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税理士に税務顧問を依頼したときの料金相場はいくら?根拠も含めて詳しく解説
税理士と税務顧問契約を結ぶ場合、その料金相場はいくらぐらいかご存じでしょうか?
また相場が分かったところで、必ずしもその契約した税理士法人・会計士事務所が、自社が満足する顧問料に見合ったサービスを提供してくれるとは限りません。
しかしまずは顧問契約に至る前に「どんな条件だと税務顧問料はいくらになるか」を知る必要があります。
全てはそこが判断のスタートになります。
この記事では、法人や個人事業主が税理士と税務顧問契約を結ぶ場合、料金相場がいくらになるか、どういう根拠でその額が算定されるか、さらにコスパの良い税理士の選び方など、詳しく解説します。
顧問料(税理士報酬)の決め方は場合によって異なる
税理士と顧問契約を交わしたとき、その顧問料(税理士報酬)は場合によって異なりますが、先ずは顧問契約をすることで受けられるサービスの一例をご紹介します。
・申告書作成
・記帳チェック
・税務相談(含む節税対策)
・年末調整や法定調書の作成、償却資産税の申告
・経営アドバイス
・税務調査立会い
一方、税理士と顧問契約を結ばずに、年に一度申告のタイミングで1年間の記帳と書類作成を一括でお願いするサービスもあります。
(特定の業務を単発で依頼することからスポット契約ともいいます)
スポット契約は主に売上規模の小さい中小企業や個人事業主等が利用しています。
もちろんこちらも顧問料に比べて金額は少額ですが利用料金はかかります。
顧問料を決める項目とは?
税理士と顧問契約をすると顧問料がかかります。
顧問料を決める項目には、主に以下の要素があり、これらの組み合わせで顧問料が大きく変化します。
会社の売上高
一般的に会社の売上高が大きくなればなるほど、顧問料も高額になります。
会社の売上高が大きいということはそれだけ取引先も多いので、商取引に係る取り扱い業務も増えて税理士の負担が増えるからです。
さらに、売上規模が大きければ比例して納税額も増えるので、ミスを発生させないよう顧問契約をしている税理士の責任が重くなります。
訪問回数
税理士の顧問先への定期的訪問回数が増えることも顧問料が上がる要因です。
訪問回数が増えればその分、税理士がその顧問先に拘束されるので顧問料に反映されます。
作業量
税理士として作業量の増加は、確実に顧問料のアップ要因になります。
一般的に顧問料は売上規模に比例して上がりますが、記帳は実際の作業量で決まるので、売上高が大きくなれば記帳の処理回数も比例して増えて結果的に顧問料そのものが高くなるということになります。
オプションサービス
これまでの税理士業務といえば税務顧問や記帳業務、申告書作成など比較的単純なものが主でしたが、現在は複雑な税務相談に加え、経営アドバイス・M&A対策・融資や補助金等の資金調達サポートなど、税理士業務は多岐に渡っています。
また、税理士も時代に合わせた専門知識やノウハウを獲得していかないと他法人に顧客を奪われ競争に負けてしまいますので、その税理士事務所がどれだけ付加価値のあるオプションを付けられるか、サービスの質と数によっても顧問料は変化します。
業務難易度や対応の緊急度
顧問先によっては業種で税理士が特別な知識を持っていることを必要とされる場合があります。
また、短期間で急いで税務に関する処理をこなさなければならないケースもあります。
このような場合には、顧問税理士が通常より難易度の高い業務をこなしたり、他の仕事を後回しにしてでも短期の業務に対応せざるを得なくなったりするので、それが顧問料の上乗せ要因となることもあります。
顧問税理士の相場一覧【法人・個人別】
次にの顧問料相場の一例を法人・個人別に解説します。
顧問先が法人の場合
顧問先が法人の場合、顧問料は主として、法人の売上高、税理士の法人への訪問回数等で変わります。
例として法人の年間売上高が5,000万円未満、訪問頻度が半年に1回程度なら顧問料は2.2万円~2.5万円(月額)程度、法人の売上規模が5,000万円~1億円で訪問頻度が3.4ヶ月ごとだとすると顧問料が2万円(月額)~、訪問頻度が毎月1回だと3万円~4万円(月額)からと上がってきます。
顧問先が個人の場合
顧問先が個人の場合、総じて売上高は法人に比べて小さく、その分顧問料相場も法人と比較して低くなっています。
例として年間売上高が1,000万円未満の個人事業主が税理士と顧問契約を結び、1年に1回または6ヶ月に1度の訪問頻度だとすると顧問料は2万円(月額)~、同じ売上高で訪問頻度が毎月1回なら顧問料は3万円からです。
ただし、個人事業主の場合は年間売上高が1,000万円を越えてくると税金の面からも法人成りした方がお得になってくるので、当面顧問料は契約した金額を維持しておいて売上高が1,000万円を越えるようになってからは、法人化も含めて改めて今の税理士との契約内容についての交渉、あるいは別の税理士と顧問契約をするのかなどを再検討も視野に入ります。
また、事業を営んでいる限り、法人・個人事業主に関わらず記帳業務は付きものなので、税理士と顧問契約を結んだら記帳代行料金がプラスする場合もあります。
記帳の仕訳数にもよりますが、顧問料金と別に記帳代行料として5千円から3万円程度(月額)、金額がプラスされてくることを知っておいて下さい。
大手税理士法人と中小税理士法人の料金比較【法人・個人別】
前章では税理士に税務顧問を依頼する際、法人が依頼したときと個人事業主が依頼したときの顧問料の比較でしたが、この章では別の角度からの相場比較を行ないます。
大手の税理士法人が法人と個人事業主の顧問となった場合と、中小税理士法人が顧問となった場合の報酬相場の比較です。
大手税理士法人が法人・個人事業主の顧問となった場合
大手税理士法人が税務顧問を引き受ける場合、顧問先となる法人や個人事業主は比較的売上高の規模が大きい先が多いと推測されます。
当然顧問先の取引先数も多くなり、大手税理士法人の提供するサービスの種類や事務処理等の工程数も増えてきます。
それら諸条件の変化に沿って顧問料金も変化しますが、大手税理士法人が引き受ける顧問先が法人で売上規模が5億円以上だとすると顧問料相場は最低5万円(月額)~で「要相談」レベルに、顧問先が個人事業主で売上規模が5,000万円~1億円とすると、顧問料相場は3万円(月額)~となります。
もちろん記帳代行料(月額)や申告代行料(年額)も別途オプションとして依頼すると、顧問料に加算されるので大手税理士法人への税務顧問の依頼はそれらオプション料込みで総合的にいくらになるかしっかり計算してから行なって下さい。
中小税理士法人が顧問となった場合
一方、中小税理士法人に税務顧問を依頼する場合ですが、このケースだと主たる顧問先の法人の売上規模は年商で1億円~5億円と考えられます。
その場合には顧問料金も3万円~6万円(月額)と幅があり、税理士の訪問回数をどれくらい依頼するかによって差がでます。
同じく個人事業主が中小税理士法人に税務顧問を依頼する場合、個人事業主の売上規模を3,000万円~5,000万円とすると、顧問料は1.5万円~3万円(月額)と開きがあります。
もちろん記帳代行や申告代行等をオプションで依頼すると、顧問料にさらに料金が上乗せされます。
以下に参考資料として大手税理士紹介サイトに載っている法人・個人事業主別の税理士報酬平均相場表を3社から引用しました。
自社の売上規模や希望する訪問頻度をベースに、各税理士紹介サイトを通じて税理士に税務顧問を依頼したら、月額の顧問料がいくら程度になるか、チェックしてみて下さい。
▪大手税理士紹介サイトA
【法人の税理士報酬平均相場】
年商 顧問相場(月額) 申告代行(年額) 記帳代行(月額) ~1,000万円 1.5万円 10.7万円 0.7万円 1,000~3,000万円 1.9万円 12.9万円 0.8万円 3,000~5,000万円 2.3万円 15万円 1.1万円 5,000万円~1億円 2.9万円 17.3万円 1.4万円 1億~5億円 4万円 21万円 2万円 5億~10億円 5万円 23.5万円 2.6万円 10億~ 要相談 要相談 要相談
▪大手税理士紹介サイトA
【個人の税理士報酬平均相場】
年商 顧問相場(月額) 申告代行(年額) 記帳代行(月額) ~1,000万円 1.3万円 7.6万円 0.6万円 1,000~3,000万円 1.7万円 9.6万円 0.7万円 3,000~5,000万円 2.1万円 11.6万円 1万円 5,000万円~1億円 2.8万円 14.5万円 1.3万円 1億円~ 要相談 要相談 要相談
▪大手税理士紹介サイトB
【法人の税理士報酬平均相場】
年商 訪問回数 顧問料(月額) ~1,000万円
4-6ケ月に1回
決算のみ1万円~
10万円~
1,000~3,000万円 2ヶ月に1回
3-4ヶ月に1回
決算のみ2万円~
1.5万円~
15万円~3,000~5,000万円 毎月1回
2ヶ月に1回
3-4ヶ月に1回
2.5万円~
2万円~
1.5万円~5,000万円~1億円 毎月1回
2ヶ月に1回
3-4ヶ月に1回3万円~
2.5万円~
2万円~1億円~3億円 要相談 3万円~5万円 3億円~5億円 要相談 3.5万円~ 5億円~10億円 要相談 4.5万円~ 10億円~ 要相談 5万円~
▪大手税理士紹介サイトB
【個人の税理士報酬平均相場】
年商 訪問回数 顧問料 ~500万円 確定申告のみ 7万円~8万円/年 500~1,000万円 3-4ヶ月に1回
確定申告のみ1万円~/月
10万円~/年1,000~3,000万円 2ヶ月に1回
3-4ヶ月に1回
確定申告のみ2万円~/月
1.5万円~/月
15万円~/年3,000~5,000万円 毎月1回
2ヶ月に1回
3-4ヶ月に1回2.5万円~/月
2万円~/月
1.5万円~/月5,000万円~1億円 毎月1回
2ヶ月に1回
3-4ヶ月に1回3万円~/月
2.5万円~/月
2万円~/月1億円~ 要相談 3万円~/月
▪大手税理士紹介サイトC
【法人の税理士報酬平均相場】
年商 訪問頻度(1~12回)
別顧問料(月額)記帳代行(月額) 決算申告(年額) ~1,000万円 1.2万円~2.5万円 0.5万円 10万円 1,000~3,000万円 1.7万円~3万円 0.7万円 15万円 3,000~5,000万円 2.2万円~3.5万円 1万円 20万円 5,000~7,000万円 2.7万円~4万円 1.2万円 25万円 7,000万円~1億円 3.2万円~4.5万円 1.5万円 30万円 1億円~5億円 4.5万円~6万円 3万円 35万円 5億円~ 要相談 要相談 要相談
▪大手税理士紹介サイトC
【個人の税理士報酬平均相場】
年商 訪問頻度(1~12回)
別顧問料(月額)記帳代行(月額) 決算申告(年額) ~1,000万円 1万円~2万円 0.5万円 8万円 1,000~3,000万円 1.5万円~2.5万円 0.7万円 10万円 3,000~5,000万円 2万円~3万円 0.9万円 12万円 5,000~7,000万円 2.5万円~3.5万円 1万円 13万円 7,000万円~1億円 3万円~4万円 1.2万円 15万円 1億円以上 要相談 要相談 要相談
コスパの良い税理士の選び方
税理士の顧問料相場が分かったとして、ではどのようにしたらコストパフォーマンスの良い税理士を選ぶことができるでしょうか?
まず肝心なことは、自社(自分)ができる事務処理はできるだけ自分で済ませておくことで少しでも顧問料を引き下げることができます。
その事務処理の代表格が記帳業務です。
記帳は仕訳作業が伴い「煩雑で面倒くさい」ので、どうしても顧問税理士に処理を丸投げしたくなります。
しかし、記帳代行は依頼したら一般的に顧問料とは別にオプションサービスとして税理士から費用請求されることを忘れてはなりません。
そのため、単純に作業を丸投げするのでなく、まずは自社でエクセル等を活用して処理できないか、あるいはクラウド会計を導入して記帳処理できないかなど、検討して下さい。
それができれば浮かした記帳代行料を他の業務資金に回すことができます。
次に税理士と顧問契約する前に、自社に不必要なサービスまで契約する可能性はないか、十分検討をして下さい。
税理士事務所ごとに異なるサービスがあり、それに伴い料金体系も違います。
自社に不必要なサービスは受け入れたらそのままコストアップにつながります。
税理士と相談して、不必要なサービスを顧問料からカットできるか、よく確認して下さい。
さらに法人がまだ起業間近で事業規模が小さいうちは、低価格を唄っている税理士を選ぶこともコスパの良い税理士の選び方です。
創業間近はまだそれほど事務処理も複雑でなく単純な記帳業務が大半の場合が多いです。
また、運転資金も比較的十分でないので低価格サービスを唄う税理士の活用で十分です。
売上が安定して利益が出るようになってからでも顧問契約は急ぐ必要はありません。
一方、いくら顧問料が安いからといって低価格の税理士ばかり選ぶのも考えものです。
そういう税理士は総じて高齢でIT化も遅れている事務所を経営している可能性が高いです。
クラウド会計にも強く最新の税制にも明るい新進の税理士法人と顧問契約を結ぶことが、結果としてコスパの良い税理士を選ぶことや企業の成長にも繋がります。
まとめ:税務顧問の相場は依頼方法によって変わる
これまで説明してきたように、税務顧問料の相場は税理士事務所が提供するサービス内容や難易度で大きく変わります。
また、同時に税理士と顧問契約を結ぶ顧客の側もどの範囲まで知的及び労働サービスを依頼するか、その選択でも顧問料は大きく変化します。
「コスパの良い税理士の選び方」の項でも説明しましたが、税理士顧問料は安ければいいだろうという単純なものでもありません。
会社の状況が創業間近など、比較的シンプルなら顧問料の安い税理士を選んでも問題は少ないですが、法人経営者が会社成長のために必要な高レベルの税理士を相談相手としたいなら、顧問料は絶対に惜しむべきではありません。
ぜひ自分が納得して自信を持って顧問契約を締結できる優秀な税理士を見つけて下さい。
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