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2022.10.10

不動産投資で節税とは?富裕層が知っている節税方法を徹底解説

不動産投資
富裕層とは、一般的に純金融資産を1億円以上5億円未満(準富裕層は5,000万円以上1億円未満)保有している世帯と定義されており、全世帯数のうち約2.4%(準富裕層は約6.3%)を占めていると言われています。

<出典>
2020年12月21日 野村総合研究所「日本の富裕層は133万世帯、純金融資産総額は333兆円と推計」国税庁作成『No.2260 所得税の税率』より一部抜粋
https://www.nri.com/jp/news/newsrelease/lst/2020/cc/1221_1


この富裕層の多くは、不動産投資を行っています。
これは、多くの富裕層がたまたま不動産を持っていたからではなく、富裕層であればあるほど不動産を使った投資が有利だからこそ、数ある投資先の中から不動産を選んで積極的に行っているのです。
では、「富裕層であればあるほど不動産投資が有利」とはどういうことでしょうか?

本記事を最後までご覧いただけば、それがどのようなものなのかがお分かりいただけることでしょう。

1.不動産を使ってできる節税とは

「生命保険に加入すると生命保険料控除が使えるので所得税や住民税の節税になる」や、「法人で倒産防止共済に加入していると全額損金算入できるので法人税の節税になる」など、節税に関係する商品や投資先は私たちの周りに数多く存在しています。

それでは、不動産を使うとどのような税金の節税につながるのでしょうか?不動産を使った節税にはさまざまなものがありますが、富裕層が不動産を使って行う節税方法であれば、以下の税金を節税することができます。

・所得税
・譲渡所得税
・相続税

所得税

不動産投資によって不動産所得が得られると所得税が課税されます。しかし、不動産投資をひと工夫することで、この所得税を節税することが出来ます。

譲渡所得税

投資を行っている不動産を売却すると、譲渡所得税が課税されます。しかし、譲渡するタイミングを工夫することで、譲渡所得税を大幅に節税することが出来ます。

相続税

不動産を持っていると、他の財産と同様に、相続税の課税対象となります。しかし、その不動産を使って投資を行うと、相続税を大幅に節税することが出来ます。

では次章より、これらの税金がそれぞれどのようなプロセスを経て節税につながるのかを順に解説していきます。まずは所得税からです。

2.富裕層が行っている不動産を使った所得税の節税スキーム

富裕層が行っている不動産の節税スキームのエッセンスを凝縮すると、以下のとおりです。

・不動産所得の経費を多額に計上して所得を圧縮し、所得税を節税する

では、これが具体的にどうやって行われるのかについて解説していきます。

減価償却費と耐用年数

10万円未満の少額のものを除くと、それ以上の価格で購入した資産については、原則として所得税法で定められた年数に応じて毎期少しずつ経費にしなければなりません。
これを「減価償却」と言い、減価償却によって計上される費用を「減価償却費」と言います。また、所得税法によって定められている年数を「耐用年数」といいます。

たとえば600万円で購入した自動車の耐用年数6年だった場合、毎年の減価償却費は以下のようになります。

・自動車の減価償却費・・・600万円÷6年=100万円(定額法の場合)


ただし、同じ600万円の自動車であっても耐用年数が異なる場合があります。それは、中古資産である場合です。新品と中古では、これから先使用できる年数が違います。
新しければまだまだ使えますが、古ければ古いほど短くなります。

したがって、たとえば中古で購入した自動車の耐用年数が2年だった場合は、毎年の減価償却費が以下のように変化します。

・中古自動車の減価償却費・・・600万円÷2年=300万円(定額法の場合)

このように、耐用年数が切れた中古資産を購入すると減価償却費を一気に計上できるため、これが所得の圧縮につながるわけです。ではこれを踏まえ、実際の不動産について考えてみましょう。

中古不動産と減価償却費

たとえば木造のアパートの場合、耐用年数は22年と決められています。しかし、耐用年数を経過した中古アパートであれば、その耐用年数は本来の2割に短縮されてしまいます。

・法定耐用年数を経過した木造アパートの耐用年数=法定耐用年数22年×20%=4年(小数点以下切り捨て)

したがって、建物の価格が3,600万円の木造アパートの減価償却費は、新築と築22年以上では以下のように大きな差が生まれます。

・木造アパート(新築)の減価償却費=3,600万円÷22年=164万円
・木造アパート(築22年以上)の減価償却費=3,600万円÷4年=900万円

ご覧いただけばお分かりのように、同じ金額のアパートでも耐用年数が切れた中古物件であれば、減価償却費として計上できる金額が5倍以上となります。
そのため、不動産所得が大幅に少なくなり、これが節税につながるわけです。

赤字でも効果のある損益通算

「減価償却費がたくさん計上できる!」という話を聞くと、「でも計上し過ぎて赤字になってしまったら節税も何もないだろう」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、不動産所得がたとえ赤字になってしまったとしても、それでもなお節税ができるのです。

所得には、給料所得や不動産所得、事業所得や雑所得などさまざまな種類があります。これらはすべて合算して最終的に所得税額を算出するのではなく、合算するものと合算しないものに分けてそれぞれの税額を算出します。
この合算するものを「総合課税」といい、合算しないものを「分離課税」といいます。

・総合課税・・・給与所得、不動産所得、事業所得、一時所得、雑所得など
・分離課税・・・土地・建物の譲渡所得、株式等の譲渡所得、配当所得など


仮に不動産所得が赤字になってしまったとしても、確定申告時には給与所得などの他の所得と合算して最終的な税額を算出します。したがって、不動産所得の赤字分だけ所得の合計が減り、その分だけ節税効果が生まれるわけです。

不動産を使った所得税の節税スキームをまとめると以下のようになります。

・富裕層が行っている不動産投資は、法定耐用年数を超えた中古物件を購入し、減価償却を短期間で多額に計上することによって節税を行うものです ・不動産所得が赤字になっても損益通算により節税効果が生まれます。

3.富裕層が行っている不動産を使った譲渡所得税の節税スキーム

譲渡所得税とは、所有している資産を譲渡(=売却)した際に生じる売却益に課税される所得税のことです。資産をどのタイミングで売却するのかがこの章のポイントとなります。

売るタイミングによって支払う税金が違う

前章で、中古で購入した木造アパートを短期間で償却して節税を行うスキームについて解説しました。しかし、償却が終わった後はどうなるのでしょうか?
当然ですが、減価償却費が計上できなくなりますから、節税効果は消滅してしまいます。そこで、減価償却が終わり次第このアパートを売却してみます。

譲渡所得税は、その所有期間によって売却益に対する税率が以下のように定められています。

・所有期間が5年以内(短期所得)・・・税率約40%(正確には39.63%)
・所有期間が5年超(長期所得)・・・税率約20%(正確には20.315%)


したがって、アパートの償却が終わり、所有期間が5年を超えた時点でこれを売却すれば、支払う税率を20%に抑えることができます。

では償却が終わったこのアパートを5年以内に売る場合と5年超で売る場合に支払う税金を比較してみましょう。なお、売却額は取得時と同じ3,600万円と仮定し、売却益は償却が終わっているため3,600万円とします。

・5年以内で売る場合・・・売却益3,600万円×税率40%=1,440万円 ・5年超で売る場合・・・売却益3,600万円×税率20%=720万円

ご覧のように、取得から5年を超えた時点で売却すれば、譲渡所得税を大幅に節税することが出来ます。このように、富裕層は、売却するタイミングを計算して支払う税金を大幅に節税しているわけです。

4.富裕層が行っている不動産を使った相続税の節税スキーム

では最後に、富裕層が行っている不動産を使った相続税の節税スキームについて解説します。

不動産を購入した時点ですでに節税

100万円の現金の相続税評価額は、100万円です。しかし、100万円で買ったばかりの投資用不動産の相続税評価額は100万円ではありません。

仮に、投資用不動産としてワンルームマンションの1室を100万円(建物のみ、土地なし)で購入したとします。
このワンルームマンションの相続税評価額は建物の固定資産税評価額とするのが基本ですが、その評価額は一般的に購入価額の5~7割程度と言われています。

ですから、現金を不動産にした時点で、まずこれだけ評価額を圧縮できるわけです。

人に貸せばさらに評価減される

このワンルームマンションは投資用ですから、当然誰かが借りることになります。そうなると、相続税の評価額をさらに下げることが出来ます。

・ワンルームマンションの相続税評価額=固定資産税評価額×(1-借地権割合×賃貸割合)


「借地権割合」は、日本中どこでも30%と決まっています。いっぽう「賃貸割合」とは、物件の全部屋数のうちどれだけ貸しているかで算出します。

では、100万円でワンルームマンションを購入した場合の相続税評価額を実際に算出してみましょう。なお、固定資産税評価額は購入価格の6割、賃貸割合は100%とします。

・100万円で購入したワンルームマンションの相続税評価額=60万円×(1-30%×100%)=42万円


ご覧のように、100万円だったものが42万円にまで圧縮されました。

この例ではワンルームマンションの建物部分のみを計算しましたが、土地の部分に関しても小規模宅地等の特例を用いると、最大で8割ほど評価額を減額することができます。

上記はわかりやすいように簡略化した一例とはなりますが、財産の一部を不動産投資用にしておくと、相続税評価額を大幅に減額することが出来る場合があります。

5.終わりに

富裕層の多くは不動産投資を行っていますが、それは利回りの良さだけが理由ではありません。
現金を不動産投資物件に代えただけで相続税を節税できるだけでなく、物件の運用中や売却時には所得税が節税できる大変優れたツールだからです。

ただし、実際に不動産を用いた節税を行うためには、その物件に最適のシミュレーションを行わなければ、狙った通りの節税ができるわけではありません。

ジー・エフ税理士法人では、一人一人の資産や相続の状況に合わせ、最適なプランニングを提供しています。
不動産投資の節税や相続についてもう少し詳しく知りたい方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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