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2022.01.30

デューデリジェンスの費用はいくら?誰にどれだけ支払うのかを徹底解説

デューデリジェンス
M&Aが成立するかどうかを決める最も大切な作業のひとつが、デューデリジェンスです。
M&Aの成否だけでなく、買収金額なども基本的にはこのデューデリジェンスで決まるため、売り手にとっても買い手にとってもM&Aのプロセスにおけるハイライトと言っても過言ではありません。

そこで本記事では、デューデリジェンスとはそもそもどのようなもので、誰が誰に対してどれくらいの費用を支払うのかをじっくりと解説していきます。

1.デューデリジェンスとは

デューデリジェンスとは、M&Aの買い手が最終的な買収判断や買収価格などを決めるために、売り手企業を精査する短期間の調査のことをいいます。
なお、ベンチャーキャピタルなどが投資判断を行うために出資対象を精査するのもデューデリジェンスといいますが、ここではM&Aに話を絞って進めていきます。

デューデリジェンスの目的

M&Aの成立プロセスにおいて、基本合意書を交わした段階では、買い手は売り手企業の実情を本当に理解しているわけではありません。
売り手から出されたインフォメーションメモランダムなどの内容からM&Aに向けた基本合意をしているだけであり、その時点で提示している買収金額も、買い手がイメージしている売り手企業に対する値付けに過ぎません。

したがって、デューデリジェンスで実地調査を行い、イメージと現実とのズレを修正するわけです。これが、デューデリジェンスの目的です。

デューデリジェンスに必要な期間

デューデリジェンスは、対象とする売り手企業の規模や、買い手がどこまでの範囲で行うのかによってその期間は変わります。
一般的に中小企業の場合であれば、1~2ヶ月が相場だと言われていますが、売り手が小規模であれば2~3週間で終わる場合もあります。

2.デューデリジェンスの種類

デューデリジェンスは、その調査対象ごとにいくつかの種類があります。その中でも中小企業のM&Aでおもに用いられているのが以下の5つです。

・財務デューデリジェンス
・法務デューデリジェンス
・税務デューデリジェンス
・ビジネスデューデリジェンス
・人事デューデリジェンス

財務デューデリジェンス

財務デューデリジェンスとは、過去の決算資料や取引資料などをもとに財務状況や収益性を分析するとともに、簿外債務の有無などのリスクを調査することをいいます。

法務デューデリジェンス

法務デューデリジェンスとは、得意先との契約書類に関するリーガルチェックやリース物件や担保などの調査、コンプライアンスに関する調査などをいいます。
これらの書類を精査し、M&A後に訴訟リスクの有無なども確認する作業のことをいいます。

税務デューデリジェンス

税務デューデリジェンスとは、過去の税務申告書類などから適正な申告が行われているかを確認するとともに、M&A後の税務調査で否認されるような内容がないかどうかを調査する作業のことをいいます。

ビジネスデューデリジェンス

ビジネスデューデリジェンスとは、売り手企業のビジネスモデルや市場での優位性などを調べ、収益性やM&A後のシナジー効果などを調査・分析する作業のことをいいます。

人事デューデリジェンス

人事デューデリジェンスとは、就業規則や給与体系などからM&A後の人件費に与える影響を調査するとともに、労使問題などのリスクについて確認する作業のことをいいます。

3.デューデリジェンスは誰がやる?

デューデリジェンスを行う人物には、以下の3つのパターンがあります。

・外部の専門家
・社内の専門部署
・外部と社内の混合

外部の専門家

最も多いのが、外部の専門家に依頼するパターンです。
デューデリジェンスは法的事項に関するチェック項目が非常に多いため、余程の大企業でない限り社内ですべてを行うことは不可能です。

そのため、中小企業のデューデリジェンスは大半が外部の専門家によって行われます。

社内の専門部署

中規模以上の企業で、M&Aの専門部署が社内にあるような場合は、社内の専門部署がチームを組んでデューデリジェンスを行うことがあります。
しかし、チームの中心は企業内弁護士や公認会計士・税理士になるため、専門家が行うことには変わりありません。

外部と社内の混合

専門性の高いものは社外に依頼し、ビジネスデューデリジェンスや人事デューデリジェンスのようなものだけ社内のスタッフに行わせることがあります。
デューデリジェンスには高額な費用がかかるため、社内に優秀な人材がいれば、コストと時間を節約することができます。

4.デューデリジェンスを担当する専門家

デューデリジェンスを行う専門家は、以下の通りです。

・財務デューデリジェンス・・・公認会計士
・法務デューデリジェンス・・・弁護士
・税務デューデリジェンス・・・税理士
・ビジネスデューデリジェンス・・・コンサルタントなど
・人事デューデリジェンス・・・社会保険労務士やコンサルタントなど

5.デューデリジェンスの費用は誰が支払う?

デューデリジェンスに必要な費用は、すべてM&Aの買い手が支払います。
ですから、M&Aの成立が濃厚でかつシナジー効果がかなりの確率で見込めそうな場合はデューデリジェンスにしっかりと費用をかけることができるでしょう。

いっぽう、M&A自体が小規模な場合や、買い手から見てそれほど魅力的でないなどの場合には、時間とコストをかけ過ぎると割に合わないと判断されることが多いです。

6.デューデリジェンスの費用の相場

ではここで、デューデリジェンス費用の相場について解説します。
上述のように、すべてを専門家に依頼する場合とそうでない場合とで費用は大きく変わります。

そこで、以下の3つのデューデリジェンスに絞って、費用の相場を見てみましょう。

・財務デューデリジェンスの費用の相場
・法務デューデリジェンスの費用の相場
・税務デューデリジェンスの費用の相場

財務デューデリジェンスの費用の相場

財務デューデリジェンスは、監査法人や会計事務所に依頼します。
依頼先が大手で、かつ売り手の規模がそれなりにある場合は、大手監査法人などに依頼すると500万円以上します。

しかし、売り手の規模が中規模以下で、中小の監査法人や会計事務所であれば、100万円台で依頼することができます。

法務デューデリジェンスの費用の相場

法務デューデリジェンスは弁護士に依頼します。
弁護士の報酬は1時間当たり2~5万円程度ですから、1日あたり20~40万円前後となり、作業日数はチェックする書類の量によって大きく変わります。

最後に報告書まで作成してもらうことを考えると、最低でも100万円程度は必要でしょう。

税務デューデリジェンスの費用の相場

税務デューデリジェンスを税理士に依頼すると、1日当たりの相場がだいたい2~5万円程度です。
2~3週間程度で最終報告書を作成できるとすると、その費用の相場は60~120万円くらいとなります。

したがって、デューデリジェンス全体の費用の相場は、中規模以上の会社の場合でだいたい250万円以上と考えられます。

7.デューデリジェンス費用に関する会計上の取り扱いについて

平成25年に企業結合会計基準が改正される前まで、M&Aのデューデリジェンス費用は、取得の対価性が認められる費用は売り手企業の取得原価に算入し、それ以外の支出だけが発生時の事業年度の費用として計上することが認められていました。
しかし改正後は、M&Aで子会社を取得するために要したデューデリジェンス費用はすべて、発生した事業年度の費用として処理しても良いことになりました。

8.デューデリジェンスの費用はどれくらいかけるべきか

デューデリジェンスはできるだけじっくりと、時間をかけて細かくやった方が良い事に間違いありません。
しかし、時間をかければかけるほどコストもかかり、M&Aのメリットが低下する恐れがあります。
そのため、M&Aで得られるシナジー効果などの総額と比較し、バランスよく必要最小限だけ行うのが良いでしょう。

9.終わりに

デューデリジェンスはM&Aにはなくてはならないものですが、多くは外部の専門家に依頼するため、買い手側の金銭的負担は決して軽くありません。
しかも、M&Aが不成立に終わったら完全に赤字です。だからといってデューデリジェンスを行わなければ、将来のリスクや正しい事業価値を判断することはできません。

したがって、事前に専門家などに相談し、自社にとって適正なデューデリジェンスはどれくらいなのかを把握しておいた方が良いでしょう。

当税理士法人では公認会計士、税理士、弁護士、社労士チームによる総合的な財務・税務・法務・人事デューデリジェンス業務を行っております。
買収価格のよりどころとなる企業価値評価(バリュエーション)もセットで行っており、上場企業をはじめとする各クライアント様からの実績もあります。
M&Aを検討している、デューデリジェンスの見積金額が知りたいなどご要望がございましたら、ぜひお気軽にご連絡ください。

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