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2021.07.24

初めての税務調査!何をどこまで準備しておく?

税務調査

1.税務調査で必要な会計資料の書き方と留意点

1.会計資料は業種によって違う

日時が指定されて調査対象年度の申告内容全般に係る「一般調査」の場合に、どのような会計資料をどのまでの範囲内で準備すれば良いのか皆目見当がつかない事業者の方が多いことでしょう。
中には、調査官から事前に特定の書類を指定されることもあるようですが、むしろそれは稀なことであり、臨場調査のその場で会計帳簿を見ながら、

「△△△を見せて欲しい。」
「△△△に関する一連の会計資料を見せて欲しい。」

と言われ、慌ててその資料を探し当てて提示するといった実務が通常です。

「会計資料は業種によって違う」といってしまえばそのとおりですが、一般的な事業であれば、例えば、以下のような会計資料があることが通常ではないかと思われます。

2.会計資料とは

会計資料とは、会計帳簿に記入した取引(会計取引)が事実であることを証明するための証拠書類のことをいい、会計処理は会計資料に基づいて行われなければなりません。

なお、外部の第三者から入手された会計資料を、特に「証ひょう」といいます。

<会計資料の具体例>

❶ 領収書(領収証)・レシートや請求書等

会計資料の代表例が領収書(領収証)・レシートや請求書等であり、費用の証ひょうとして取り扱われます。

❷ 預金通帳

❸ 領収書控え・納品書控え・請求書控え・送り状控え

領収書・納品書・請求書・送り状などの控えは、売上高に関する証ひょうとなります。

❹ その他の会計資料

見積書・出金伝票への記録その他メモ・給与台帳・出張旅費精算書 また、個人事業の場合、家計簿の記録などでも会計資料となる可能性があります。

<会計資料の管理方法・保存方法・保管方法>

領収書(領収証)等の管理方法については、特に決まりはありませんが、領収書・レシートは大きさがまちまちなため、ノートやルーズリーフ、コピー用紙+リングファイル、スクラップブックなどに(できる限り)日付順に、左下から上へと貼り付けていくという方法が通常とられています。

その際、後で探しやすいように、あまり詰めすぎず、2列くらいにとどめておくのが良いでしょう。
なお、支払日・支払金額等の記載のないものがあれば、手書きで補っておく必要があるでしょう。
その他、必要に応じて、取引の具体的内容等を手書きで補っておいたほうが良い場合もあります。
また、科目別で分類してもよく、請求書など定型・反復的な証ひょうについては、専用ファイルなどに綴じ込んでいくのも良いでしょう。

商法では、商業帳簿と営業に関する重要な資料は、事業年度終了日から10年間保存しなければならないこととされている一方、法人税法では、事業年度終了日から2か月を経過した日から7年間保存しなければならないこととされています。

3.証ひょうの具体例

<出金の場合>

納品書・請求書・領収書(領収証)・レシート・銀行利用明細・振込票などが証ひょうとなり、その他、電話局等から郵送される口座引落しの案内なども証ひょうとなりますが、電話料金等の自動引落しが記録されている預金通帳は厳密には証ひょうとはいいません。

<入金の場合>

領収書控・売上票・銀行利用明細などが証ひょうとなります。

4.証ひょうの趣旨・目的・役割・機能

領収書などの証ひょうは、(税務署に)経費性を説明・証明するためのもっとも証拠力の高い証拠ですが、領収書などの証ひょうがなければ絶対に経費に計上できないというわけでもありませんし、逆に領収書があれば何でも経費に計上できるというわけでもありません。

領収書以外のさまざまな会計資料が証拠となり、たとえば、家計簿の記録などでも経費として認められる場合もあり得ます。

5.見積書とは

経費などの見積もりを記した文書・書面をいい、(税務署に)経費性を説明・証明するための、もっとも証拠力の高い証拠となるので、起票・記帳が終わったものから、きちんと整理・保存する必要があります。

6.注文書とは

商品等を注文するために発行する文書・書面をいい、注文状または発注書ともいいます。

注文書(発注書)は注文する側が発行するものですが、これに対して、注文を受ける側が発行する文書・書面を注文請書(受注書)といいます。

7.納品書とは

納品の明細を記入し納入先へ渡す文書・書面をいいます。

8.請求書とは

代金の支払いなどを請求するために発行する文書・書面をいいます。
国税庁のホームページでは、消費税法上、以下の5つを請求書等への記載事項としています。

・書類作成者の氏名又は名称
・取引年月日
・取引内容
・取引金額(税込み)
・書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

9.領収書とは

代金の受取人が支払者に対して、何らかの対価として金銭を受け取ったことを証明するために発行する文書をいい、領収証ともいいます。

ちなみに、レシートは、キャッシュレジスターで機械的に発行される宛名のない領収書をいい、会社の経理から「レシートではダメで、領収書をもらうように」と言われる場合があるのは、この宛名の明記の有無を重視してのことと考えられます。

領収書等がない場合、良く利用される方法は「出金伝票」を使うという方法であり、領収書やレシートが発行されない電車運賃などでよく利用される方法です。

領収書等をまったく保存していない場合、税務調査が入った場合、経理がずさんであるとして、疑われるのは必須と思われます。

税法上、領収書の様式に関して何ら規定はなく、上記の消費税における仕入税額控除の適用を除き、領収書やレシートの記載事項に関する定めはありません。

領収書に発行先の印鑑がなくても特に問題はないものの、領収書の記載のレベルによっては押印の有無が取引の実在性の心証に影響を与えることがあるかもしれません。

2.調査の事前準備は平均2週間~1か月程度

税務調査のうちの「一般調査」は、国税通則法第74条の9の規定に基づき、事前通知がなされることを原則としています。

事前通知は、以下の項目について口頭でなされることになります。

① 質問検査等を行う実地の調査を開始する日時
② 調査を行う場所
③ 調査の目的
④ 調査の対象となる税目
⑤ 調査の対象となる期間
⑥ 調査の対象となる帳簿書類その他の物件
⑦ 調査の相手方である納税義務者の氏名及び住所又は居所
⑧ 調査を行う職員の氏名及び所属官署
⑨ 納税義務者は、合理的な理由を付して上記①又は②について変更するよう求めることができ、その場合には、税務当局はこれについて協議するよう努める旨
⑩ 税務職員は、「通知事項以外の事項」について非違が疑われる場合には、その事項に関して質問検査等を行うことができる旨

上記の①⑨のとおり、まずは、調査官の方から税務署の都合を優先した調査日程が通知されることになりますが、合理的な理由があれば変更(通常は延期)を求めることができます。

この「合理的な理由」とは、例えば、以下のような理由が考えられます。

・その社又はその業界の繁忙期である(季節商品を扱う事業・月末月初や決算作業など)。
・社長や主要経理担当者が出張又は傷病治療中である。

それでも、最短で2週間程度、延期が承諾されたとしても1か月程度先が通常の限界のようです。

3.税務調査前にしておくべき項目3選

⑴ 整理整頓
税務調査時に提出を求められる可能性のある資料の整理をしておくことが必要です。

例えば、売上取引であれば、その売上の基になる見積書控から入金データまでの一連の取引データが揃っているか(トレースできるか)、給与については、個々の従業員における勤務時間データの根拠資料(タイムカード)から給与の支払処理、そして、年末調整関係資料までトレースできるかを確かめてみましょう。

また、税務上除却したはずの固定資産が社内に残存していたといったことがあると、その除却による損失が否認される可能性がありますので、固定資産台帳と現物の固定資産との整合性も確認しておきましょう。

調査官からの資料の提示に対して、あまりに時間を浪費していると、調査非協力の心証を抱かれるとともに、消費税の仕入税額控除の否認といったペナルティも考えられなくはないため、適時に資料が提出できるような態勢を整えることが大事です。

⑵ 対応者日程調整
通常、税務調査は着手日と臨場調査の終了予定日が事前通知されますので、税務調査に対応する可能性のある担当者については、あらかじめその日程を確保しておいた方がスムーズな進行(終了)に寄与するものと思われます。
経理担当者のみならず、以下の担当者についても税務調査の日程を伝達しておいた方が良いでしょう。

・議事録、稟議書を作成・保管している総務担当者
・在庫を保管する倉庫(外部倉庫を含む)担当者
・売上の集計管理に従事する営業担当者

⑶ 社内連絡
実地調査期間については社内に共有しておく方が良い場合があります。

例えば、調査官と(経理に関係のない)従業員が同じエレベーターやトイレに居合わせることがあり、従業員が「そんなの税務署にバレなければ良いんじゃない?」といった不用意な発言(冗談)をした場合、調査官の心証は一気に悪化し、過去の申告内容に不正が潜在しているという職業的懐疑心を働かせる可能性があります。

調査官が社内にいることについて社内共有することや、調査官には来客者であることが社内で一目でわかるように来客用のストラップを首から提げてもらうといった、従業員に外部者であることを知覚させるような工夫があった方が良いかもしれません。

4.税務調査の必要書類は多くて複雑!不安な場合は税理士に相談すべき

税務調査で要求される会計資料は、日常的に経理業務に専従している者であれば馴染みがあっても、それ専門に人的資源を割くことができない中小企業において、調査官の欲する会計資料を瞬時に想起するのは難しいかもしれません。

このような場合に、税務調査の経験が豊富で、かつ、自社の業態に精通している(自社の業態で証拠力が高く通常作成していることが多い証拠は何かが想起できる)税理士の存在は、調査官の調査時のストレスを低減させ、早期かつ穏便な税務調査の終結に導くことが期待されるでしょう。

特に、税務調査の経験が豊かな税理士は、調査官が要求する会計資料の種類から、その調査官が想定している過少申告リスクを先回りして想像することができるため、調査の立会を依頼する価値があるといって差し支えないでしょう。

「初めての税務調査」や「税務調査関連」で不安やお困りごとがあるなら経験豊富な「国税出身税理士」が在籍している当税理士法人まで、お気軽にご相談下さい。

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