産がある場合でも、申告期限3年後以内の分割見込書を提出し、3年以内に分割する場合に限り配偶者の税額軽減を用いることができます。

■小規模宅地等の特例を用いる場合に必要な書類一覧

必要書類取得先備考
印鑑証明市区町村役場
財産を取得した者の住民票の写し市区町村役場相続開始日以降に作成されたもの
申告期限3年後以内の分割見込み書自宅未分割の財産がある場合

配偶者の税額軽減の場合と同様に、未分割であっても、申告期限3年後以内の分割見込書を提出し、3年以内に分割する場合に限り小規模宅地等の特例を用いることができます。

■家なき子の特例を用いる場合に必要な書類一覧

必要書類取得先備考
賃貸借契約書自宅もしくは不動産会社相続人に持ち家がないことを証明するため

被相続人と同居をしていない相続人が小規模宅地等の特例を用いる場合は、相続人に持ち家がないことを証明するために賃貸借契約書が必要となります。
※被相続人と生前同居していなかった親族が、その自宅を相続する場合でも小規模宅地等の特例が使える場合を特別に「家なき子の特例」といいます

いつまでに用意すればいいのか?

相続する財産よりも借入金等の負債の方が多い場合は、相続放棄や限定承認を検討しなければなりません。

相続放棄は被相続人の死亡日から起算して3ヶ月以内に手続きを行わなければならないため、相続人の確定と相続財産の確定は少なくとも3ヶ月以内には行わなければなりません。

したがって、この2つに必要な資料もそれに合わせて3ヶ月以内に用意しておきましょう。

また、相続税申告書の提出は被相続人の死亡日の翌日から10ヶ月以内と定められているため、遺産分割協議書と相続税申告書の作成・提出に必要な書類も10ヶ月以内には用意しておかなければなりません。

申告書の作成をスムーズに行うためには、財産を相続することが決まった段階で出来るだけ早く用意しておきましょう。

必要書類をそろえるのが難しい場合の対処法

どういった書類が必要になるのかは、最終的にどのような控除や特例を使って相続税の申告を行うのかによって変わります。

したがって、相続税の申告に必要な書類をそろえるのが難しい場合は、税理士に相談しながら進めていくのも一つの方法です。

まとめ

本記事では大抵の相続であれば必要な書類の収集ができるようご紹介しました。

しかし、書類の収集や申告に少しでも不安のある方は、できるだけ早い段階で税理士などの専門家に相談して下さい。

相続税の申告には期限があり、期限内に申告が出来なければ相続税の税額を軽減できる特例などが使えないため、本来支払うべき金額よりも多額の相続税を支払うことに繋がります。

被相続人が残してくれた大切な財産を少しでも無駄にしないように、リスクは最小限に抑えるように心がけましょう。

ジー・エフ税理士法人では、相続税に特化した税理士や国税出身OB税理士が在籍しております。

相続税申告に関するサポートから節税スキームの構築、必要に応じて国税OB税理士による国税当局目線でのダブルサポートを行っております。

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監修者

統括代表パートナー税理士

勝又 義雅

山田&パートナーズ時代には相続・事業承継をメインとした資産税業務に従事し、上場企業のMBOアドバイザーなど難易度の高い資産税実務を経験。 現在は法人税務を中心として幅広い業務を行っており、税務スキームの検討及び構築・組織再編・グループ法人に関わる税務・富裕層に関連する税務業務やM&A関連業務などを得意分野に持つ。

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