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法人に税理士が必要な理由

法人に税理士が必要な理由

勤め先を退職しこれから会社設立して起業を考えている方や、個人事業主から一定期間が経ち法人成りして事業を拡大しようと考えている経営者にとって、悩みの種のひとつが「法人に税理士は必要か」ということではないでしょうか?

個人事業主なら決算や確定申告を全部自分で行なった方も多くいると思われますし、実際税務署に確定申告の時期に行けばたくさんの方が個人で手続きに来ているので、単純に税理士など契約しても費用もかかるし必要ないのではないかと思ってしまいます。

しかしこれが法人となると、ケースによっては税理士と契約して業務を委託する方がはるかによい場合がかなりあるのです。

そこでこの記事では、法人に顧問税理士が必要な理由やケースについて、また税理士がいても経営者が自分で行なわねばならないことなど、詳しく解説します。

 

1.新会社設立・法人成り・スタートアップ時に顧問税理士は必要なのか?

最初に「法人に税理士は必要か」の観点から、新会社設立・法人成り・スタートアップ時に顧問税理士は必要なのか、考えてみます。

まずは、そもそも税理士とはどんな業務を行なっているのか、整理してみましょう。

 

■税理士の業務とは?

一般的に税理士は下記の5つが基本的な業務になっています。

・決算・税金に関する業務

・各種申請・届出書の作成業務

・経理・記帳業務

・節税対策・税務相談

・資金調達サポート(融資相談など)

その他にも、税理士が関わる業務として、税務調査の立ち会いや対応、他の士業と連携して会社設立・創業支援、最近流行の事業承継支援などもあります。

税理士だけ取り上げてもこれだけ広範囲な業務を行ないますので、経営に対する知識が乏しい個人事業主や会社経営者なら、余計にいつ、どのようなタイミングで税理士と顧問契約を結ぶか迷ってしまいますよね。

 

■新会社設立・法人成り・スタートアップ時でも原則、顧問税理士は必要

結論から先に書けば、新会社設立・法人成り・スタートアップ時でも、顧問税理士は可能な限り、契約していたらよいと考えています。

税理士は税の専門家なので、個人事業主や会社を退職した個人が新会社を設立して経営を始める際にはサポート役はできません。

しかし税理士には業務を通じて士業間のネットワークがあり、新会社を設立する際にサポート役として必要になる司法書士や行政書士、社会保険労務士などを紹介してもらえます。

さらにいったん法人成りしたら、事業の拡大に伴い社員や取引先が増えるので、毎日の入出金に係る記帳業務も質量とも増大し、個人事業主の時には比較的簡単だった経理も一段と管理が難しくなってきます。

さらに個人事業主の時には個人で行なっていた確定申告も、会社設立後はその処理内容が一段と複雑になるので、もはや税理士なしでは対応できない時がやってきます。

それだけに法人を設立して一定期間経過後には、やはり税理士と顧問契約を結ぶ時期がやってくるでしょう。

またスタートアップが会社設立前に税理士と契約を結んでおけば、決算期についても適切なアドバイスが得られます。

決算期をいつにするかは、後に節税の面からも重要な点があり、また法人の決算期は後で簡単には変えられないことから、設立時に税理士と契約してアドバイスを受けておくことは大きなメリットになります。

もし予算が許すなら、スタートアップとして新会社を設立した段階から信頼できる税理士を見つけて契約を結んでおく方が、何かと経営者の悩み相談に乗ってくれるのでベターです。

 

2.顧問税理士がいることで楽になる、安心できること

次に法人に顧問税理士がいることで楽になる、安心できることについて解説します。

■決算・税務申告がスムーズにできる

法人の場合、個人事業主の時に比べて、決算・税務申告の作業は非常に複雑です。

法人の決算を行なうに際しては、1年間の帳簿の漏れやミスを確認したり、期末に残った在庫の数を確認したりするなど、専門的な知識も要求される煩雑な作業が待っています。

法人の決算・税務申告は、日々の経理作業の最終目的に決算書を作成して、申告書類を作り税務署に報告する重要な手続きです。

もし税理士の助けを借りずにずさんな税務申告を行なってしまうと、後に税務調査の対象となってペナルティを受けたり、それが取引先や金融機関にも伝わって信用を落としたりするリスクがあります。

それを避けるためにも決算・税務申告で税理士のサポートを受け、手続きをスムーズに行なう意味は大きいのです。

 

■アドバイスを受けて経理業務の効率化が図れる

税理士のアドバイスを受けて会社の経理業務の効率化が図れる点も大きなメリットです。

たしかに最近の会計ソフトはめざましい改善や簡素化が図られており、多くの事業者にも使われている「弥生会計」「freee」「勘定奉行」などはソフトを購入して個人が見よう見まねで入力しても一定の経理書類は作れます。

しかし法人になると使える経費の幅も増えるので「この費用は経費として計上できる?」「この費用はどんな経費項目として入力したらいいのか?」など、判断に迷うことも多くなるでしょう。

そんなときでも身近に顧問税理士がいれば、すぐに質問して回答が得られるので会計ソフトへの入力作業も効率的になります。

さらに経理の入力作業も自社で担当者にさせるのでなく、給与計算や給与明細書の作成等の他業務も含めて、全て顧問税理士事務所に委託すれば、経理や税務関連の知識が乏しい社員に会社内でやらせるよりはるかに早く処理してくれます。

当然ミスもないのでチェックも不要です。

経理業務が簡素化・効率化できれば、経営者も他の重要な仕事に専念できるので、その点でもメリットが大きいです。

 

■資金調達含む、経営相談ができる

顧問税理士と契約していると、金融機関からの資金調達含む、経営相談ができる点がとても便利です。

顧問税理士は法人の経営数字を定期的に見ているので、損益計算書や資金繰りの動きから法人が抱えている潜在的なリスクをいち早く発見できます。

顧問税理士がいる限り、経営者は定期的にまた時には臨時でも経営相談ができるので、経営リスクが現在化する前に法人の悪い兆候を知ることができ、早めの防止対策も可能です。

また税理士は経理面の支援もしてくれているので、大きな額の融資が必要になれば銀行や日本政策金融公庫にも経営者とともに出向き、金融機関担当者に対して側面からサポート役を買ってくれます。

さらに税理士のアドバイスを受けて審査に必要な事業計画書を作れるので、経営者が単独で作る書類より説得力の高い事業計画書が作れます。

その結果、最終的には金融機関の融資通過率が上がることにつながるでしょう。

 

■個人の税務相談もOK

法人の顧問税理士となれば、当然法人の業務に限ったサービス提供というイメージになりがちです。

しかしじつは顧問税理士は経営者個人の確定申告や相続税申告・相続税対策等についても相談できます。

特に相続税対策に関しては、相続財産総額にもよりますが、対策の是非で納税額が何百万円、何千万円と変わることが多いのでバカにできません。

日頃から顧問税理士と相談して、早めかつ中長期的に相続税対策を行なっておけば、将来的に大きく税負担を減らすことが可能です。

顧問税理士にはそのような利用の仕方もあるのです。

 

3.顧問税理士がいないと困ること

この章では顧問税理士がいないと確実に困ることについて2点解説します。

 

■税務調査の対応・立ち会い

税理士がいないと確実に困ることの1点目は税務調査の対応・立ち会いについてです。

経営主体が個人事業主であれ、法人であれ、事業者として申告を行なっている以上、税務署に税務調査に入られることがあります。

また個人事業なら所得税法に沿い、法人なら法人税法に沿って適正な記帳や申告を行なったつもりでも、一定程度の頻度で税務調査は避けらません。

特に法人の場合、個人事業主に比べて税務調査に入られる確率がずっと高くなり、さらに経営年数が長くなれば長くなるほどその可能性が上がります。

もし税務調査に入られて申告内容に間違いがあることを指摘されたり、虚偽の申告をしたと税務署に断定されたりすれば、多額の追徴課税や延滞税等の罰金が取られるばかりか、虚偽申告する会社と烙印が押されて会社の信用問題に発展してしまいます。

税務調査で指摘を受けたときのダメージは大きく、信用失墜から取引先から取引停止を受けたり、金融機関から融資を断られたりするリスクが発生します。

そんなことを避けるためにも顧問税理士の存在は大きく、税理士指導のもと、日常の経理業務や決算処理を適正に行なうことが大事です。

そうすれば法人に税務調査が入っても、税理士として税務調査に立ち会いして経営者に代わり自社の主張をしっかり述べてくれます。

税務署もしっかりした税理士がその法人にいることが分かれば必要以上の追求はしてこなないでしょう。

まさに税務調査の時こそ、税理士の存在が必要不可欠になってくるのです。

 

■節税対策のアドバイス

顧問税理士がいないと確実に困ることについての2点目は節税対策です。

個人事業主、とりわけ青色申告者については、制度の範囲内で合法的な節税対策が可能です。

しかしこれが法人だと節税対策がさらに幅広く取れるようになりますが、それはあくまで税法の範囲に限られ、経営者が税法を詳しく知らないと全く対策が取れません。

しかし顧問税理士と契約しておけば、税金のプロである税理士から直接経営指導が受けられ、税金面でも税法に沿って合法的に活用できる節税対策を提案してもらえます。

税金は社外に強制的に出て行くお金なので、経営者としてもできれば少しでも対策して経営資金の社外流失を少なくしたいのが本音ではないでしょうか。

その点、税金のプロである税理士に節税対策をアドバイスしてもらえれば、確実に節税が図れるので、これは顧問税理士がいない個人事業主や中小企業者よりはるかに大きなメリットといえるでしょう。

 

4.顧問税理士と契約しても自分で行なわないといけないこと

次は顧問税理士と契約しても自分で行なわないといけないことについてです。

具体的には以下の2つがその項目になります。

 

■事業資金や資金繰りに係る融資の交渉

顧問税理士の存在に関わらず、法人代表者が自分で行なわなければならないことのひとつが銀行や日本政策金融公庫等、金融機関との融資交渉です。

これはさすがに顧問税理士に業務委託することはできません。

それまで丸投げにしてしまうと、逆に金融機関の担当者から経営者として無責任、主体性なしの烙印を押されて、本来出るはずの融資の認可まで下りなくなってしまいます。

企業として事業を拡大するには経営資金の支えとなる金融機関からの融資は不可欠です。

そして融資を受けるためには、正確な財務諸表書類の提出はもとより、綿密な事業計画書の作成及び提出も必須です。

しかし書類作成の主体者はあくまで法人経営者であり決して顧問税理士ではありません。

その役割分担を決して取り違えないようにして下さい。

これはまた補助金や助成金を国や地方自治体から受けるときも同じです。

今はコロナ過とあって、ものづくり補助金や小規模事業者持続化補助金など、中小企業向け補助金の交付に国・地方自治体も積極的です。

また人の雇用に関する雇用保険を財源とした助成金の支給も同じく前向きです。

しかしこれもまた受給申請を行なうのは法人経営者であって決して顧問税理士ではありません。

税理士は補助金の申請時もあくまで認定支援機関としての立場で法人に関われるだけで当事者ではありません。

融資の申込みや交渉、補助金や助成金の申請、これらはかならず経営者が自ら行なわなければならない、これをしっかり自覚しておいて下さい。

 

■毎日の経理・記帳業務

顧問税理士の存在に関わらず、経営者(含む経理担当者)が自ら行なわなければならないことが毎日の経理・記帳業務です。

経理・記帳業務を通じて会社の入金・出金状態をしっかりと把握・管理しておくことは経営者の重要な任務になります。

売上を増やして、その中から仕入れ費用・人件費を払い、売上債権、設備投資、棚卸資産等に姿を変えて、最後に現金(利益)として大きくなって戻ってくるよう、しっかり管理するのが正しい経営のあり方です。

それをきちんとやっておけば、経営者は会社の問題点を把握できたり、課題を解決するための対策を取ったりすることができます。

もちろん経理・記帳業務を、報酬を払って税理士事務所に丸投げすることもできます。

しかしそれでは肝心なときに必要な対策が取れません。

経営者は毎日の経理・記帳業務に実務的に関わらないにしても、最低限、経理担当者や税理士から定期的に会社数字の報告を受けて、会社全体の動きを常に把握しておくことが経営責任者として必要なことなのです。

 

まとめ:顧問税理士は後からでも変更可能。得意、不得意もある。先ずは色々な税理士に話を聞いてみる

法人に税理士は必要なのかの観点から色々と解説してきました。

最初に会社設立時やスタートアップ時でも税理士と契約しておくことの利便性を述べましたが、もちろん税理士は法人成りして1~2年後、会社経営が安定してからでも契約できます。

また担当税理士との相性が悪い、支払う顧問料が提供されるサービスに見合わない等を理由に後から税理士を変更することも可能です。

しかし先ずは契約前に色々な税理士に会って話を聞いてみることも大事だと考えます。

税理士がいくら税の専門家といっても、税の世界も守備範囲が広いので、得意不得意もあるでしょうし、本人がこの分野が得意だと標榜していても、実績が伴っていない税理士も多々います。

色々な税理士と会う中で、面談時の税理士の対応を見たり、得意分野はなにか質問してその答え方を聞いたりすることで、その税理士が本当に自社の味方になってくれるか、段々と分かってきます。

それから税理士と顧問契約を結ぶかどうか、判断しても遅くはないのではないでしょうか。


税理士との新規契約、切替、変更をお考えなら、個人事業主~上場企業まで幅広く税務業務を扱っている経験豊富な当税理士法人までお気軽にご相談ください。

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