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2022.06.25

飲食店の税務調査はどうやって行われる?調査方法や対応策などを解説

酒税法
社会のあらゆる場所でデジタル化が進み、クレジットカードや電子マネーの利用者が増えたことにより以前と比べると紙幣や硬貨の流通量は格段に減りました。
とはいえ、まだまだ現金による決済が行われている事業も少なくありません。その代表が飲食店です。

材料費や人件費の高騰が販売価格に転嫁するのが難しく、低い利益率で日々悪戦苦闘している飲食店にとって、カード会社に支払う手数料は利益をさらに圧迫してしまうため、導入にはどうしても躊躇してしまいます。

その一方で、デジタル化に舵を切らないことによるデメリットもたくさんあります。
最大のデメリットが現金の管理で、取引量が増えれば増えるほど売り上げの管理を正しく行うのが難しくなり、間違いが起こる温床となっています。このような原因により、飲食店は他業種と比べると高い頻度で税務調査が行われています。

そこで本記事では、飲食店の税務調査にテーマを絞り、飲食店の税務調査では何が行われ、そのためには何をどのように準備しておけば良いのかなどについてじっくりと解説していきます。

1.飲食店に対する事前の税務調査

飲食店に対する税務調査は、実は調査の当日よりもずっと前から始まっています。こういった飲食店の事前の調査は、おもに以下の2つの方法で行われています。

・飲食店に対する内観調査
・飲食店に対する外観調査


飲食店に対する内観調査

内観調査とは、税務署職員が事前にこっそりと客としてその店で飲食し、内部の状況がどうなっているのかを調査することをいいます。
一般的には、店の広さや従業員の人数、座席の数と平均客単価、伝票や領収証の使用状況や混雑具合などが確認されます。

それ以外にも、レジの見える席に税務署職員が座り、以下の内容を極秘でチェックしている場合があります。

・すべての清算がレジを通して行われているか?(現金売上の一部が抜かれていないか?)
・レジ前で清算しない個室での宴会などの売上は正しくレジを通っているのか?(客前でレジを通さない売上が抜かれていることはないか?)

また、数人の税務署員が実際に飲食をして現金で支払い、それが正しく計上されているのかが税務調査の当日にチェックされることがあります。

飲食店に対する外観調査

外観調査とは、客の出入りや立地条件などから客単価や売上高などを概算で推測することをいいます。人通りの多さや駅の近さ、立地などからこれらの状況を確認していきます。

2.飲食店の税務調査では何をチェックされる?

では次に、飲食店の税務調査で実際に何がチェックされるのかについて解説します。何がチェックされるのかは店の状況によってある程度変わりますが、一般的に飲食店の調査では共通して以下の内容が調査されています。

・現金の管理
・売上高のチェック
・人件費の内訳と源泉徴収
・仕入れの状況と在庫
・交際費の内訳


現金の管理

現金売上の多い飲食店では、現金の管理がどのようにされているのかは必ずチェックされます。現金出納帳の金額とレジにある実際の現金残高の金額がピッタリ一致しているか、大幅に違う場合は何が原因なのかなどが調べられます。

売上高のチェック

現金取引の多い飲食店は、売上の計上漏れや計上間違いなどがないかどうかも必ずチェックされる項目のひとつです。

伝票や領収証と元帳などを一つ一つ付け合わせ、間違いがないかどうかが徹底的に調査されます。また、上述の内観調査時に税務署職員が支払った金額が正しく売上高として計上されているかどうかもチェックされます。

さらに、平均客単価をおしぼりや割り箸と掛け合わせて算出したが概算の売上高と実際の売上高が大幅に離れている場合は、より細かい部分まで調査されることがあります。

人件費の内訳と源泉徴収

飲食店の人件費は学生などのアルバイトが中心で、現金で支払われる場合が大半です。これらの人件費に架空のものが含まれていないかどうかが調査されます。

同時に、給料から徴収すべき源泉所得税の徴収漏れがないかどうかも調査されます。

仕入れの状況と在庫

期末の在庫が正しく計上されていなければ、正しい申告はできません。したがって、仕入の状況や毎月の在庫などを確認し、決算期の在庫が正しく計上されているかどうかが調査されます。

同時に、実地検査によってデットストックとなっている在庫の計上漏れがないかどうかなども確認されます。

交際費の内訳

交際費も詳細にチェックされ、私的なものや事業に関係のないものが含まれていないかどうかが調査されます。

3.飲食店の税務調査はどのように行われる?

では次に、飲食店の税務調査が実際にどのように行われるのかについて解説していきます。

飲食店の税務調査は事前予告なしに行われることもある

国税通則法第74条の9の定めにより、税務調査が行われる場合は、原則として事前に納税者に対して税務調査を行うことについての通知が電話等で行われます。

<参照元>
国税庁『第4章 法第74条の9~法第74条の11関係(事前通知及び調査の終了の際の手続)』
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/zeimuchosa/120912/03_2.htm


しかし、同法第74条の10では、税務署長が申告内容に問題がある等と思われる場合には、例外として事前に通知する必要はないと定めています。

<参照元>
国税庁『第4章 法第74条の9~法第74条の11関係(事前通知及び調査の終了の際の手続)』
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/zeimuchosa/120912/03_2.htm


飲食店のように現金を取り扱うことが多い商売は、現状を正しく把握して実態を調査する必要があることなどから、他業種と比べると事前予告なしにいきなり税務調査が行われるケースが多いと言えます。

ランチ営業や夕方の仕込みに間に合わない場合も

事前予告なしにいきなり税務調査が始まると、店主の都合と関係なくお客さんの前などで伝票やレジが調べられ、ナンバリングされたりコピーを取られたりします。

調査は通常、お昼休みを挟んで夕方近くまで数日間にわたって行われるため、ランチ営業だけでなく夕方の仕込みにまで影響が及ぶ場合があります。ですからどこの飲食店も、税務調査が入ると本当に参ってしまいます。

税理士の交渉次第で調査が変わることも

正しく申告していれば、税務調査を怖がる必要はまったくありません。ただし、営業の邪魔になったり、風評被害を受けてしまったりするのでは、たまったものではありません。

こういったケースで頼りになるのが、税務代理人である税理士です。
納税者の権利を守り、営業の邪魔にならない方法で調査するように税務署と交渉してもらうことができます。特に、国税OBのように税務署の調査を隅々まで知っている税理士であれば、税務署との交渉もスムーズに行えるでしょう。

4.飲食店の税務調査に対応するためには

前章でお伝えしたように、現金商売を行う飲食店では、他業種と比べるとかなり厳しい税務調査が行われています。そこで最後に、飲食店の税務調査に対応するためにはどうすれば良いかについて解説します。

普段から準備をしておくことが大切

事前予告のあり・なしに関わらず、税務調査が大変な理由は、調査当日までに書類などを完璧に揃え、準備しておかなければならない点です。
特に、無通知で調査が行われた場合は、何の書類も揃っておらず税務署側の言いなりになってしまうケースも見受けられます。

こういったことにならないためには、どれだけ大変でも日々の記帳を正しく行い、いつ税務調査が行われても大丈夫なように日頃から準備しておくことが大切です。

合法な節税だけでも十分に効果あり

現金商売をしていると、目の前に売上代金として現金が積み上がるため、ついつい良からぬことを考えてしまうケースが後を絶ちません。
しかし、誘惑に負けてそのようなリスクを冒しても、調査のプロである税務署にはすぐに見つかってしまいます。

それよりも、税のプロである税理士に相談し、合法的に節税できる方法を検討してみましょう。特に、これまで何もしてこなかった方であれば、十分に効果が出ることは間違いありません。

飲食店であれば税務調査に強い税理士を探そう

上述のように、税務調査も最後は税務署との交渉次第です。調査方法や最終的な納税額なども、どの税理士に依頼するのかで大きく変わります。

ですから、現金商売をしている飲食店であれば、できるだけ税務調査に強い税理士に依頼すると良いでしょう。

5.終わりに

飲食店は他業種と比べると現金の取引が多いため、税務調査の頻度も多く、かつ予告もなくある時いきなり調査が行われるケースも珍しくありません。

正しく申告していればどのような調査でも何の問題もありませんが、それでも大なり小なり営業には差し障りが出てしまいます。

そのため、税務調査を不安に感じたり、税務署との交渉に自信がなかったりする方は、税務調査に強い税理士に調査の立会を依頼するのが良いでしょう。

ジー・エフ税理士法人では税務調査対応に強い国税出身税理士(国税OB税理士)が数多く在籍しております。
飲食店関係の税務調査でご心配な経営者・オーナーの方は、どうぞ遠慮なくお気軽にお問い合わせください。

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