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税務顧問を依頼する場合の「税理士の選び方」虎の巻

税務顧問を依頼する場合の「税理士の選び方」虎の巻

1.税理士選びは1度面談したうえでの判断がおすすめ

事業を立ち上げ、不断の努力によって何とか軌道に乗り始めた事業者の方の次なる思案のしどころとして、アルバイト・パートを含めた従業員の雇用、そして、記帳・決算を自分で対処するのが難しくなってきたことによる税務顧問の選任が挙げられます。

たとえ税理士という国家資格保有者に対してといえども、記帳・決算を外部者に任せるということは、自らの(プライベートを含む)お財布を他人に開示することに等しく、相性を含めて信頼のおける者を選任すべきことはいうまでもありません。

以下にご説明するポイントを基に候補者を絞り込んだとしても、最終的には第一印象を含めたフィーリングが大事であり、1度も面談をしないままに税務顧問契約を締結することは避けた方が良いでしょう。

これは、税理士の側からしても同様で、その経営者の人柄や納税意識(脱税さえも厭わない意識であれば顧問契約をすることをためらうでしょう)を知らないままに契約を締結することは通常ありません。

また、一度税務顧問契約を締結すると、そう頻繁には別の税理士に代えづらいという事情があることも認識しておいた方が良いでしょう。

前述のとおり、税理士との契約はお財布を開示することと同様であり、それだけでも様々な税理士に見られて良いものではありませんし、税理士を代えるということは、税務署に「この事業者は税理士が顧問を固辞するような過少申告(脱税)をしているのではないか?」といった目をつけられる要素にもなりかねないからです。

2.信頼できる税務顧問の選びポイント6選

❶ ホームページがしっかりしている(更新されている)

事業意欲のある士業であるならば、ホームページは必ずといって良いほど設けているといって差し支えありません。

例えば、著名な税理士で顧客のほとんどが紹介によって集客されるため、ホームページによって新規開拓をする必要がないといったケースもあるかもしれませんが、そういったケースは稀であり、紹介中心の税理士事務所であってもそれなりに充実した内容のホームページを運営しているケースが多いように見受けられます。

自分が関心を持っている税理士事務所のホームページを検索して、

 ・フリーソフトで作成したような簡易なものである

 ・長年更新がされていない

といった状況が識別されれば、その税理士事務所の稼働状況や事業意欲に対する疑問が生じかねません。

❷ 報酬体系が細分化している

税理士業務の範囲は挙げれば幅広く、記帳業務を受託するか以外でも、例えば、以下のような業務を受託するか否かによって報酬水準が大きく変わります

 ・源泉所得税関係(年末調整・法定調書)を受託するか否か
 ・償却資産申告を受託するか否か
 ・税務調査対応と修正申告書の作成業務は通常の顧問業務の範囲内か否か
 ・社内会議や銀行交渉に陪席するか否か

こういった税理士に委託する業務範囲とその業務別の報酬体系について「報酬表」などで明確にしている(例えばホームページで公開している)税理士事務所の方が、顧問契約後の報酬に関するトラブルは起こりづらいといえます。

❸ 経験が豊富である

税理士業務は経験がモノを言う側面は否めず、年齢が若いと経験不足ではないかという心配が生じる可能性があります。

しかし、昨今の税務は、納税者の選択に委ねられた制度が多くなるなどかつてより高度化しており、年配よりも若手・中堅の方が最新の税法をキャッチアップしているという側面が否定できません。

年齢のみによってベテランか否かを判断するのは避け、以下の要素から税理士としての経験を推し量るのが望ましいでしょう。

 ・税理士登録年数(日本税理士会連合会の税理士検索サイトで登録年月日を調べることができます)
 ・過去の経歴(勤務した税理士事務所の規模や国税官署の経験などのヒアリング)
 ・経営者である自分と世代が違い過ぎない(ジェネレーションギャップがない)

ホームページに代表税理士の詳細なプロフィールがあれば、それを確認するのが良いでしょう。

❹ 税務以外の周辺分野の知見が期待できる

たとえ利益が上がっていても、資金繰りが悪化すれば「黒字倒産」ということもありますが、「自分は税金計算さえしていれば良い」といったスタンスの税理士では、財務面に関するアドバイスを期待することは難しいでしょう。

また、自分の置かれている業界(例えば、医業・輸出入を行うなどの)関係の知識が不安な(不足している)税理士であれば、有益なアドバイスや最新の業界動向に関する情報を期待することは難しいでしょう。

こういったことは、実際に面談などの場で話題を持ち掛けてみて、その税理士の反応を見ることによって判断するのが理想的です。

❺ 耳障りの良い話ばかりをしない

税理士は経営者と伴走することが期待されています。

スポーツにおいて、コーチが選手の意見を無条件に受け入れているだけでは選手が強くなれず、たまには選手の耳が痛くなるような厳しい助言・忠告をしなければならないのと同様に、

 ・経営者である自分にとって耳の痛い話でも直言してくれることが期待できるか
 ・その直言を経営者である自分が素直に聴き入れることができるか

を自問した上で、顧問契約をすることが望ましいです。

❻ 複数の担当者がいる

人的に余裕のある又は顧客満足度の高い税理士事務所は、主担当者と副担当者がペアになってその企業を担当しているケースがあります。

これは、副担当者が行う業務を主担当者が随時チェックするといった品質管理に資するのみならず、いずれかの担当者が対応することでレスポンスの円滑さが期待できることもあります。

担当者が1人で代表税理士が随時関与すれば良いのですが、代表税理士が丸投げ・放置の状態になって、担当者1人が誰のチェックも受けずに業務を遂行して誤りを犯すということも考えられます。

3.契約前に確認すべき項目

前述したポイントは、実は「顧問契約書」にはあまり直接的に記載されていないことが多いもので、いざ顧問契約が開始されてから「こんなはずではなかった」という後悔をするケースを聞きます。

 ・経歴を確認することによってその税理士による提供が期待されるサービスを確認する。
 ・その税理士がする業務範囲を明確にする(追加業務の報酬体系を確認する)
 ・契約後に代表税理士が担当しないのであれば、実際に担当することになる者とあらかじめコミュニケーションを取る。
 ・期中・決算前・決算確定時などの定期的な打ち合わせの機会が確保されるか否かを確認する。

以上のような内容が顧問契約書に記載されていなければ、その反映を求めるといったことも必要になるかもしれません。

4.依頼すべきでない税理士の特徴

⑴ ベテラン過ぎる

税務は経験がモノを言うといってもベテラン過ぎるのも考え物であり、以下のような弊害が生じる可能性があります。

 ・最新の税制をキャッチアップできていない
 ・過去の経験を過信して時代の変化を見誤る(「この程度では否認されない(否認されたことがない)」と指導していたのに調査で否認される)
 ・顧客であるはずの企業経営者の意向を軽視する

⑵ レスポンスが遅い

相手のレスポンスが遅いことがストレスになり、連絡手段が豊富になった今では潜在的な不満につながる時代です。

税理士側も複数の関与先があり、その企業を最優先にすることはできないとしても、少なくとも、「その件については承った」という意思表示は欲しいところであり、できれば「・・・までに対応する」といった将来的な見込みも得たいところです。

こういったレスポンスが遅い税理士事務所は、一事が万事、全般的な対応が遅く後手に回る可能性が想起されますので、税理士の選任段階からそのレスポンスが遅くないことを判断要素にするのが良いでしょう。

⑶ 報酬体系があいまい

毎月の顧問料、決算時の決算申告報酬の範囲内の業務がどこまでであるのか、それ以外の業務を依頼する場合の報酬体系がどのようなっているのかについての満足な説明が得られない税理士事務所との契約は、契約してから金銭面でトラブルになる可能性が潜在することになります。

詳細な報酬体系について説明を求めた際に、「それは需要が発生した際に都度相談を」とかわされることもあり得ますが、それはあまり望ましいことではありませんし、報酬表などの裏付けがなく「その業務は〇〇万円です」と口頭で回答されるのも、適正な報酬ではない(いわゆる「吹っ掛けられている」)との印象を抱いてしまうでしょう。

ホームページなどで報酬表が明示されていなければ、書面による見積書を求め、それに誠実に対応する税理士事務所を選択した方が賢明でしょう。

⑷ 将来予測に不熱心

試算表や決算書は過去の結果であり、それに基づいて法人税・所得税を計算して支払うという目的のためには重要ですが、企業経営者が最も期待するのは、それを未来の企業経営に対する羅針盤として活用できるようにすることです。

また、当期の決算が確定してから「納税額は〇〇万円です」と初めて伝えられることによって、経営者が納税資金のかき集めに窮するようではその税理士は失格であり、着地見込みを見据えて経営者に納税資金の目途を伝えてその用意を促さなければ、税理士が関与している意味がないといっても言い過ぎではありません。

このように、「過去会計」を脱して「未来会計」に踏み込める税理士でなければ、将来的には不満が募ることになりかねません。

5.信頼できる税務顧問が見つかるおすすめの探し方

⑴ 税理士検索サイト

まずもって「ニセ税理士ではない」ことが当然の前提となります。

日本税理士会連合会の税理士検索サイトに氏名等を入力すれば、登録番号・登録年月日・事務所所在地に加え、税理士の義務である年間36時間の研修受講の達成状況が表示されますので、関与を検討している税理士について検索してみるのが良いでしょう。

また、そのサイトには、税理士が任意に自らの得意分野などを表示しているケースがあります。
(参考:税理士情報検索サイト|日本税理士会連合会)

⑵ ホームページ

前述のとおり、ホームページの充実度は、その税理士事務所の実際の稼働・代表税理士の意欲・得意分野などが顕れるものです。

華美なカッコ良いホームページである必要はなく、

 ・タイムリーに更新されている
 ・自分が期待するノウハウを持っていることが推察される
 ・プロフィールによって税理士の経験が可視化されている

ものであれば、顧問契約後の需要と供給のミスマッチは少なくなるでしょう。

⑶ 同業者の評判

ホームページのようなオンライン上のみならず、昔ながらの同業者の評判といったオフラインの情報も侮ることはできません。

「この分野ならA税理士」「この地域であればB税理士」といった評判は一朝一夕に構築されたものではなく、長年の信用の積み重ねの上にあるものです。

自分の事業の同業者から「あの税理士事務所は良いよ」と推薦を受け、ホームページを確認して、実際にコンタクトを取った上で契約するのが理想的かもしれません。

頻繁に税務顧問を替えられないからこそ「失敗できない」という意識が働くのは当然のことであり、税務顧問の専任には慎重を期してちょうど良いと言って良いくらいです。

⑷ 「・・・〇〇」は良し悪し

自らの営む事業が特殊な業界(例えば、医業や公益法人など)であれば「〇〇専門」を謳う税理士事務所を優先的に選択する方が良いかもしれません。

しかし、「〇〇専門」であればあるほど、○○以外は全くの門外漢というケースもありますし、最近は、ホームページ上だけまるで「〇〇に特化している」ことを装う税理士事務所がないとは限りません。

本当に「〇〇専門」であれば、面談時にニッチな業界の話題などを持ち掛けてみて、その反応によって信頼できる税理士事務所であるかどうかを判断してみてはいかがでしょうか。

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