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2021.01.31

他の相続人から不利な相続案を提案されたらどうする?

税務関連
ご家族が亡くなった際、遺言がない場合には、相続人の間で遺産分割協議を行う必要があります。 ご家庭によっては、相続人の中での力関係・発言力の違いなどが存在し、声が大きい相続人の意見が通ってしまうという事態も起こりがちです。 しかし各相続人は、相続について法律に従った権利を有しています。 一部の相続人の言いなりになって不利な相続案を受け入れてしまっては、客観的に見てかなり損をしてしまうケースもしばしばです。 もし他の相続人から不利な相続案を提案された場合には、一度ご自身の有する法律上の権利はどのようなものかを確認して、冷静な対応を心がけることが重要になります。 この記事では、他の相続人から不利な相続案を提案された場合の対処法について、相続人の有する法律上の権利と併せて解説します。

自分が持つ法律上の権利を把握しよう

遺産分割協議に臨む際には、ご自身が持つ法律上の権利を把握することが先決です。 ご自身の権利内容をしっかり把握しておけば、他の相続人が提案する遺産分割案が合理的なものか、そうでないかを判断することができます。 まずは、相続人が有する法律上の権利について見ていきましょう。

法定相続分とは?

民法上、各相続人には「法定相続分」が認められています(民法900条)。 法定相続分とは、民法によって定められた、相続財産に対する各相続人の取り分の割合をいいます。 具体的な法定相続分は、各相続人と被相続人との間柄によって、以下のとおり決まっています。

法定相続分

  1. 配偶者と子が相続人の場合 配偶者:2分の1、子:2分の1
  2. 配偶者と直系尊属が相続人の場合(子なし) 配偶者:3分の2、直系尊属:3分の1
  3. 配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合(子・直系尊属なし) 配偶者:4分の3、兄弟姉妹:4分の1
※同じ間柄の相続人が複数いる場合には按分 ※配偶者がいない場合には、子→直系尊属→兄弟姉妹の順で相続人になる いくつか具体例を見てみましょう。
パターン①:配偶者A、子B・Cが相続人の場合
  • A:2分の1
  • B:4分の1
  • C:4分の1
パターン②:配偶者D、母Eが相続人の場合(子なし)
  • D:3分の2
  • E:3分の1
パターン③:兄F、弟Gが相続人の場合(配偶者・子・直系尊属なし)
  • F:2分の1
  • G:2分の1
遺産分割協議では、必ずしも法定相続分どおりの遺産分割をする必要はありません。 しかし、最終的に審判や訴訟になった場合には、法定相続分が遺産分割の内容を決定する際の基準になります。 そのため、遺産分割協議における話し合いの段階から、「法定相続分に相当する財産は最低限相続する」とまず念頭に置いておくことが基本です。

遺産分割協議は相続人ら全員の合意が必要

また、遺産分割協議は、すべての相続人と包括受遺者(遺言により相続割合の指定を受けた人)が遺産分割案に同意しなければ成立しません。 つまり各相続人は、遺産分割案に同意するかどうかを自分の判断で決められるという権利を有しているのです。 そのため、相続人の中で発言力が強い人がいたとしても、その人の意見に従う必要はありません。 まずは一度冷静になり、遺産分割案が本当にご自身にとって受け入れられるものかを熟考したうえで、同意するかどうかを決めるべきでしょう。

他の相続人から不利な相続案を提案された場合の対処法は?

とはいえ実際の遺産分割協議の場で、他の相続人から不利な相続案を提案されてしまったら、その場の雰囲気に流されそうになってしまうこともあるかもしれません。 しかし、以下の対処法を念頭に置いておけば、不本意に不利な相続案を受け入れてしまうとことはなくなります。

言いなりになって遺産分割協議書にサインするのは厳禁

大前提として、他の相続人の言いなりになって、遺産分割協議書にサインしてしまうことだけは絶対に避けてください。 遺産分割協議書に相続人・包括受遺者全員がサインしてしまうと、その場で遺産分割の内容が確定してしまいます。 後から遺産分割協議の効力を争うことは困難を伴うので、まずは「サインしない」ことを心がけるのが大切です。

持ち帰って税理士や弁護士に相談する

提案された相続案が自分にとって不利なのか、そうでないのかという判断が付きづらいこともあるかもしれません。 その場合は一度持ち帰って、専門家である税理士や弁護士に相談しましょう。 当税理士法人は相続案件を多数取り扱っており、相続人が有する権利などについて、依頼者に合わせたアドバイスをご提供することが可能です。 また、提携弁護士と連携することによって、もし相続人同士で揉めてしまった場合についても、紛争解決をサポートいたします。

遺産分割調停を申し立てる選択肢もある

相続人同士の話し合いが平行線をたどってしまった場合については、裁判所に遺産分割調停を申し立てるという選択肢もあります。 遺産分割調停では、調停委員が各相続人の言い分を聞き、それらをすり合わせて、各相続人が納得できる内容の調停案の作成が試みられます。 調停の場では、あくまでも調停委員を通じたコミュニケーションが取られるため、相続人同士が直接やり取りをする必要はありません。 そのため、相続人同士の人間関係や発言力の差など、法律と関係ない要素の大部分を排除した、冷静な話し合いが期待できます。 遺産分割調停については、当税理士法人の提携弁護士においても対応可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

まとめ

他の相続人から不利な相続案を提案された場合、かっとなってしまったり、その場の雰囲気に流されそうになったりしても無理はありません。 しかし、相続人には法律上認められた権利があることを思い出して、まずは一呼吸おいて冷静になりましょう。 そして、ご自身の法定相続分が軽んじられていないかに注意しながら、相続人としての権利を主張してください。 もし対処法がわからない場合には、専門家である税理士や弁護士にご相談ください。 当税理士法人の税理士や提携弁護士は、相続に関する豊富な経験を活かして、依頼者が遺産分割協議において有利な結果を得られるようサポートいたします。

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